氷の上位精霊とペルセポネ(2)
(すぐにウラノス様が現れたわ。……でも、あの子の心はもう完全に壊れてしまった。そして……もう一人のあの子が……『ベリアル』の心が生み出されたの)
ベリアルの心を創り出して、寂しい心を慰めたんだね。
(そうね。不思議だわ。ベリアルはヒヨコになって、あの子の心は二つに分かれて一つはバニラちゃんに、もう一つはぺるみの中にいる)
そうだね。
(でも……今まで生きてきた中で今が一番幸せよ)
フラウ?
(穏やかだわ。心からそう思えるの)
……うん。
(ぺるみ、人間はこれからも争い続けるわ。そして殺し合う。そうして前に進むのよ)
前に進む?
(今まで見てきて分かったの。何かが変わる時には血が流れるのよ。ぺるみは、それを見るべきではないわ)
……それは。
(もし……ルゥの兄が処刑されたら? 耐えられないでしょう?)
お兄様が……処刑?
(あり得ない話ではないわ)
……うん。
(ぺるみ……時には目を背ける事も必要よ)
結局わたしは……あの頃と同じだね。
(……え?)
ルゥだった時……
わたしは人間だったけど魔族に育ててもらって……
だから、なんとなく人間が嫌いだった。
魔族になりたいって思っていたくらいだったし。
あの頃のわたしは魔族にもなれなくて、人間とも違う気がしてずっと悩んでいたの。
(そうだったわね)
今は完全に天族に戻ったけど……
そうしたら、今度は人間と距離を置かないといけないって思うようになって。
結局わたしは人間とは深く関わったらダメなんだって……
(ぺるみ……)
でも……わたし本当は……
人間が大好きなの。
(……そうね。ぺるみの顔を見れば分かるわ)
だから……
目を背けないって決めたの。
わたしも皆と同じ『この世界を見守る者』になりたいの。
(……傷つく事ばかりよ? それでもなりたいの?)
うん。
百年後、千年後の未来を変えようと頑張っている人間がいるから。
だから皆の代わりにわたしがその未来を見届けるの。
(本当に……ぺるみはどこまでも真っ直ぐね。心配になるくらいに……でも、ふふ。もう決めたんでしょう?)
うん!
(ぺるみが一度決めたら考えを曲げない事は分かっているから。これからよろしくね。『世界を見守る者』は辛い立場よ? でも……仲間が増えて嬉しいわ)
フラウ……
(さあ、ぺるみも雪だるまを作……え?)
ん?
どうかしたの?
(後ろを見て……ふふ)
え?
後ろ?
……!
これは……
「うわあぁ! かわいいヒヨコちゃんの雪像がいっぱいできているよ」
すごいよ。
等身大のベリアルの雪像がいっぱいだ!
「すごいだろ! ジャック達が作ったんだぞ! オレはゴンザレスを作ったんだ。見てみろ!」
ぐふふ。
得意気なヒヨコちゃんも激かわだね。
どれどれ?
どんなかわいい雪像ができたのかな?




