表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1049/1484

やっぱりこうなるんだよね

 思った通りだったよ……

 

 第三地区に帰ると皆が楽しそうに旅支度を始めている。


「あ、ぺるぺる。遅かったなぁ。ほれ、明日の準備は完璧だ」


 うわあ……

 吉田のおじいちゃんが満面の笑みで話しかけてきたよ。

 予想通りだ。

 このまま無理矢理付いてくるつもりだね。


「吉田のおじいちゃん……連れて行くなんて一言も言っていないんだけど……」


「……!」


 驚いた顔をしながら手に持っていた荷物をわざとらしく落としたね。

 そして静かに仰向けに寝転がった……

 あぁ。

 アレが始まるね。


「うわあぁぁぁぁぁん! 行きたいよお! 行きたいよお!」


 ……うわ。

 仰向けになって手足をバタバタさせながらチラチラわたしの様子を見てくるよ。

 

「うわあぁぁぁぁぁん! 行きたいよお! 行きたいよお! オムツまで替えてやったのにい!」


 オムツ!?

 その話はしないでよ!

 これは『いいよ』って言うまでずっとやり続けるやつだよ。

 はぁ……

 困ったな。


「ペルセポネ。これ以上は見ている方が恥ずかしい……連れて行ってやろう」


 ハデスが困り顔で話しかけてきたけど……


「これは作戦なんだよ。群馬にいた頃からこうやってきたんだよ!」


「だが……実の祖父が寝っ転がってジタバタする姿は見ていられない。二人きりで過ごせないのは残念だが皆で行けばもっと楽しいはずだ」


 ハデスの言う通りだね。

 これ以上は見ていられないよ。

 仕方ないか……


「ぺるぺるぅ? じいちゃん……行ってもいい?」


 吉田のおじいちゃんがキラキラの瞳で尋ねてきたね。


「……裸は許さないよ? ふんどしを着けないとダメだからね」


「えぇ? 裸がいいなぁ……」


「ダメっ!」


「……はぁい。んもう。ぺるぺるのおこりんぼさんっ」


「……来なくてもいいんだよ?」


「……ごめんなさい」


「分かればいいんだよ」


「はい……」


「ははは。やはりこうなりましたか」

 

 ベリス王子はこうなる事が分かっていたんだね。

 まぁ、誰が考えても分かるけど。


「うぅ……ハデスと二人きりで過ごせるチャンスだったのに」


「ははは。残念でしたねぇ。ですが、これで第三地区と幸せの島では二人きりになれますよ?」


「え?」


「これは作戦です。皆さんが付いてきたがる事は分かりきっていましたから。明日はハデス様とこちらでのんびりお過ごしください。うさちゃんも連れて行きますから」


「でも、うさちゃんはわたしとハデスが仲良くするのを邪魔したいはずだよ?」


「おまかせください。無人島にフカフカのソファーがあると言えば必ず付いてきますから」


「……考えたね。さすがベリス王子だよ。でも……あのね? 実は、ベリアルの誕生日がこの一週間くらいにあるらしくて」


「らしい……とは?」


「うん。ベリアルは天族の時の誕生日を知らないみたいなの。それに、嫌な思い出がある天族の時の誕生日より、オケアノスに創られた日の方がいいかなって思って。オケアノスとバニラちゃんに訊いたら季節的に今くらいだろうって教えてくれたの」


「なるほど……ではサプライズパーティー……でしたか? あれをやってみますか?」


「え? いいの?」


「はい。ベリアル以外には、こっそり伝えておきますよ」


「うわあぁ! ありがとう! 絶対喜ぶよ」


「今夜は幸せの島に泊まる日でしたね。色々順番が変わってよく分からなくなってきましたが」


「そうなんだよね」


「明朝無人島に出発して、夜にバーベキューをして。そうだ、贈り物も用意してベリアルを喜ばせてあげましょう。天族になってからはずっと辛い環境で暮らしていたようですからね」


「……でも本当に無料なんだよね? この人数だから、かなりかかるんじゃない?」


「妹のお礼ですから。それに、ベリアルにも喜んで欲しいですし。では、わたしは国に帰りますね。早く妹を愛でなければ」


「ふふ。では、わたしが送るわ。ちょうどベリス王のパートナーに用があるの」


 あれ?

 ヘスティアはパートナーさんと仲良しなのかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ