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crazy everyday 彼らの日常  作者: こじか
1/15

茶戸貴斗の日常1

貴斗視点です。


貴斗 小学4年の話です。

初音ちゃんと出会ってすぐ、初音ちゃんを必死に探している頃になります。

「……はぁ。」

「貴斗?……またあの子のこと考えてるの?」

「景介。んー、頭から離れないんだー。初音……かわいかったなぁ。どこの子かなぁ、また会えるかなぁ。」


俺は4日前に出会った初音を想い、夢見心地でため息をついていた。

かわいい子だった。俺のこと、ヒーローって言ってくれた。小さな手で俺の腕を引いて、無防備に、無邪気に俺の名前を呼んでくれた。

これまで俺は、人から恐れられるか、敵意を向けられるかのどちらかだった。それについては俺も納得してるし、改善する気も特にないから問題じゃない。喧嘩も組も、俺は大好きだから、人に好かれるためだけには、止められない。

でも、初音はそんな俺を見て、かっこいいって、優しいヒーローだって言ってくれた。俺に好意を向けてくれた、初めての子。強烈なショックと、感じたことのないほどの歓喜、甘美な興奮を俺に与えてくれた。


「そんなに気になってるなら、早く探せばいいのに。その初音ちゃん。この近くの子なんでしょ?」

「ん、そのはずなんだけどねぇ。イマイチうまくいってないっていうかー、捗々しくないっていうかー。んー、3丁目の公園だったから、その近くに住んでると思ったんだけどなぁ。」


景介の言葉に、俺は不満を全面に出して口を尖らせた。

初音に会って、翌日にはもう3丁目を中心に、ここら一帯を調べさせてるのに、未だどこに住んでいるのかも分からない。


「そうなのか?旅行者って線は?」

「可能性は低そうかな。あの時、周囲に大人の姿はなかったし、初音も荷物は人形だけ。お盆で親戚の家に遊びに来たってことも考えられるけど、それでも小学生が1人であの公園に遊びに来るかは甚だ疑問だね。あの周辺の住宅街は新興住宅が中心で、入ってる人も若年層のファミリーばっか。どっちかって言うと、お盆は自分達が赴く方が多いはずだ。余所からお盆にって来そうな年齢層は、あの公園からは離れてる。」

「ふーん。さすがだなぁ、貴斗。ていうか、初音ちゃん見つけたらどーすんの?」

「そりゃもちろん、俺のにするに決まってるでしょ。」

「どーやって。」


景介の問いに、俺はきょとんとした。

どうやって初音を俺のものにするか。……彼氏・彼女として。そのためには、初音に俺を好きになってもらわなきゃいけない。今の俺は、初音に好きになってもらえる要素は果たしてあるのか。

……答えは否。だって、これまで人に好かれるような振る舞いなんて、したことない。毎日喧嘩に明け暮れ、傷だらけで帰宅してるのだ。こんな奴、人形を取られてからかわれただけで泣いていたような初音は、絶対に近づかない。この前の出会いは、偶然が重なって、たまたま俺がいい人みたいに見える状況になっただけだ。


「……どうしよう、景介。俺、初音に好かれるところ、ないかも。」

「えぇ?あー、んー……お前は喧嘩ばっかしてるからなぁ。えっと、初音ちゃん、貴斗のこと、強くて優しいヒーローって言ってたんでしょ?それ目指せばいいんじゃない?」

「……強くて優しい?」

「そう。初音ちゃんはその時、貴斗のことそう言って褒めたんなら、少なくとも、初音ちゃんにとってそういう人が好ましい人ってことなんじゃないかな。だから、貴斗がそういう人になれば、きっと好きになってもらえるよ。」


景介の助言を受け、俺はなるほど、と納得した。

確かに、今の俺よりは好かれそうな人物像に思える。何より、あのか弱くてかわいい初音の隣に立つのに、そっちの方が相応しそうだ。


「うん。そうしてみるよ。初音のために、強くて優しいヒーローになってみる。人好きするような、フレンドリーな人物像を作り上げてみせる。景介、ありがと。方向性が見えてきたよ。」

「ううん。がんばってね、貴斗。俺も応援してる。」


こうして俺は、初音に好かれるために自己改造を行っていった。自然に人好きする笑みを浮かべ、初音を守れるような強さを、初音が安心できそうな優しさを身に付けていく。これも全部、いつか再会した初音に好きになってもらうため。

いつ再会できるだろうかと焦がれながら、俺は初音の隣に立つに相応しくなれるように日々努力を続けた。

次回は初音視点を予定してますが、希望があれば可能な限り受け付けます。


次は11111PVを予定しています。

気づいてないこともあるかもしれないので遅刻するかもしれませんが、ご容赦ください。

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