学術科の男の子は独特な雰囲気だね(4)
ベリス王子……さすが商売人だ。
使っているセッケンの質で見分けたのかな?
確かに『女人』しか言わない人間の爵位を当てるのは難しそうだよ。
でも……わたしには分かるよ。
「ふふふ。『女人』の男の子は侯爵家だよっ!」
「……!? どうして分かった!?」
女人君が驚いている。
本当はゴンザレスが教えてくれたんだけどね。
でも、これは使えるよ。
「ふふふ。それは……わたしが天才だからだよっ!」
ゴンザレスから教えてもらったなんて言えないからね。
はぁ……
わたしは何を言っているんだろう。
恥ずかしくなってきたよ。
「さすが、ぺるみ様です」
うぅ……
キラキラの瞳でベリス王子が見つめてくるよ。
「さあ! 皆は湯浴みをしてきて! 話はそれからだよ」
男の子達が湯浴みに行ったけど……
「二人とも大変だったね。正直……臭かったよね」
平民の女の子二人に話しかけると困った顔をしているね。
「あの……それだけじゃなくて……目も合わせてくれなくて」
「……え?」
「話す時も微妙に目が合わないんです」
「ぷっ! あはは! わたしにだけじゃなかったんだ。なんかかわいいね」
「かわいい……ですか?」
「思春期の男の子って感じだよね」
「え?」
「恥ずかしくて女の子と目を合わせられないんだよ」
「……え? そうなんですか?」
「あの男の子達……知れば知るほどかわいいね」
「……緊張して目を合わせられないって事ですか?」
「ふふ。うん」
「なんだ……てっきり……」
「てっきり?」
「口に出して平民差別をしなくても、目は合わせてくれないんだとばかり……」
「あはは! 全然違うよ。だってあの男の子達、男の子同士だと話していたけど女の子が話しかけると聞こえていない振りをしてごまかそうとしていたよ?」
「恥ずかしくて聞こえていない振りを?」
「不器用なんだよ。女の子が相手だと緊張して上手く話せないんじゃないかな?」
「そうだったんですね。確かに……少しかわいいかもです」
「でも本人達には言わない方がいいね。たぶん怒っちゃうから」
「はい。絶対にそんな事ないって怒りますね。その後面倒な事になりそうです。ネチネチ言われ続けそうっていうか……」
「あはは! 皆の方がよく分かっていそうだね」
「ペリドット様に相談して良かったです。正直……暑さと臭い匂いに気絶しそうだったんです」
「え!? あはは! わたし……二人とは仲良くできそうだよ。アイスでも食べながら話そうよ」
「はい。実は暑さよりも匂いの方が耐えられなくて」
「そうなんです。油臭くて」
「分かる分かる。他人の匂いって気になるよね」
「そうなんです。ペリドット様は良い香りですね」
「ん? そうかな?」
「鼻が生き返りました」
「え? あはは! 大変だったね」
あぁ……
いいな。
この感じ。
普通の学生みたいだよ。
「ぺるみ様、お待たせしました」
ベリス王子が男の子達を連れて戻って来たね。




