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氷の上位精霊とペルセポネ(1)

「……? 殿下?」


 違うクラスの女の子がわたしの事を殿下って呼んだね。


「あはは。ペリドットでいいよ。『殿下』は恥ずかしいの。氷の上位精霊っ! 雪を降らせて」


 フラウ、突然ごめんね。


(ふふ。任せて。楽しそうね)


「うわぁあ! 雪だ!」

「そういえばペリドット様が初めてアカデミーに来た時も雪を降らせてくれましたよね」

「積もるくらい降らせられますか? 雪だるまを作りたいですっ!」


 クラスの皆は嬉しそうだね。


(ふふ。では、この辺りだけ雪を積もらせてあげるわ)


 ありがとう。

 助かるよ。


(また頼ってもらえて嬉しいわ)


 これからも甘えていい?


(もちろんよ。さあ、もっと降らせるわよ)


 すごいね。

 あっという間に足首くらいまで積もったよ。


(さて、わたしはアカデミーの建物を冷やしてくるわ)


 ありがとう。


(と言うよりは……設置してある魔法石に氷の力を入れてくるわね)


 設置してある魔法石?


(このアカデミーは遥か昔リコリス王の側室の為の建物だったの。今は力が切れているけど、冷暖房完備だったようね。冷暖房用の魔法石は高価だから誰にも見つからない場所に隠してあるようよ。ちなみにこの前アカデミーで魔法石を見つけた時、冷暖房用の魔法石は残しておいたの)


 そうだったんだね。


(それにしても側室の為に全く同じ建物をいくつも造るなんて……よほど側室の争いが酷かったのね)


 そうだったんだろうね。

 この規模の建物を与えられないと満足しないなんて……

 かなり贅沢をしていたのかな?


(そうでしょうね。今こんな物を建てたら平民は赦さないでしょうね)


 時代の違い……なの?


(うーん……と言うよりは我慢の限界が来たと言うべきかしらね)


 ……それは……分かるけど……


(ふふ。見て?)


 え?

 あ……

 クラスの貴族の皆と平民の子達が仲良く雪だるまを作っている。

 

(いつの世でもそうだったわ)


 え?


(身分制度なんて関係なく仲良くしている人間も大勢いたのよ)


 ……うん。


(ぺるみ)


 ん?


(あなたは……人間から距離を置くべきよ)


 フラウ……


(わたし達上位精霊や、初めからいた者はずっとこの世界を見てきたわ。そしてずっと傷つき続けた)


 ……うん。


(そんな中、あなたが現れた。ルゥ……かわいい赤ん坊)


 わたし……?


(あの子だとは知らなかった。かわいそうなあの子……)


 オケアノスの事だね。


(ええ。初めからいた者達の『全て』だった。愛していたわ。心からあの子の幸せを願った。やってはいけないと思いながらあの子を手助けしたわ。でも増え過ぎた人間達は日に日に制御できなくなって……あの子は家族と暮らせなくなった。それからの、あの子は荒れていったの)


 ……うん。


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