合法な高額アルバイトってないかな?
「いやぁ、先程までのお姿も素敵でしたよ?」
ベリス王子はアカデミーに来ていたんだね。
ムキムキの大男に夢中で気づかなかったよ。
イフリート王子とグリフォン王は来ていないんだね。
ベリス王女の葬儀で三人ともそれぞれの国に帰ったから、今は幸せの島にはいないんだよね。
「王子はさっきまでいたわたし達が偽者だって分かっていたんだよね?」
「ははは。なかなかのクオリティでしたね」
「あれは酷いよ」
「これだから、ぺるみ様の近くにいると笑いが絶えないのです」
「……それって褒め言葉じゃないよね」
「深く考えてはいけません。ははは」
「あ、妹さんは元気? しばらく国に帰る事になったんだよね?」
「はい。妹と過ごす時間は楽しいですからね。今朝も誰が抱っこするかをカードで決めたのですよ」
「……お父さんとお母さんと王子がゲームをしたら誰が勝つの?」
ベリス王もお母さんもかなり強そうだよね。
インチキもしそうだし。
でも息子相手にインチキするのかな?
「ははは。父上と母上は、よく眠れるようになってさらに強くなりましたよ。頭の回転が速くなったと大喜びしていました」
「……さらに色々買わされそうで怖いよ」
「ははは。いつでも大歓迎ですよ。我が国の店舗の門はぺるみ様には常に開いていますから」
「……それって……いつでもお金を吸い取られるっていう事だよね」
「ははは。あ、そういえば聞きましたか?」
「ん? 何を?」
「父上の店舗でエメラルドの販売が始まりました」
「エメラルド?」
ああ、隣のクラスの貴族からわたしがもらったエメラルドの採掘権か。
そんな事もあったね。
あの貴族は今アカデミーを休んで領地に戻っているらしいけど。
「ぺるみ様、今度店舗に遊びに来てください」
「……嫌だよ。絶対買わされるもん」
「ははは。見るだけでいいのですよ? 美しい物は見るだけで心が満たされますからね。父上は二番目に美しいエメラルドを妹に贈りましたよ。ちなみに一番美しい物は母上に贈りました」
「……わたしは宝石よりヒヨコちゃんを見ていたいよ。心が満たされるからね」
「ははは。ぺるみ様らしいですね(ここだけの話……)」
「ん?」
「(父上がベリアルに似合いそうな愛らしい帽子を作ったようですよ? 最高傑作だと言っていました。誰にも内緒ですよ? 知られたら帽子の取り合いが始まりますから。皆がベリアルに贈りたいですからね)」
「最高傑作……それ……本当?」
「はい。しかも……等身大ヒヨコちゃん抱き枕を数量限定で発売するそうです。ちなみに瞳はエメラルドでできています」
「……ええっ!? それっていつ!? いつ!? いつなの!?」
「ペリドット様? どうかしましたか?」
突然大声を出したからクラスの皆が驚いているね。
「今度ヒヨコちゃん等身大抱き枕が発売されるみたいなの! くうぅ! 絶対手に入れてみせるよっ!」
あ……
お金はどうしよう。
ベリス王のお店なら絶対に高いよね。
ハデスに買ってもらうのも申し訳ないし。
どこかでアルバイトできないかな。
でも普通のアルバイトじゃ買えないくらい高いんだろうな。
うーん。
どこかに高額バイトはないかな。
もちろん合法のやつね。




