知恵熱なんて恥ずかしいよ(2)
「おい! ぺるみ! 起きろ!」
ん……?
ベリアルの声?
「起こしてはダメだ。熱があったのだ。今日のアカデミーは休ませる」
ハデスもいるのかな?
うぅ……
頭が痛いよ。
目を開けるとハデスが心配そうにしている。
「何、言ってるんだ? こいつは子作りの仕方を知ったから知恵熱を出しただけだぞ? ただの変態だ! ほら、アカデミーに行くぞ」
「何を言っているのだ。まだ顔が赤いだろう。今日は休みだ」
「は!? どこまでぺるみに甘いんだよ! そんなのずる休みだろ!」
ちょっと待って……
わたしがあの絵を見て知恵熱を出した事を知っているの?
恥ずかしい……
目を閉じてもう少しだけ寝た振りをしよう。
あぁ……
恥ずかし過ぎて頭がクラクラしてきたよ。
「……ぺるみ……お前、本当は起きてるのに寝てる振りをしてるだろ」
……!?
ばれている!?
いや、まだ確信はしていないはず……
「ベリアル……そんなはずは……あぁ……ペルセポネ……起きていたのか? 顔がさらに赤くなっている。具合が悪いのだな」
……ハデス……違うよ。
恥ずかし過ぎて目が開けられないんだよ。
「おい……大丈夫か? 耳まで真っ赤だぞ?」
ベリアル……
それは恥ずかしいからだよ。
「大変だ。氷の魔法石を……いや、氷の上位精霊を呼んで……」
ハデス!?
やめてよ!
上位精霊達はこういう話が大好きなんだから!
「そうだ! 事情を説明してすぐに身体を冷やして……」
事情を話す!?
ベリアル!
それだけは絶対ダメ!
「うわあぁぁっ! やめてぇぇ!」
これ以上誰にも知られたくないっ!
「やっぱり起きてたのか……」
ベリアルが呆れた顔をしているね。
「ペルセポネ……大丈夫か? 今、上位精霊を……」
ハデスは、すごく心配そうな顔をしているよ。
「大丈夫だから! 恥ずかし過ぎて顔が赤いだけだからっ!」
恥ずかしいから、この話は終わりにして欲しいよ。
「恥ずかしがる事はない。ペルセポネには刺激が強過ぎたのだ」
「わたしが知恵熱を出した事を知っているのって……他にはいないよね?」
いないよね?
いないよねっ!?
「……? 皆知っているが?」
……はい?
皆?
皆……知って……
もうダメ……
恥ずかし過ぎて部屋から出られないよ。
「わたし……今日は部屋から出たくない」
絶対笑われるよ……
特に吉田のおじいちゃんには永遠に言われ続けるんだよ。
高崎駅前のデパートよりも恥ずかしい……
「恥ずかしがる事はない。それだけペルセポネが純粋だという事だ」
「ハデス……わたし……思い返してみれば今まで何回もいろんな人に赤ちゃんの作り方を訊いていたよ……うぅ……恥ずかしい」
「大丈夫だ。皆、初めは何も知らないのだからな。ゆっくり知っていけばよいのだ」
やっぱりハデスは優しいよ。
「何言ってるんだ? さっきも皆で笑ってただろ?」
……!?
ベリアル!?
皆で笑っていたって!?




