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学術科の男の子は独特な雰囲気だね(1)

「あぁ……でも……食べる時間も惜しいような方々だから」


 学術科の女の子が教えてくれたけど……

 食べる時間も惜しいって?


「じゃあ、ご飯は?」


「わたし達は食べるんですけど貴族の皆さんは勉強しながら水を飲んだりするくらいで」


「ええ!? そんなの身体に悪いよ」


「わたし達も何か食べて欲しいってお願いするんですけど。朝食だけしかまともに摂らないらしくて」


「え? 夕飯も食べないの!?」


「はい。そうみたいです。夜食べると眠くなるからって」


「まさか、寝てもいないんじゃ……そんなのダメだよ! もう! せっかく良い貴族なのに、身体を壊しちゃうよ! 今から一緒に行って栄養と睡眠の大切さを話さないと!」


「……え?」


「ジャック、悪いんだけど先生に伝えてくれるかな? 午後の講義に少し遅れるって」


 前の席のジャックにお願いして学術科に行ってこよう。


「もちろんです! ヒヨコ様のお世話は任せてくださいっ!」


「え? ヒヨコちゃんも一緒に……あ、ふふ。寝ちゃったんだね」


 ジャックに抱っこされて気持ち良さそうに寝ているよ。


「はい。おしるこを食べながら寝ちゃいました。ぐふふ。かわいい……ホカホカでフワフワで……くうぅ! 激かわですっ! あ、目が半開きだ……堪りませんね……ぐふふ」


「ジャック……すっかり、ど変態になったね。じゃあ、ヒヨコちゃんはジャックに任せて……さあ! 学術科に出発だよ! あ、ちなみにヒヨコちゃんは目が半開きで寝ていた事を伝えると怒るから気をつけてね」


「ええ!? そうなんですか? こんなにかわいいのに……」


「そうだよね! 超絶かわいいのに! ぐふふ。ずっと見ていられるよ……」


「はい。一秒も見逃したくないですよね」


「「ぐふふ」」


「……あの……普通科の皆さんは……いつもこんな感じなんですか?」


 しまった。

 学術科の女の子二人が怯えているね。

 変態に免疫がないから怖かったかな?

 クラスの皆はすっかりど変態だから全然気にしていなかったよ。


「えっと……そうだよ。皆がヒヨコちゃんを愛しているの。先生もかなりの、ど変態なんだよ?」


「先生も!? 貴族は皆さん真面目で寝食を忘れるくらい勉強熱心なんだと思ってました。でも、普通科の皆さんは、ちゃんと目を合わせてくれるんですね」


「うぅ……なんだか急に恥ずかしくなってきたよ……ん? 目を合わせる?」


「いえ……あの……学術科の貴族の皆さんにも息抜きをして欲しくて……いつか身体を壊しそうで心配で。皆さん青白い顔をしてずっと勉強だけをしてるから」


「やっぱり……そうなんだね。よし。出発しよう。まずは健康的な暮らしの大切さを話さないと」


 

 なんて簡単に考えていたけど……

 

 学術科に着いて貴族の四人の男の子に話しかけても返事がないよ。

 学術科は全部で六人なんだね。

 それにしても暑い……

 付いてきてくれたゴンザレスが乗っている肩のところだけひんやりするよ。


「ペリドット様……すみません。皆さん全然聞こえないみたいで……」


 女の子が申し訳なさそうに謝っている。


「あぁ……たぶん暑さのせいもあるよ。想像以上に暑いね」


 三十度以上あるよ……

 皆汗だくだね。

 ずっと教科書を見てブツブツ言っているよ。

 でも、時々横目でチラチラ見られているような……

 気のせいかな?

 この環境じゃ勉強しても頭に入らないんじゃないかな?

 それと……

 この匂い。

 何だろうね?

 油みたいな……

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