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ベリス王子は商売上手だね~後編~

 そうそう。

 特にあのケーキは最高だったよね。

 桃が好きなわたしの為にお取り寄せしてくれたケーキ……


「……? ぺるみ様? どうかしましたか?」


 あぁ……

 昔を思い出してぼんやりしちゃった。

 ベリス王子が心配そうにしているね。


「ううん。ただ、桃のケーキがおいしかったなって思って」


「モモのケーキですか?」  


「うん。桃の皮を剥いて種を取ってね。種があった所に生クリームが詰めてあるの」


「なるほど。モモが丸ごとかと思いきや実は中は生クリームなのですね。ですが、モモは皮を剥くと変色しませんか?」

 

「ん? うーん。確か、レモン水とか砂糖水に五分くらい浸すと変色しないって聞いたけど。でもやった事はないかな」


「レモン水か砂糖水。なるほど。ほぼタダでモモのケーキが作れそうですね」


「……え? まさか……売るの?」


「生クリームは第三地区でもらうとして、モモはタダで手に入るし、砂糖もあるし。ふふふ。この夏の貴族のティータイムにちょうどいい」


「あ、だったらバタークリームの方がいいかも。生クリームは傷みやすいから。ほら、人間には冷蔵庫がないでしょう?」


「そうでしたね。氷の魔法石は貴重ですからね。ではバタークリームを使って……でも、持ち帰るまでに傷んではいけないから……店舗内でのみ食べられる物にした方が良いかもしれませんね。そうなれば中身はアイスクリームでも可能ですね。夏季限定でカフェを開けば……女性の好む愛らしい内装にして、そこで日傘を売れば……化粧品も売れるかもしれないな……新作のリボンも……」


「ふふ。真剣だね。じゃあ、カフェに女性の好きそうな小物とか化粧品とかをかわいく飾ってみたらどうかな? ほら、化粧水の瓶をおしゃれな形にすれば棚に置いてあってもかわいいし。ぬいぐるみとかにその瓶を抱えさせてセット販売したらかわいいだろうね」


「おお! それは素晴らしいお考えですっ!」

 

「あ、じゃあ紅茶と桃のケーキもセットにしたらどうかな?」


「それも良いですねっ!」


「フルーツティーとかが合いそうだよね」


「フルーツティー?」


「紅茶のポットの中に桃とかのフルーツを入れるの。そうすると紅茶からフルーツの香りがして最高なんだよ」


「それは良いですね。フルーツティーか。モモのケーキとセットで……うーん。価格設定は……」


 ベリス王子は商売が好きなんだね。

 瞳がキラキラ輝いているよ。

 初めて会った時は詐欺師だと思って警戒したけど、今は家族想いの優しいお兄さんっていう感じかな。


「フルーツティーとモモのケーキのセットで金貨八枚……いや、もっといけるか? 十枚?」


 ……タダで手に入れた桃で作ったケーキと紅茶を百万円で売り出すつもりなの?

 やっぱり優しいお兄さんっていうよりは商売人……かな。

 さすがベリス王の息子さんだね。

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