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アメリアとペルセポネ~後編~

「アメリアちゃんは話しやすいっていうか、秘密を誰にも話さないって信頼できるっていうか……それって身につけようとしてできる事じゃないでしょう? 自然にそう振る舞えるってすごいよ。アメリアちゃんのふんわりした感じとかすごく素敵だよ」


「……そうでしょうか」


 アメリアちゃんが恥ずかしそうにしているね。


「うん! 宰相もアメリアちゃんのそういうところが好きなんじゃないかな? 一緒にいて癒されるっていうか……安心するところ?」


「……! そういえば……以前、疲れた時にわたしに会うと癒されると言っていましたが」


「無理に剣術を習って怪我をしたら宰相も悲しむんじゃないかな? わたしの場合は婚約者が剣術を教えてくれているから大丈夫だけど……」


「婚約者様が? 確か騎士団長でしたね。婚約者様と仲睦まじく剣術を……素敵ですね」


 あぁ、ハデスは騎士団長だって誤解されているんだよね。


「……生きるか死ぬかのギリギリを攻められるけどね」


「え?」


「あぁ……いや。あの……悪気はないの。どこまでも真っ直ぐだから、わたしに生き延びて欲しくてやっているだけだし」


「ふふ。大切に想われているのですね」


「……それだけは胸を張って言えるよ。わたしは……すごく愛されている。そして、アメリアちゃんも愛されているんだね」 


「わたしも……? ……はい。正直……わたしは彼に愛されていると……思います」


 耳まで真っ赤になっている……

 かわいいよ。

 でも……


「……ぷ! あはは!」


「もう……ペリドット様!? 笑わないでくださいっ!」


「だって……顔が真っ赤だから」


「ペリドット様だってそうですよっ! でも……話せて良かったです。ずっと不安だったから。わたしでは彼に釣り合わないのではと」


「そんな事ないよ。日本にはね、赤い糸の話があるの。運命の相手とは小指同士が赤い糸で結ばれているんだって。どんなに遠くにいても引き寄せられるように出会うらしいの」


「へえ……素敵ですね」


「アメリアちゃんと宰相も……きっと赤い糸で結ばれているんだね」


「……わたしの小指が彼と? ふふ。なんだか恥ずかしいです」


「宰相とずっとずっと幸せにね?」


「ペリドット様も婚約者様とお幸せに」


 アメリアちゃんと繋いでいる手が温かい。

 アカデミーに居られるのも一か月と少しか……

 寂しいけど……

 でも……

 だからこそ真剣に一日一日を過ごしていこうって思えるんだ。

 

「さすがに身体が冷えたな」


 ベリアルが寒そうにしているね。


「ほれ、おしるこを持ってきたぞ?」


 おばあちゃんは第三地区に行って作ってきてくれたのかな?


「うわあぁ! おしるこだあ! ばあちゃんのおしるこは最高なんだ!」


 ベリアルがつぶらな瞳をキラキラ輝かせて喜んでいるね。


「アメリアちゃん、わたし達も食べに行こう」


「はいっ! ふふ。ペリドット様は鼻が赤いですよ?」


「あはは! アメリアちゃんもね。おばあちゃんのおしるこはすごくおいしいの」


「楽しみですっ!」


「後で宰相にも届けてあげたら? 疲れた時は甘い物と大好きなアメリアちゃんに癒されたいだろうからね」


「……! ペリドット様……恥ずかしいですよぉ」


 あぁ……

 これからもずっとこんな風に過ごせたら……

 なんて……

 これ以上は望んだらダメだよね。


 わたしはこれからも人間達を見守り続けるからね。

 百年後も千年後もずっと……


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