氷の上位精霊とペルセポネ(3)
ベリアルのパンみたいな翼で頑張って作ったのが分かるね。
小さい丸い物があるよ。
このかわいい丸い物が雪で作ったゴンザレスなんだね。
「すごいね。世界の宝だよっ!」
「え? 恥ずかしいからやめろよ」
ベリアルが恥ずかしがっている。
恥ずかしがるヒヨコちゃんも激かわだよ!
「恥ずかしくなんてないよ! くうぅ! このかわいい翼で頑張って作ったなんて……泣けてくるよ」
「はあ!? バカじゃないか? どうして泣くんだよ」
「感動で涙が勝手に出てきちゃうんだもん。ぐすっ」
「意味が分からないな」
「見てみなよ。クラスの皆も泣いているよ」
「はあ!? そんなはずないだろ……って……嘘だろ!? なんで泣いてるんだよ!?」
「そんなの決まっているでしょ? ヒヨコちゃんが立派に成長したからだよ。『ピオ』なんて言っていたのに……今じゃこんなに立派になって。ぐすん」
「はあ!? それを言うなよ! 恥ずかしいんだからっ!」
「ぐふふ。ピヨピヨピヨたん……」
「……!? やめろぉぉぉ!」
(ふふ。ぺるみとベリアルは仲良しね)
えへへ。
うん!
そうなの!
(この姿を見るたびに嬉しくなるのよ)
ん?
そうなの?
(オケアノスを思い出すと……辛い姿ばかりで……だからかしらね。今の楽しそうなベリアルとぺるみの姿を見ると嬉しくて堪らないの)
おばあちゃんも、わたしとベリアルがケンカをしていると嬉しそうにしているよ。
(言いたい事を我慢しないで口に出せる姿に嬉しくなるんじゃないかしら)
……そういえば、おばあちゃんも思った事は溜め込まないで口に出せってずっと言っていたよ。
(そうなのね。ふふ。早くしないと午後の講義が始まるわよ? ぺるみは雪でベリアルを作らないの?)
そうだった!
急がないと。
あのかわいさを完璧に表現してみせるよ。
ぐふふ。
うわあぁ!
冷たくて気持ちいいけど……
さすがにしもやけになりそうだね。
雪はグリフォン王国で見て以来かな。
群馬では冬は毎日雪かきをしていたけど。
(ふふ。さあ、もっと降らせるわよ)
夏の太陽に雪がキラキラ輝いている。
綺麗……
クラスの皆もその美しさに見とれているね。
「わたし……忘れません」
……?
アメリアちゃん?
「……えっと……何を?」
「ペリドット様と過ごした日々を……絶対に忘れません」
「わたしもだよ」
「手を……繋ぎませんか?」
「ふふ。少し恥ずかしいね」
「わたしも……恥ずかしいです」
「えへへ。わたしね? ずっと女の子の友達が欲しかったの」
「そうでしたか。……不思議です」
「……? 何が?」
「ペリドット様の手に剣タコが」
「ん? あぁ。ずっと鍛錬しているから……かな? 少し前まではサボっていたんだけどね」
「……黄金の国ニホンは平和になったのですよね? 今の陛下はお優しいし……ペリドット様が剣を握る必要があるのですか?」
「確かに……そうだよね。わたしは王女だし、皆優しいから何かあれば助けてくれるはずだよ。でも……わたしはそれじゃ嫌なの」
「嫌……?」
「わたしを守る為に誰かが怪我をしたら嫌なの」
「ペリドット様……」
アメリアちゃんが辛そうな顔をしているね。




