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crazy everyday 彼らの日常  作者: こじか
9/15

買い出しへ

35,000PV記念です。

今回は、貴斗と駿弥の買い出しの話です。

「ん?貴斗、これもう無くなるぞ。」

「えー?……あ、ホントだ。困ったな、出る前に確保しとかないと。」


俺が指さしたモノの残数を見て、貴斗が唸りながら辺りを見回した。つられて俺も周りを見渡すと、他にも少なくなっているものがいくつかありそうだ。

貴斗もそれに気づいたのか、諦めたようにため息をついて俺を見やった。


「駿弥、これから時間ある?」

「あぁ、あるけど。」

「買い出し、付き合ってくんない?」



「で、俺は荷物持ちかよ!」

「しょーがないじゃん。他の奴らはみんな準備で忙しいんだから。すぐ動ける暇人は駿弥だけだったの。」


俺は貴斗に連れられて、買い物に来ていた。俺の押すカートにポイポイと物を入れていく貴斗を不満の目で睨むと、貴斗は振り向きもせずそんなことを言ってきた。

間近に迫った遠征を前に、足りない備品を買い足しに来た俺たちは、山のように商品を積み上げていた。まだ一軒目にも関わらず、腕にくる重さ。この後にも何軒か別の店に寄ると言っていたから、早くもげんなりしてしまう。


「にしても……。これ、あっちにいる間の食事か?……不健康すぎるだろ。」

「気にしてらんないって。ていうか、俺らに料理できると思う?こーいうので手早く済ませたほうが、よっぽど効率的なんだよ。」


インスタント麺を手に、貴斗が前を歩いていく。

まぁ、貴斗や景介は簡単な料理くらいならできると言ってたけど、それも不味くない程度のものを作れるだけらしい。それに、茶戸家全体の6割の人数を満足させるだけの腕も時間もないのは間違いないんだろう。

……だからって、全食インスタント麺とかはよくねぇと思うけどな。


「箸とかも買っとこうかな。割り箸どこかなー。」

「はぁ……。貴斗、二手に別れよーぜ。他に欲しいもんあるだろ。リスト送ってくれりゃ取ってくるぜ。」

「あはは。駿弥ってばそんな冷たいこと言わないでよ。いーじゃん、2人でしゃべりながらで。貴重だよー?遠征前の俺の時間は。」

「……自分で言うか?……ま、しょうがねぇな。お前がどうしても俺と話したいってんなら。」


2人でじゃれ合いながら一通り回り、会計を済ませる。その合計金額に慄きつつ、店を出て次の店に向かった。次の店でも同じように慄く金額の買い物をし、また次の店へ。同じことを2,3回繰り返し、やっと事務所に帰れることになった。


「……結局荷物持ちしかしてなかったし。」

「助かったよ駿弥。今日は荷物多かったから。俺1人じゃ持てなかったなぁ。」

「代わりに俺がほぼ持ってたけどな!たく……。」


荷物に囲まれた車内で、俺は貴斗を睨みつけて不満を漏らした。

店内でカートを押すのも俺、買ったものを持つのも俺。貴斗がしたのなんて、選ぶのと車内に乗せるだけだ。分かっちゃいたけど、貴斗はまじ人を使うのが上手いと言うか。


「まぁいいじゃん。1回駿弥と2人で出かけてみたかったんだよね。ほら、俺は家業的にいつどうなるか分からない身なわけだし?友達と遊びに行くって言っても、狙われたらって考えるとあんま気が乗らないし。その点、駿弥なら俺が鍛えたわけだから、ちょっとやそっとじゃやられないでしょ。」

「あ、おぅ……。」


貴斗の向けてきた信頼の見える眼差しに、俺は少しドキリとしてボケッとした相槌を打った。

ま、まぁ?俺だってあの貴斗に鍛えられたってのはこれ以上ない自信にもなってるしな。


「ていうか、駿弥なら狙われても心が痛まないし。」

「俺の感動を返せ!」


そうだ、こいつはこういう奴だ。こうやって平気で俺の期待を、感動を裏切ってくる。

貴斗の言葉に俺が噛み付くと、貴斗は爆笑して俺の背中をバシバシと叩いてくる。


「怒んないでよ駿弥。俺からの信頼の証なんだから。その実力を信頼できてない奴が狙われたら、どうなるか分かんないでしょ。俺がここまで言うのも、景介と駿弥だけなんだからね。」

「……ほんとにお前はタチが悪ぃ。」

「ははっ。それでも駿弥は、嬉しいんだもんねー。」


赤くなった俺の耳を見て、貴斗はニマニマしながらそう言ってくる。俺は恥ずかしくなって窓の方へ顔を背けた。

こいつはこう言えば俺が貴斗を許すって知ってて言ってるだけで、特に深い意味はないに決まってる。そう確信を持てるほどなのに、その言葉だけで貴斗の言葉を許す気になってる俺も、つくづくこいつに甘い。これじゃ、景介のことを笑えない。


「ね、駿弥。遠征終わったらさ、今度は普通に遊びに行こうよ。」

「はぁ?やめろよお前。フラグ立てにしても露骨にも程があるだろ。」

「あはは。俺がフラグごときにやられると思ってるの?」


自信ありげに口端を上げた貴斗に、俺は苦い顔で首を振った。


「お前がそう簡単にやられるわけがなかったな。分かったよ。お前が帰ってきたら、みんなで遊びに行こう。どこ行くかは、俺ら残留組で考えとくよ。」

「よろしくね。」


貴斗と一緒に見合いながら頷いた。

貴斗が行きたいと思うんなら、きっとみんなも賛成してくれるだろう。きっと一番奔走するこいつが、きっと涼しい顔で戻ってくるんだから、パーッと気分転換できるところにでも行かせてやろう。

35,000PVありがとうございます。

今回は、貴斗と駿弥の買い出しの話でした。

貴斗と駿弥が2人で買い物に行くのはこれが初めてです。


次回は40,000PVを予定しています。

初音と景介の話を書こうと思っています。

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