表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1018/1484

知恵熱なんて恥ずかしいよ(1)

「お母様? どうかしたの?」


 急に大声を出したけど……


「え!? あ……喉の調子が……もう治ったわ……(もう! ヘスティアったら!)」


「喉が痛いの? 昨日わたしと一晩中話したからかな?」


「あぁ……違うのよ。一瞬痛くなってもう治ったの!」


「……本当?」


「本当よ!」


「良かった。えへへ。お母様、抱っこして?」


「あらあら。ペルセポネは甘えん坊さんね」


 お母様に抱きしめられると胸のドキドキが聞こえてくる。

 心音が速くなっているね。

 やっぱり疲れているのかな?

 早く寝かせてあげないと。


「お母様は疲れているんだね。わたしはもう行くよ。わたしがいると寝られないよね。お母様……ずっとずっと元気でいてね?」


「あぁ……ペルセポネ……嬉しいわ。お母様はずっとずっと元気でいるから。ふふ。かわいいペルセポネ……あなたの幸せな姿が見られて本当に嬉しいわ」


「わたしも。またお母様に会えてすごく嬉しいよ」


 お母様の優しく髪を撫でてくれる手が温かくて眠くなってきたよ……


 こうして、わたしは第三地区の広場に戻ってきたんだけど……

 頭がフラフラする……?

 おかしいな……


「ぺるみ……大丈夫か?」


 おばあちゃんが心配そうに家から出てきてくれたね。

 

「……うん。わたし……どうしちゃったのかな?」


「ぺるみ……全部聞いてたぞ? 天界であの紙を見たんだろ?」


「……赤ちゃんの作り方の紙の事?」


「そうだ……ちょっとおでこに触るぞ? ……! ぺるみ……こりゃ知恵熱だなぁ」


「知恵熱?」


「小さい子が興奮すると出す熱だ……本当にぺるみは赤ん坊だなぁ……」


「うぅ……呆れないでよぉ……」


「あはは! ぺるみもほんの少しお姉さんになったって事だ」


「お姉さん?」


「そういや、群馬の学校でも保健の時間にぶっ倒れてたなぁ」


「群馬で? あぁ……だって……よく分からないけど頭がフラフラして……」


「興奮し過ぎたんだろ……ばあちゃんも先生から連絡が来た時は恥ずかしかったなぁ」


「だって……教科書に、知らない事がいっぱい書いてあったから」


「……それで興奮してぶっ倒れたのか」


「冷静に言わないでよっ! 恥ずかしいでしょ!?」


「……ぷっ!」


「吹き出さないでよっ!」


「やれやれ。ほれ、ばあちゃんの布団に横になれ。熱が下がらねぇとアカデミーに行けねぇぞ?」


「うぅ……はい……」


「ん……?」


「おばあちゃん? どうかしたの?」


「……いや」


(今、天界からヘスティアとデメテルが水晶で見てるんだけどなぁ……)


 え?

 あ、だから心に話しかけているんだね。


(ヘスティアが『知恵熱! 知恵熱ですって! 』って言いながら大爆笑してるぞ? デメテルがその姿を見て驚いてるなぁ)


 ……!?

 あの冷静で常に微笑んでいるヘスティアが!?


(ヘスティアは常に作り笑顔だからなぁ。たまには腹の底から笑うのもいいだろう) 


 わたしが変だからヘスティアの作り物の笑顔が壊れたっていう事?


(自分が変だっていう自覚があるんか……)


 もうっ!

 おばあちゃん!?


「ははは。これくらいの知恵熱なら朝までには下がるさ。ほれ、デメテルに心配させねぇように早く寝るぞ? デメテル……もし水晶で見てるならこっちは大丈夫だから早く寝ろ? よし、ぺるみも寝るぞ?」


 おばあちゃんはお母様の心配もしてくれているね。

 今のわたしにできる事は知恵熱を下げる事か……

 うぅ……

 赤ちゃんを作る絵を見て興奮して知恵熱を出したなんて……

 恥ずかしくて誰にも言えないよ……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ