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ベリス王女の葬儀とドラゴン王(1)

「ふふ。オケアノスは本当に素直じゃないんだから」


 不器用なところもかわいいんだけどね。


「ペルセポネか?」


 ハデスが心配そうに話しかけてきたね。


「うん。オケアノスは疲れたから寝るって」


「……そうか」


「……息子さん達は怖い夢を見ているんだね」


「そうだな。前魔王に襲われる夢……か」


 全員が棺に花を入れたら葬儀は終わるんだよね?


「ベリス王……娘さんに最期の挨拶をしてもいいかな?」


「はい。棺に眠る娘に……是非」


 棺の中には娘さんに似た女の子が横たわっている。

 まるで生きているみたいだ。

 耳の横に黒いバラを入れると話しかける。


「……今まで……辛かったね。これからは穏やかに……どうか……」


 言葉に詰まって上手く話せないよ。


「ぺるみ様……」


 ベリス王が心配そうにわたしを見つめているね。


「……ごめんなさい。わたし……」


「謝らないでください。それに……ヨシダさんの……アレ……ですし……」


 吉田のおじいちゃんのアレ?

 もしかして、この女の子の亡骸って吉田のおじいちゃんが創ったの!?


「えっと……そうなんだね」


「ぺるみ様……魔王、ハデス様。本当に……ありがとうございました。種族王達もありがとう。娘は……穏やかに旅立つ事ができました」


「あうぅ……」


 パートナーさんが抱っこしている赤ちゃんがかわいい声を出しているね。

 その声に、ベリス王とベリス王子が優しく微笑んでいる。


「葬儀はこれで終わりますが……孵ったばかりの娘共々、これからもベリス族をよろしくお願いいたします」


 ベリス王は立派な父親だね。

 前に進もうと頑張っているんだ。


「あら? 間に合ったのかしら?」


 え?

 この声は……


「ばあば!?」


 人化した、ばあばとブラックドラゴンのおじいちゃんがいる!?

 ドラゴンの姿じゃベリス城には入れないからか……

 って、そうじゃなくて……


「ふふ。さっき、ヨシダさんがグンマに来て教えてくれたの。ベリス王女の葬儀があるってね。大体の事情も聞いているわ? さっきまでの事も第三地区から水晶で見ていたし。あらあら、この寝転がっているのがダメダメなベリス王子達ね?」


「オケアノスが……前魔王に斬りつけられる夢を見させているの」


 その辺りも水晶で見ていたのかな?


「え? あはは! それは愉快ね! まあ、これからもっと酷い目に遭うけど……ふふ。早く目覚めないかしら」


「……? ばあば? 何をするつもりなの?」


「ふふ。世間の厳しさを教えてあげるだけよ? ドラゴン流のやり方でね」


「ドラゴン流? それって……?」


「すぐに分かるわ。それより……ベリス王。王女に花を贈りたいの」

 

 ……花?

 ブラックドラゴンのおじいちゃんが白いバラの鉢植えを持っているね。


「……ドラゴン王? 花を贈る……とは?」


 ベリス王がばあばに尋ねている。


「ドラゴンの島には白いバラがたくさん咲いているの。なぜだか分かるかしら?」


「それは……確か遥か昔、ブラックドラゴンが天族だった時にイナンナ様に真っ白いバラを贈ったと……だから、またブラックドラゴンがドラゴンの島を白いバラでいっぱいにした……のでしょうか?」


「ふふ。さすがベリス王ね。賢いわ。でも……残念ね。それは違うわ。だって、わたしはもうイナンナじゃないのよ? 今さらイナンナが好きだった白いバラを贈られたって怒り狂うだけよ」


「……確かにドラゴン王なら暴れだすでしょうね」


 この場にいる全員が深く共感しているよ。

 リヴァイアサン王なんて怖くてヴォジャノーイ王の後ろに隠れているし……

 ヴォジャノーイ王も震えているけどね……


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