俺は最強の異形狩りの相棒として戦う。
天気は最悪。
歴史上もっとも天気が悪かった日を調べれば、あの日が出るだろう。雨は滝のように降り、あらゆるところで雷鳴が鳴り響く。へし折れた木々、吹き飛ばされた建物、瓦礫に潰された人。そして目の前には《《無数の竜巻》》。その中には純白の龍が、いた。
何もかもおしまいだと思った。俺は数分もたたないうちに、あの竜巻に飲まれて死ぬんだ、と。
そんなことを考えていたとき。
「ゴォォォォォッ!!!!」
《《嵐の主》》が突然が吠えたのだ。その瞬間、嵐は今まで以上に、勢いを増した気がした。俺は、こっそり岩から顔を出し、そして見た、奴は体を漆黒に染めていた。もとの体色が白だなんて、もうわからなかった。その姿を見て俺は本当におしまいだと思った。だが、違った。
「――うるさい」
俺は、目を疑った。無数の竜巻の中央にいる、《《漆黒の龍》》に向かって歩く人影があった。彼は、狐の面を付けていた。そして彼は龍の目の前で動きを止めた。俺は、彼を止めようとした。しかし、それを狐面の男と龍の威圧が許さなかった。しばらく見つめあった後、彼が口を開いた。
「あいにく、僕も君と戦いたくないんだ。」
彼は、龍に向かっていった。すると龍はさっきより大きな声で吠えた。
「――そうか。じゃあ、さよなら。」
そう言うと彼の周りに蒼い炎があらわれた。その瞬間、もう目も開けていられないくらいの強風が吹いた
「うるさいな」
「――蒼熱」
彼がそう言った刹那、鋭い蒼い光があたりを包んだ。俺は岩に隠れた。
少しして、さっきまでの雨の音が治まった。そして、さっき彼らがいたほうに目を向けると、竜巻は消え、さっきまで空を覆っていた、分厚い雲の一部も消えて、雲の隙間から日が差していた。水たまりに跳ね返った光が綺麗だった。彼はまださっきの所に立っていた。
彼は俺の姿をとらえると、俺のほうにやってきてこう言った。
「生きてたんだ。やるね。」