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学術科の男の子は独特な雰囲気だね(6)

「なるほど、睡眠と食事」

「ベットが金貨十枚。枕が金貨一枚……」

「美肌」

「女人……口づけ……」


 さっきまで全く聞く耳を持たなかったのに、簡単にベットと枕を買わされそうになっている!?

 これが詐欺師のやり方……

 男の子達はずっと手鏡を見ているよ。


「ペリドット様……これはこれでやりにくいです。でも、皆さんが健康になりそうで良かったのかも……」


「うわ……ずっと口づけって呟いてる……気持ち悪……」


 あまりの変わりように女の子達が軽く引いているね。


「あはは。でも、これからは男の子も美容に気を遣う時代になるみたいだよ? 普通科の男の子達も化粧水を使うようになったし」


「美容に気を遣うのはいいんですけど……ずっと口づけって言ってますよ?」


「時々横目でこっちを見てますし……なんだか怖いです」


 ……それは、わたしも感じていたよ。


「確かに怖いね。王子、女の子達に変な事をしないように言ってあげて? わたしの話より王子の話の方を聞くはずだから」


「はい。分かりました。皆さん。女性には紳士的に接しましょう。いきなり口づけをするなど論外ですよ。大切なのはムードです。別料金でその辺りの特別講義をしても良いですが」


「お願いしますっ!」

「特別講義……大人の階段……」

「ムード……ムード」

「女人……口づけ……ムード……」


 女人君がレベルアップしたね……

 女人以外の言葉を話しているよ。

 この男の子達……

 勉強への熱意が女の子に向かったりして。


「ははは。特別講義は毎日少しずつ行いましょう。皆さんは学術科の学生です。きちんと勉強もしなくてはいけません。皆さんがリコリス王国の未来を背負っているのですから」


「……未来を背負っている?」

「そんな事は初めて言われた」

「我々は次男と三男で……領主にならないから親からの期待もなくて」

「……だから認めてもらいたくて必死に勉強してきたのだ。決して女人にモテたいからではない……」


 おお。

 女人君がまともに話し始めたね。

 なるほど。

 上位貴族にも色々あるんだね。


「親に認められたい気持ちはわたしにも分かります。ですが広い視野を持つ事も大切ですよ? 自分磨きをしながら内面から豊かになりましょう」


「内面から豊かに?」

「自分磨き……」

「広い視野?」

「どうやって?」


「簡単な事です。自分自身を認めれば気持ちが楽になります。いつも『自分なんて』と卑下していませんか? 皆さんは立派です。どうか自分自身を愛してください。そうすれば心が穏やかに豊かになります」


「……! はいっ!」

「どこまでも付いて行きますっ!」

「先生っ!」

「とりあえずベットと枕を領地とタウンハウス用に二つずつくださいっ!」


 ……どんどん沼に引きずり込まれていくね。

 大丈夫かな?

 ベリス王子は一体いくら儲かるんだろうね。

 一人二つずつベットと枕を買ったら……

 えっと、ベットが金貨八十枚で……

 枕が金貨四十枚……

 金貨……

 百二十枚!?

 ちょっと待って!?

 千二百万円!?

 プラス、セッケンと化粧水とリップと手鏡と講義代!?

 とんでもない額になるよ!?

 でも、商品は父親の店舗の物だよね?


「(王子? 講義以外は全部お父さんの商品だけど……王子の儲けにはならないんじゃないかな?)」


「(大丈夫ですよ。仲介手数料が入りますから)」


「……!? さすがだね……抜かりないよ」


「ははは。恐れ入ります」


 ベリス王子は絶対に次期ベリス王だよ。

 父親のベリス王にそっくりだ。

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