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ベリス王子は商売上手だね~前編~

「いやぁ……思いがけなく稼げましたよ」


 普通科に帰る道で、ベリス王子がニコニコしながら話しかけてきた。

 

「ベリス王子はすごいね。一瞬ですごい額を稼いだよ」


「はい。妹に愛らしいドレスをあつらえようかと思っています」


「はは。妹さんがかわいくて仕方ないんだね」


「はい。誰よりも幸せにしてみせます。妹の部屋は家族からの贈り物でいっぱいなのですよ」


「弟さん達からも?」


「はい。溺愛しています。……色々ありましたがこれで良かったのです」


「……うん」


「わたし達は『共犯』でしたね」


「うん。ベリス王子だけが背負う事はないよ。あの時あの場にいた全員が共犯なんだから」


「……はい。ぺるみ様?」


「ん?」


「わたしは……あなたに出会えて良かったです」


「あはは。わたしもだよ」


「いつか……」


「ん? いつか?」


「恩返しをさせてください」


「あはは。そんなの必要ないよ。わたしは何もしていないから。ベリス王子が頑張ったから幸せな今があるんだよ?」


「……誰かに認められるのは……嬉しいですね」 


「うん。そうだね」


「さて、ぺるみ様」


「うん?」


「一から五の中で何を選びますか?」


「……? えっと……? 何が?」


「なんとなくで選んでください」


「うーん。じゃあ……四……かな?」


「四ですか。はい。では学術科の特別講義は金貨四枚にしましょう」


「……!? はい!? 金貨四枚!?」


 四十万円……

 四十万円っ!


「四人なので金貨十六枚ですね」


「はあ!? 一人の値段だったの!? 高過ぎない!?」


 四人で百六十万円だよ!?


「ははは。わたし達は共犯ですからね。特別講義のお手伝いも頼みますよ」


「はあ!? ……っていうか……計算速くない?」


 ピーちゃんが勇者として暮らしていた時にこの世界の人間に掛け算を教えたんだよね。

 だから掛け算があるんだけど、この世界では掛け算ができると天才だって言われているんだ。


「ははは。『立派な大人の為の数学、かけ算を覚えたら君も天才』でしたか? あれを幼い頃に暗記しましたからね」 


 また、その本だ!

 天界の数学者も持っていたよ。


「幼い頃に? ベリス王子って天才だよね」


「ははは。自分で言うのもなんですが……はい。天才です」


「……わたしより頭が良さそうだよ」


「ははは。ぺるみ様には敵いませんよ」


 群馬で遊び過ぎたせいだね。

 ちゃんと勉強しておけば良かったよ。

 群馬では、田中のおじいちゃんだったお父様とずっと遊んでいたから……

 小学生までは棒切れを持って山で駆け回っていたよね。

 中学生になったら田中のおじいちゃんの家のやたら大きいテレビで映画を観たり。

 あのテレビはどうやって買ったんだろうね。

 やっぱり競馬かな?

 高校生になったら、お取り寄せしたお菓子とかフルーツとかをおばあちゃんに内緒で食べさせてくれたよね。

 あれは、おいしかったなぁ。

 都会のお菓子は高級な味がして最高だったよ。

 隣の隣の集落にはコンビニもスーパーもあったけど、わたしがいた集落にはお店やさん自体なかったし。

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