ヒヨコちゃんのクッキー屋さん(3)
今回はベリアルが主役です。
「ん? ヒヨコちゃん? どうしたの? もしかして……わたしの『はがし』に感心しちゃったのかな? んもう! かわいいちゃんっ!」
……こいつはダメだ。
ぺるみは、いつも以上に変になっている。
どうしよう……
どうしよう……
そうだ!
ヴォジャノーイ族が少し離れた場所から見守っているはずだ。
助けを求め……
ん?
あぁ……
ダメだ。
少し離れた屋根の上で神力に癒されてうっとりしている……
あいつらはハデスの世話で疲れきっているからな。
あのまま癒されていた方がいいだろう。
オレも天界でハデスの側付きをしていた時は大変だったからな。
お前達の気持ちはよく分かるぞ……
他に……
他に誰かいないか……
「ぐふふ。はいはい! そのままどんどん流れながら握手してくださいっ! くうぅ! ヒヨコちゃんが激かわだよっ!」
……!?
ぺるみの神力がどんどん溢れ出しているぞ!?
……?
なんだ?
フワフワする?
気のせいか?
「はーい! これにて本日の握手会は終わりでーす! これからもヒヨコちゃんをどんどん甘やかして、かわいがって、付け上がらせましょうっ!」
「「「うおぉぉぉぉお!」」」
……!?
市場の男達の野太い声に空気が振動している!?
すごい……
市場の皆がつやつやのピカピカになっているぞ!?
疲れが取れて元気になったんだ……
ん?
今、付け上がらせるって言ったような?
「ぐふふ。自分のかわいさに付け上がるヒヨコちゃん……堪らないね」
……!?
オレが自分のかわいさに付け上がっているって!?
仕方ないだろ!?
誰が見たってオレは超絶かわいいんだからっ!
「ぷはっ!」
ん?
じいちゃんが吹き出した?
ばあちゃんは嬉しそうに笑っているぞ?
あれ?
ぺるみから溢れ出していた神力がとまった。
はぁ……
良かった。
フワフワもしなくなったし……
それにしても、ぺるみの神力は無限に近いって聞いたけど本当みたいだな。
天界に悪い大天使がいなくて良かった。
ぺるみが、天界にいた頃のオレみたいに利用されたら絶対に嫌だからな。
あ……
オレのパンみたいなかわいい翼……
すり減らなくて良かった。
って……
誰かがオレの翼を握り続けているぞ?
「ぐふふ。お似合いです。ぐふふ。わたくしの脳内のヒヨコ様が今、現実に……ぐふふ」
……先生。
ぺるみと同じくらい気持ち悪いな。
でも、そんな事は言えないし……
「先生……このドレス最高だよ。ぐふふ」
ぺるみ!?
しまった!
ぺるみと先生に囲まれた……
逃げないと……
「やってられるかっ!」
クルクルのウィッグを投げ捨てて飛んで逃げたけど……
「ぐふふ。ヒヨコちゃんのスカートの中が丸見えだよ……」
「あらあら。これは堪りませんねぇ」
……!?
まさか覗いたのか!?
スカートの中を見る為にわざと逃がしたのか!?
「うわあぁぁぁあん! ど変態が増えたよぉ!」
いつも裸だけどスカートの中を見られると恥ずかしいよぉ!
「ぐふふ。もっと罵ってよ」
「ぐふふ。もっと罵ってください」
……!?
先生とぺるみの声が重なった!?
気持ち悪いを通り越して怖過ぎるよぉ!




