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どう見ても偽者でしょ!? ~前編~

「ところで……アカデミー? はまだ行かなくて大丈夫なのですか?」


 アマリリスが尋ねてきたけど……

 

「ああ! 今、何時!?」


「……ぺるぺる。残念だなぁ。今日は遅刻だ」


「吉田のおじいちゃん!? ああぁぁ! もう二十分も遅刻だよっ! 急がないと!」


「待て待て。まだ制服に着替えてねぇだろ? 今さら急いだって無駄だ。それに、そっちは代わりが行ってるからなぁ。安心しろ」


「代わり? え? 何それ」


「だから、ぺるぺるとベリアルの代わりを行かせてるんだ」


「……代わり?」


「水晶で見てみるか?」


「……? うん」


 吉田のおじいちゃんが水晶をテーブルに置くとアカデミーのクラスルームが映る。


 ん?

 なんだろう。

 わたしの席に誰か座っているね。

 クラスの皆が振り返って何度もチラチラ見ているよ。


「もっと偽ぺるぺるに近づけてみるか?」


「うん」


「ほれ、これでよく見えるなぁ」


「……はあ!? ちょっと待ってよ!? 何これ!」


 ムキムキの身体でわたしの制服を着ているから、パツパツどころか、はち切れそうだよ!?

 って言うより、よく入ったね。

 しかもお面をつけている……

 やたらリアルな……能面みたいな顔が書いてあるお面……

 これがわたし……?


「ははは。人魚達が行きたがったから、ぺるぺるとベリアルの代わりをさせたんだ」


「ちょっと待ってよ!? じゃあ、この偽わたしの隣に立っているやたらごつくて大きいのがベリアル!?」


「ははは。そうだぞ? じいちゃんがベリアルのお面を作ったんだ。それをつければ……ほら、どこからどう見てもベリアルだろ?」


「はあ!? あれが超絶かわいいベリアルのはずがないでしょ!? どう見ても黄色い全身タイツを着た筋肉ムキムキの巨大な男がお面をつけている……そう、変態だよ!」


「んん? そうか? かわいいと思うけどなぁ」


「……クラスの皆は……まさか本気であれがわたしとベリアルだと思っていないよね!?」


「ぷっ! あははは! これが外の世界……もっと早く卵から出てくれば良かったです」


 アマリリス……

 第三地区の常識は世間の非常識だからね。


「とにかくっ! ベリアル、行くよ! このままじゃ、あれがベリアルとわたしだって思われちゃうよ!」


「……ちょっとかっこいいかも。ムキムキのオレ……」


 ベリアルのつぶらな瞳がキラキラ輝いている!?


「はあ!? よく見なよ! クラスの皆の顔を! 絶望しているよ!」


「絶望? 確かに……なんとも言えない顔をしてるけど……」


「急ぐよ! わたしは着替えてくるから!」


「うん。じゃあオレはご飯を食べてる。モグモグ」


「くうぅ! 堪らないねっ! って、興奮している時間はないよ。急がないと。人魚が変な事を始める前に交代するんだよ!」


 人魚は悪い魔族じゃないけど、いたずら好きなんだよ。

 いつまでもおとなしく椅子に座っているはずがないよ!




 こうして慌ててクラスルームの扉の前に来たけど……

 明らかに変でしょ?

 どうして先生は普通に講義をしているの!?


「はい。では講義はここまでですね。休み時間になります」


 先生がそう言うと皆が一斉に偽わたしと偽ベリアルに視線を向けた。

 さすがに偽者だって分かっているよね?

 どう見ても紙で作ったお面だし、身体はムキムキで制服がはちきれそうだし。

 ベリアルにいたっては、全身タイツだよ?

 しかも下半身はグルグル回る水に入っているし。

 これで気づかない方が変だよ!


「えっと……ペリドット様?」


 前の席のジャックが話しかけているね。


「あら、何かしら? うふふ」


 ……!?

 偽わたしが低い声で返事をしている!?

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