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お父様、頑張る(4)

「お父様……わたしを助けてくれる? 黒いモヤッとしたお化けから……わたしを守れるのはお父様だけだよ?」


 お願い。

 気づいて?

 吉田のおじいちゃんの気持ちに。

 お父様を想う優しい気持ちに。


「ペルセポネ……怖いよぉ……」


 ダメなのかな?

 すごく震えているよ。

 

「お父様……無理……かな?」


 涙が出てきちゃった。

 わたしの為に怖いお化けに立ち向かって欲しいなんて……

 申し訳なくて、辛くなっちゃうよ。


「え? そんな……かわいいペルセポネを……守れるのはお父様だけ……だよ……そうだよ。ペルセポネがお化けが怖くて泣いてるんだ。お父様にしか見えないんだ! よぉし!」


 お化けが怖くて座り込んでいたお父様が立ち上がる。

 怖いんだね。

 身体が震えているよ。

 でも頑張って立ち向かおうとしている。


「天ちゃん! 本当にお化けか? この世界にお化けなんかいるんか?」


 吉田のおじいちゃん?

 ヒントをあげているの?


「え? えっと……」


「よく見てみろ! 天ちゃんにしか見えねぇんだ!」


「えっと……少しだけ闇みたいな感じがする? もしかして、ファルズフの呪い!?」

 

 すごいよ!

 気づけたんだね!

 皆もお父様を応援する眼差しになっているね。

 

「天ちゃんは神様なんだろ? そのお化けを倒せねぇのか?」


「お化けを倒す? でもこれは闇だから……光で浄化すれば倒せるかも……」


 おお!

 お父様がまともな事を言っているよ!

 上手くいきそうだね。

 って、ん?

 神様が浄化の力を使うって?


「お父様! 待って!」


 まずいよ!

 確か以前に魔族の皆に言われたよね?

 なぜかわたしの聖女の力は心地良いって。

 っていう事は、わたし以外の光の力は魔族を消し去っちゃうんじゃないの!?

 以前にもわたしの血の力でパパが赤ちゃんになったし。

 神様のお父様なら魔族を消すなんて簡単なんじゃないかな?


「ペルセポネはお父様が守るっ!」


 やる気になって聞こえていないよ!?

 あぁ……

 どうしたら……

 そうだ!

 血の力!

 わたしの神力は、神様のお父様には勝てないけど、人間のルゥの血でも死んだ魔族を生き返らせていた。

 それなら、今の天族に戻ったわたしならここにいる皆をお父様の神力にやられないように守る事ができるんじゃないかな?

 魔族一人一人をわたしの神力で包み込んでお父様の神力が当たらないようにするんだ。

 一応心配だから魔王をしているお父さんと闇に近い力を使うハデスも包み込もう。

 落ち着いて!

 想像するんだよ!

 わたしの血が広場に一滴落ちたら、魔族の皆をわたしの神力で包み込む。

 そして、また宴の続きをするんだよ!

 そこには、自信に満ちたお父様がいるんだ!

 絶対に上手くいく。

 そうじゃないと、ここには全ての種族王がいる。

 もし皆に何かあったら次期種族王になりたい魔族達が戦を始めるかもしれない。

 それに、わたしはここにいる魔族の皆が大好きなんだ。

 わたしのせいで皆がいなくなるなんて絶対に嫌だよ。


 テーブルにあるナイフを指先にあてる。


「ペルセポネ!? 何をしているのだ!?」


「ハデス! 皆も今いる場所から動かないで! パパ! ハーピーちゃんをしっかり抱っこして動かないようにして!」


 初めてやるから動かれたら失敗しちゃうかも。


 お父様が神力で浄化を始めたね。

 急がないと!


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