知恵熱なんて恥ずかしいよ(4)
「ベリアルはアカデミーで、実はただかわいいだけじゃなくて、ちょっぴりエッチなヒヨコちゃんだって暴露されてもいいんだね!?」
「……!? お前……オレを脅迫するのか?」
ぐふふ。
うろたえるヒヨコちゃんも激かわだね。
「さあ、どうする? わたしは元々変態だと思われているからいいけど、ベリアルは違うよね?」
「……! そ……それは……」
「わたしの勝ちだね」
「……うぅ……口でぺるみに勝てるはずがなかったか。でも、第三地区にいる皆はもう知恵熱の事を知ってるからな」
「うぅ……確かに……」
「ふっ。オレの勝ちだな」
「じゃあ……わたしだけが恥ずかしいのは嫌だから、今から外に行ってベリアルの秘密を話しちゃおうかな」
「……くっ! 卑怯だぞ!」
「一緒に黒歴史を作ろうよ……ね? ベリアルゥ」
「嫌だ! お前だけが作れよ! うわあぁぁん! ばあちゃん! ぺるみがいじめるよぉ」
「ああ! またおばあちゃんに助けてもらおうとしているね!?」
ベリアルが飛んで行っちゃったよ。
「……ペルセポネ。もう大丈夫か?」
ハデスが微笑みながらわたしを見つめている。
「ハデスは呆れない? わたしが知恵熱を出して……」
「かわいいと思うが」
「かわいい?」
「ああ。世界一かわいいと思う」
「ハデス……」
「大丈夫だ。わたしと外に出よう。アカデミーに行きたいのだろう?」
「……うん」
「もし、ペルセポネを笑う者がいたらわたしが消してやるからな」
「……!? 消さなくていいよ!」
ハデスなら本当にやりかねないよ。
「そうか? では、行こう。抱っこで行くか?」
「うん」
ハデスの手がわたしの肩に触れると身体に力が入る。
あれ?
わたし……
どうしたのかな?
「ペルセポネ……? どうした?」
「……分からない。でも……ハデスを見ると……ドキドキするの」
「……ペルセポネ。少しずつ大人になっているのだな」
「大人に?」
「大丈夫だ。ゆっくりゆっくり知っていこう。わたし達のペースで」
ハデスが優しく口づけをしてくれる。
最近はうさちゃんに邪魔されて全然していなかったよ。
こんなに柔らかかったっけ……
「……って、うさちゃん!?」
また、うさちゃんの前足が邪魔をしているよ。
「子うさぎ……お前……」
ハデスが怒っているね。
「ガイチュウメ。ユルサン」
うさちゃん……
またハデスを害虫って言ったね。
こんな事をハデスに言えるのは、うさちゃんくらいだよ。
「お前はずっとソファーで寝ていればよいものを……」
「コンドコソ、ケッチャクヲ、ツケルトキガ、キタヨウダナ」
「望むところだ!」
この二人……
また貝殻集めで勝負するのかな?
はあ……
仕方ないね。
アカデミーには行きたいし、今部屋から出ないと間に合わなくなっちゃうよ。
勇気を出すしかないか。




