吉田のおじいちゃんは神様だった!?
「まぁまぁ、ハデスちゃん。ぺるぺるも元の身体に戻ったばかりだからなぁ。もう少し身体に慣れてからでいいだろ? そんな事よりハデスちゃんの好きな、おはぎがあるぞ?」
吉田のおじいちゃん!
いいところに!
やっぱり、ひいおじい様なんだよね?
ハデスにとってはおじい様か……
揉めていたのはハデスの父親とであって、ハデスとは面識は無いのかな?
冥界に帰ったら、さりげなく遠回しにひいおじい様の事を訊いてみようかな?
「吉田のおじいちゃん、ありがとう。助かったよ」
「そうかそうか……ぺるぺる、ぐりほんの兄ちゃん。内緒話は小さい声でしねぇとなぁ」
「え? おじいちゃん?」
まさか、聞こえていたの?
でも、ハデスには聞こえていなかったみたいだけど……
「だろうなぁ」
え?
だろうなぁ?
ん?
「じいちゃん、一応立派な神様だったからなぁ」
んんっ!?
ちょっと待って!?
今、わたしの心を聞いたの!?
「そうだ。すまねぇなぁ。そのつもりがなくても全部聞こえちまうんだ」
「「ええっ!?」」
グリフォンのお兄ちゃんと声が重なる。
「ヨシダのおじいさん……今のこの会話は外に丸聞こえなのでは!?」
「大丈夫大丈夫。じいちゃんが結界を張ったからなぁ」
え?
いつの間に?
すごい。
結界を張った事にも気づかなかったよ?
さすが元神様だね。
あれ?
今の神様の、お父様より強いんじゃないかな?
「ははは。そうかそうか」
また、心を聞かれたのか……
「待って? こんなにすごいなら消滅させられるとか……ないんじゃ?」
「んん? そうだなぁ。まぁ、心が聞こえるからなぁ。捕まる事はねぇだろうなぁ」
「じゃあ、どうして天界でわたしにすがり付いて泣いたの?」
「ええ? かわいいひ孫にヨシヨシしてもらいたかったから……かなぁ?」
「はあ!? じゃあ、切り落とされた大事なところは!?」
「あぁ……あれかぁ。なんかよく分かんねぇけど、綺麗な姉ちゃんが産まれてきたなぁ」
「……? え? 何それ?」
「じいちゃん分かんなーい」
「はあ!? 分かんなーいって……じゃあ、捜さなくていいの?」
「うん。もう無いしなぁ」
「じゃあ、どうしてあの時泣きながら『一緒に地上の海に捜しに行ってよぉ』ってすがり付いてきたの?」
「ええ? そりゃ、かわいいひ孫と海で遊びたかったからだ! 天界だとばれるだろ?」
ばれちゃダメっていう事は、誰かに追われているっていう事だよね?
「そうでもねぇなぁ。じいちゃん強いからなぁ、誰にも追われてねぇぞ?」
「え? じゃあなんでいつも隠れて会いに来て泣いていたの?」
「ええ? だって『いやだ、あの人大事なところを切り落とされた人じゃない? 』って笑われたくなかったんだもーん」
だもーん?
神様って皆こんな感じなの?
お父様もこんな感じだよね?
「そりゃ孫だからなぁ。似てるだろ! あはは!」
もう、話さなくても会話が成立しちゃっているよ?
「晴太郎! お茶が冷めるぞー」
家の外からおばあちゃんの声が聞こえてきたね。
「あ! お月ちゃんだぁ! じゃあ、じいちゃんは先に行ってるぞ? そうだそうだ。その緑の鳥のおもちゃは、うさちゃん探知機に改造しといたからな? お月ちゃーん! 渋ぅーい緑茶が飲みたいよぉ!」
ご機嫌で走って行ったね。
渋ぅーい緑茶……?
うさちゃん探知機?
もう、なにがなにやら……
「ぺるみ様……えっと……とりあえず……うさちゃん探知機とやらを預かります。(うさちゃん探知機なら皆さんにも話して平気そうですね)」
「……うん」
ダメだ。
混乱し過ぎて訳が分からなくなってきたよ。