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crazy everyday 彼らの日常  作者: こじか
5/15

偽悪的な始まり

22,222PV記念です


今回は貴斗の父、母である瑛史と凛華の馴れ初め話です

「また、来たんですか?」

「おう。言っただろ、お前を俺の女にするって。」

「いやです。もう帰ってください。」


素気なく断られること24回。目の前のべっぴん、田小谷凛華は近隣の高校でも有名な女で、高校生にあるまじき色気と極度の男嫌いだ。ここらの男はみんなこいつに1度は粉をかけている。そしてもれなく撃沈している。俺もまた、例に漏れずこいつに粉をかける1人だ。


「瑛史、まだやってんのか?いい加減諦めろよ。」

「景太郎、バカ言うんじゃねぇよ。俺が一度決めたことを覆すと思うか?」

「お前の粘着質は知ってるけどなぁ。田小谷ちゃん、悪いな。こいつは回収してくわ。」

「そうですか。では、さようなら。」


憂い顔で俺を見やった凛華は、そのまま1人で歩いていった。


「ちぇ。けーたろー、邪魔すんなよなぁ。」

「お前がいつまでも不毛なことしてるからだろ。つーか、お前調べもんあるんじゃなかったのか?」

「おー、そうだったな。早く帰ろーぜ。」


ここ数日、凛華をモノにするために、俺はあいつの周囲を調べまくった。あいつが好きなもんや嫌いなもん。なんで男嫌いになったかも知りたいが、まだあと一歩といったところ。今日もこれからその調査だ。

数日後、俺は組員に車を回させ、市内を走っていた。凛華が不良集団の集まりに行くらしいと聞いて、俺は慌てて出てきたのだ。凛華はあれですごく真面目な女だ。あいつが自分からそんなとこに行くわけがない。


「坊っちゃん、着きました。」

「おー、サンキューな。凛華は……。お、いた。」


凛華の姿を認めた俺は、静かに後をつけていった。

一緒にいるのは、見るからにチンピラといった風合いの奴等。その中に1人、凛華に似た顔立ちの男がいる。見た感じ兄貴だろうか。


「おい凛華。まだ俺の女になる気はねぇのか?大毅、お前の妹だろうがよ。ちゃんと教育してんのか?」

「しょうがねえだろ。こいつ女のくせに強情なんだよ。」

「……。」


暗く沈んだ表情で、でもなにも抵抗せずに周囲の男どもに囃し立てられている凛華に、俺は拳を握りしめた。

あいつ、自分の兄貴にこんなクソみてぇな集まりに駆り出されてたのか?あいつをゲスみてぇな目で見やがる奴等がのさばるこんなとこに。


「凛華……。」


奴等、ぶっ飛ばすか。

あいつらぶっ飛ばして凛華連れてここから出よう。あんな顔した凛華を放っとけるわけがねぇもんな。

俺は軽く肩を回しながら、奴等の前に躍り出た。


「おい。」

「あん?なんだてめぇ。」

「お前ら、凛華から手ぇ離せ。」

「……あぁ、お前もこの女にやられたクチか?ははっ。やめとけ、こいつは俺のもんだ。」


集まった奴等の中でリーダー格のような男が俺を挑発してくるのを、周りもニヤニヤと見ている。俺を見てもビビるどころかあんな口をきくところを見ると、俺の顔を知らねぇってことか?

ざっと見て7人。7人倒せば凛華を連れて行ける。まぁ腕鳴らしにもならんだろうし、早く終わらせるか。


「凛華、ちょっと待っとけよ。こいつらすぐ片付けるからよ。」

「あ、あなた……やめて!7人なんて危ないわ!」

「あぶねぇもんかよ。おら、早く来いよ。」


俺の挑発に乗った3人をまず順当にボコしていく。ほんとに準備体操にもならない。

俺が3人楽勝に倒したのを見て、やっと奴等に焦りが見えた。残りの5人が俺の前に立ちはだかり、凛華は兄貴に奥へ追いやられていく。

凛華に俺が暴れまわるのを見せるのも忍びない。むしろ好都合だ。


「てめぇ、俺のシマで暴れてどうなるか」

「どーなんだよ、貧弱なてめぇのシマで暴れたら。どう考えても大したことねぇだろ。さっさと凛華解放すりゃ、手加減してやるよ。」

「くそ……。おい、やっちまえ!」


次々向かってくる奴等をちぎっては投げちぎっては投げ……。蹴り倒しては殴り飛ばしして、ある程度動けないようにすると、俺は奥にいる凛華へ手を伸ばした。


「凛華、来い。」

「あ、あなたは知らないの!?この人たち、裏で暴力団と繋がってるのよ!」

「あん?どこの組だよ、それ。……あぁ、まぁここらの組なんてたかが知れてるな。それなら俺の権力範囲内だ。問題ないな。よし、解決。来い。」


俺の言葉に、凛華は泣きそうな顔で首を振る。


「だめ、だめなの……。」

「何言ってんだ、凛華。俺は茶戸家の跡取り息子だぞ。こいつらがつるんでるとこなんて、ウチのに比べりゃちゃちなもんよ。それに、俺は無敗の瑛史だぞ。誰が来ようと、凛華のことは俺が守ってやるよ。」

「っ……。……なんで、なんであなたは私を諦めないの?もういやよ、怖い……。みんなして人をモノみたいに。」


ついに涙を零して俺の胸を弱い力で叩く凛華に、俺は一瞬言葉が出なかった。

人をモノみたいに。確かに、寄ってたかって俺らは凛華に言い寄りすぎてたのかもな。こうして見ると、凛華だって細っこくて小せぇ女の子だ。十分俺らは恐怖の対象だろう。


「……。悪かった。」


俺は凛華に向かって頭を下げた。

ヤクザモンが、パンピーを怖がらせるなんてあっちゃならねぇ。親父に散々っぱら言われてたんだ。詫びの1つや2ついれねぇと。

頭を下げたままの俺に、凛華は鼻を鳴らしながらえっ、と声を漏らした。


「俺は凛華のことを好きだが、それは凛華には関係ねぇもんな。あんたが気の済むまで殴ってもいい。だが、これは信じてくれ。俺はあんたが好きだからあんたに言い寄った。」

「なっ……。私は……。」


俺の言葉に、凛華は顔を赤くして口ごもった。

なんだ、案外脈がねぇわけじゃねぇんだな。


「さ、そろそろ行こうぜ。こいつらが起きる前にトンズラしねぇと。」

「あ、そうよ!……この人たち、どうしよう。」

「……あんたはここではなんも知らなかった。全部俺がてめぇ勝手に暴れてあんたを脅したってことにしとけ。」

「え?」

「あの男、あんたの兄貴だろ。兄貴ボコした奴に連れられてったなんて、そうしといた方があんたとしては自然だ。な。」


他の奴等はまだしも、兄貴がここにいる以上、下手なシナリオじゃ凛華に悪意が向くかもしれん。それは俺の望むところじゃねぇ。

そう言い切った俺に、凛華は慌てたように反論してきた。


「だ、だめよ。それじゃ、あなただけが悪者になっちゃうじゃない!」

「いいんだよ。俺は元々褒められたやつじゃねえし、今更悪い噂の1つや2つ増えたところでかまやしねぇ。でも、あんたは違うだろ。いいって。俺のせいにしとけ。」


絶句する凛華の手を掴み、俺はその場を駆け出した。俺に引っ張られるがまま凛華は俺の後を走ってくる。

そのまま凛華の家に着くまで、ずっと手は繋がれたままだった。


「……で?親父はなんで母さんと結婚できたの?その人格破綻の社会不適合者が。」

「あん?そりゃおめぇ……。……俺が凛華の兄貴ぶん殴って脅したんだよ。俺の言う事聞けってな。」

22,222PVありがとうございます。

まったく気づかず、見たときにはすでに25,000PVを超えていました。

近日中に25,000PV記念のお話もアップします。


次回のお話は景介の父、景太郎の話をアップします。

期間が短いので、次回のアップに限りリクエストは受け付けられません。

30,000PV記念以降では募集したいと思いますので、よろしくお願いします。

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