ヒヨコちゃんグッズを一から考えられるなんて最高だよ
「等身大ヒヨコ様の抱き枕!? 最高じゃないですか! でも……高いんだろうなぁ」
前の席のジャックが残念そうにしているね。
「うん……どこかに短期間で稼げる仕事はないかな?」
「え? ペリドット様は王女殿下ですよね? 仕事って……?」
「あぁ。確かに家族に言えば買ってくれるかもしれないけど、わたしは自分で稼いだお金で買いたいんだよ。それが真の推し活なんだよっ!」
「なるほど……うーん。寮に仕事募集の掲示板があるけど。それだと短期間では稼げないだろうし」
「そっか。何かないかな……」
力仕事とかは得意なんだけどな。
「それならわたしの商売の手伝いをしてください」
ベリス王子の手伝い?
「えっと……どんな?」
詐欺の手伝いじゃないよね?
「そうですねぇ。わたしもヒヨコ様のグッズ販売を考えていまして。どのような商品にするかのアイデアを出していただけましたら、ヒヨコ様の抱き枕の代金と同額をお支払いしましょう」
「ええ!? そんな夢みたいな……いいの!? やるやるっ! 絶対にやるよっ! ふふふ。ヒヨコちゃんの着ぐるみ……ヒヨコちゃんの寝癖風カチューシャ……ヒヨコちゃんの形のチョコレート……ヒヨコちゃんの刺繍入りハンカチ……アイデアは山のようにあるからねっ!」
「ほぉほぉ……なるほど」
ベリス王子が頷きながらメモしているね。
父親にそっくりだよ。
「これでいい? これでヒヨコちゃん抱き枕はわたしの物だよっ!」
「え? これではまだ無理ですよ。あの抱き枕はエメラルドを使っているのでかなり高額なのです。アイデアだけではなく形になるまで手伝っていただかないと」
「形になるまで!? そこまでさせてもらえるの!? 色も形状も全部決めていいの!? わたしの理想通りのヒヨコちゃんグッズができあがるなんて……堪らないね。ぐふふ」
「ぺるみ様は商売に向いていそうですね。面倒がられるかと思っていました」
「面倒なはずがないよ! ああ……最高だよ。あ、そうだ! 服とかバックにつけられる小さいヒヨコちゃんのぬいぐるみがあったら……ぐふふ。世界中がヒヨコちゃんだらけになるね。安価な物から高価な物まで作れば身分に関係なく買えるでしょう?」
「うわあぁ! それ、すごくいいですね。それならオレにも買えるかも!」
前の席のジャック達が嬉しそうに瞳を輝かせている。
「世界中がヒヨコちゃんに夢中になる事は間違いないよねっ!」
「あぁ……早く販売して欲しいなぁ。弟達のお土産にしたくて。前に一度会ってからメロメロなんですよ。手紙にもヒヨコ様に会いたいって書いてありましたよ」
「弟さん達へのお土産か。素敵だね。ヒヨコちゃんのぬいぐるみに喜ぶ世界中の人間達……くうぅ! 想像しただけで興奮してきたよ」
好きな事をした報酬としてベリアルの抱き枕をもらえるなんて……堪らないよ。
ベリアルのかわいさを完璧に表現してみせるよ。
ぐふふ。




