「7つのお宝を自由に扱い、今日もお宝探し!目指すは世界一のトレジャーハンター&世界最高の大冒険!」
☆主人公の人物像☆
魔法や剣が支配する国で唯一の生きる人形。伝説のトレジャーハンター・マルスにより身体に7つのお宝(翼など)を埋め込まれ作られた。7つのお宝&マルス直伝の技術・精神でどんな冒険も楽しんでやっている。
ただし、7つのお宝(魂のコインだけは別)には使用時間があり、使用時間を越えると、アリスは壊れてしまう。
アリスの夢は世界一のトレジャーハンターになることと、父ともいえるマルスを追い越すこと。マルスの手紙にあった世界一のお宝と称される「月の光」を見つけ封印したいと考えている。
アリスは夢の傍ら、王様や様々な依頼人から様々な依頼を受け、お宝を探しに世界中を飛び回る。
アリスは自分が人形であることを気にしていないし、逆に誇りに思っている。
○ マルスの部屋(夜)
怪しい古美術品がたくさん並んでる。
マルス(42)が人形にいろいろなお
宝を取り出して、人形につけている。
マルス「これは私が10歳の時にカマン遺跡
で見つけたお宝でドラゴンの翼・・もどき
・・これで10分間空を自由に飛び回れる
ぞ・・これで6つのお宝を取り付けた・」
翼を人形に取り付ける。
マルス「最後に・・魂のコインを」
マルスが人形の胸にコインを入れる。
人形の目に生気が宿る。
人形「・・・わ・た・しは?」
マルス「おお!お前の名は・・アリスだ」
人形「ア・リス?」
マルス「そう・・アリス」
人形「わたしは・・アリス」
マルス「そうだ!お前はアリスだ・・魂と名
はOKだな。最後に・冒険には困難があっ
た方が面白い。それが人生だよ。アリス」
アリス「冒険・・面白い・・・それが人生」
テロップ「14年後」
○ 広い原っぱ
牧童が牛や羊を連れていると鐘がなり
慌てて逃げ出す牧童。
ドラゴンが現れ、村や町を荒す。
○ 架空中世世界アルゴニア都市アリスの店
賑やかな町の風景。魔術師や傭兵や商
人など様々な人種の人たちが行きかっ
ている。
看板に「トレジャーハンター・アリス
の店どんな依頼&お宝もゲット」
○ アルゴニア城王様の部屋
王様(52)が頭を抱えている。兵
士が走ってくる。
兵士「申し上げます。またドラゴンが現れ、
北東の村々を襲いました」
王様「・・・分かった」
大臣「王様・・・」
王様「・・・はあ。またドラゴンか」
大臣「なんとかせねば・・」
王様「そんなこと分かっておる。でもドラゴ
ンだぞ!ドラゴン退治専門の傭兵どもを雇
ってみろ?いくらとられる事やら・・」
大臣「しかし、民のためを思えば・・」
王様「だから分かっておる!でも・・もう質
入するものがもうない!知っておろう!」
王様が部屋を見渡すと置物などに差し
押さえの札。王の服にまで札がある。
王様「はあ・・・」
大臣「王様、私めに一つ案がございます」
王様「なんだ?」
大臣「はい。噂によるとドラゴンにも弱点が
あると聞きます」
王様「弱点?」
大臣「・・・はい。髭でございます」
王様「・・・髭?(自分の髭を触る)」
大臣「ドラゴンの中でも最強のドラゴン。ゴ
ールドドラゴンの髭でございます」
王様「ゴールドドラゴンの髭か?」
大臣「ゴールドドラゴンの髭の匂いを嗅ぐと
普通のドラゴンは恐れをなして逃げると」
王様「でも、高いんじゃないか?」
大臣「それが、最近、町にトレジャーハンタ
ーアリスとやらが店を出しております。激
安で依頼を受けるとの事で評判でございま
す。つまり買わずに手に入れるのです」
王様「だが激安といっても、雇い金は?」
大臣「ご安心を。金ではなく権利を与えては
いかがでしょうか?」
王様「権利?」
大臣「はい。ドラゴンの髭を手に入れれば、
アルゴニア王国認可のトレジャーハンター
を名乗ってよいとことにすれば良いのです
・・フリーランスの彼らにとって名声は命
の次に大切なお宝でございます」
王様「それは良い!ならばすぐに・・」
アベル「父上!お待ちくだされ!!」
アベル(14)が現れる。
大臣「アベル王子」
王様「おお!我が愛しき息子どうした?」
アベル「そのような仕事なら、世界一のトレ
ジャーハンター。アベルにお任せあれ」
王様「(ため息)お前はこの国の王子だぞ」
アベル「父上!!!」
王様「はい・・」
アベル「昨日の約束を忘れた訳では?」
王様「いや・・忘れてはないが・・」
アベル「ならば、私にお任せ下さい!」
アベルが出て行く。
大臣「王様?約束とは?」
王様「(ため息)18の誕生日までに太陽の
玉座を手に入れたら自由にしてよいと」
大臣「なんですと!王位を放棄して良いとお
認めに・・」
王様「太陽の玉座は月の涙と並ぶ世界最高の
お宝・・・探せるはずなかろう?」
大臣「探せられるかの問題ではありませぬ!
王子はこの国の王になるお方!危険に関わ
る事自体が問題です!」
王様「でも・・・それまでは自由にして良い
と約束を・・・」
大臣「なんて約束を・・・」
王様「だから何か良い案はないのか」
大臣「やはりトレジャーハンターを護衛に付
けさせましょう」
王様「しかしアベルは納得するか?」
大臣「王子の気質からいって無理でしょうか
ら・・・こういう案は如何でしょう?」
大臣が王様に耳打ちをする。
○ アリスの店前の道
看板を見ているアリス(14)
アリス「うん!OK!OK!」
大臣が現れる。
大臣「そこの、少女。世界一のトレジャーハ
ンターアリスとやらに依頼を頼みたいのだ
が・・・」
アリス「依頼!何です?」
大臣「いや、アリスとやらに直接頼みたい」
アリス「はい。だからなんです?」
大臣「まさか。君がアリスか?」
アリス「もち!」
大臣「・・・」
○ アリスの店の店内
いろいろな骨董品やお宝が並んでる。
大臣が小瓶を手に取る。
大臣「お宝か(匂いを嗅ごうとする)?」
アリス「うん。洪水の香りって言って、その
匂いを嗅ぐと洪水のような鼻水がで続ける
お宝!」
大臣がびっくりして嗅ぐのをやめる。
大臣「これは・・?」
大きな老人の肖像画が描かれている。
アリス「最後の肖像っていうお宝で自分の最
後の姿を描き出してくれる絵」
大臣「・・(驚いている)」
アリス「・・で?依頼は?」
大臣「ああ・・・実はそなたにゴールドドラ
ゴンの髭をゲットして欲しい」
アリス「ドラゴン避けってこと?」
大臣「ああ」
アリス「ドラゴンバスター雇うと高いもんね
。それにドラゴンは仲間意識高いから、中
途半端に退治すると恨み買うしね」
大臣「受けてくれるか?」
アリス「もち!OK」
大臣「そうか・・それで報酬なんだが・・」
アリス「・・」
大臣「見事役目を果たした時は、お前にアル
ゴニア王国認可のトレジャーハンターを名
乗る権利を与えよう!!!!」
アリス「・・・で?」
大臣「(冷や汗をかいている)どうじゃ?こ
の歴史あるアルゴニア王国認可のトレジャ
ーハンターになれるのだぞ!!」
アリス「それ?意味あんの?」
大臣「もちろん。もちろん。すごいぞ!とり
あえず、すごい事だ!!
アリス「何がすごいか、良く分からないけど
、面白そうだから・・良いよ」
大臣「おお!そうか。受けてくれるか」
アリス「うん。よし早速支度を・・」
大臣「ちょっと待った!一つ条件がある・・
?この国の王子であるアベル様の護衛もす
るのじゃ?」
アリス「護衛?」
大臣「そうじゃ。アベル王子はこの国の王子
として民のために自らドラゴンの髭を手に
入れようとしている」
アリス「ふ~ん」
大臣「で・・・王子は誇り高い。お主は彼の
付き添いとして参るのだ・・・もちろん。
危険な仕事はお前の仕事だ」
アリス「う~ん。よくわかんないけどいいよ」
大臣「だめじゃ!ここは大切なところだから
しっかり守ってくれ!」
○ 王様の部屋
王様の前にアベルがいる。
アベル「それでは、父上!ご依頼のドラゴン
の髭ゲットしてきましょう!」
王様「(小声で)してないけど」
アベル「父上!!一国の王ともあろうものが
うそをついて良いのですか!!」
王様「いえ・・・頼むぞ」
アベル「は!!」
大臣「王子お待ちくだされ!」
アベル「?」
大臣「実はアリスなるトレジャーハンターが
世界一のアベル様の技を学びたいと申し出
ております」
アベル「?」
大臣「やはり世界一の技術は継承せねばなり
ませぬ・・・連れて行ってみてはいかがで
しょうか?」
アベル「しかし素人は足手まといのうえ、命
の危険さえある!」
大臣「王子の仰る通りでございます・・しか
し会うだけでも会って頂けないでしょうか
?夢見る若きものにお情けを・・」
アベル「そこまでいうなら・連れてまいれ」
大臣がアリスを連れてくる。
アベル「子供のうえに・女じゃないか?!」
アリス「自分だって子供じゃん!」
アベル「な・なに?」
大臣「アリス殿・・なんとか抑えて下され」
アベル「こんな奴連れていかんぞ!」
大臣「(耳打ち)アリス殿抑えてくだされ・
・護衛も依頼のうちですぞ」
アリス「・・分かったよ」
王様「アベル・・昨日力説しておったじゃな
いか?トレジャーハンター足る者、どんな
依頼も受けてこそ本物だと・・依頼者のわ
しが頼んでいるのだ?なあ、頼む」
アベル「・分かった!アリスとやら連れてっ
てやろう!明日の朝出発じゃ!」
○ 草原
アベルが先頭でアリスと歩いている。
どんどん先に進んでいくアベル。
アベルが地図を見る。
アベル「ゴールドドラゴンの住むパルメザン
鉱山まではメンダルの森を抜け、砂漠を越
えねばならんな・・」
アリス「・・」
アベル「・・メルダンの森まで、歩いて二日
か・・まだまだ先だな(ため息をつく)」
アリス「ねえ?」
アベル「なんだ?素人は黙ってろ!旅と言う
のはな・・長い道のりを一歩・一歩・・」
アリス「メンダルの森まではずっと草原。馬
で行けば一日じゃん?」
しまったという顔のアベルだが、気を
取り直して。
アベル「・・なかなかできるな」
アリス「・・えっ?」
アベル「そうだ!そなたのトレジャーハンタ
ーとしての資質を見ていたんだ。実は」
アリス「・・素質?」
アベル「なかなか見事!よし!城へ戻るぞ」
アベルが来た道を戻る。アリスが困っ
た様子で連いていく。
○ 城
城から馬で出てくるアリスとアベル。
アベル「体力の減少を防ぐためにも、馬を使
うのだ!行くぞ!(ムチを打つ)うわっ」
馬に乗られた様子で走り出す。
アリス「・・大丈夫なのかな?・・まあ、こ
れはこれで・・行こう?!」
アリスが馬を乗りこなして走り出す。
不安そうな王様と大臣と民衆。
○ 草原
二人が馬に乗り草原を走り続ける。
○ メンダルの森まえ(夜)
馬を自由にする二人。
アベル「さて、ここからは歩きだ。行くぞ」
アリス「えっ?夜の森は危険じゃない?」
アベル「民が困っているのだ!早く先に進む
のだ!」
アリス「(困った様子で頭をかいている)」
アベル「安心しろ!魔物など、このアルゴニ
アの宝、伝説の聖剣オルガーがあれば」
アリス「エクスカリバーでできてる?!」
アベル「そうだ。昨日、私の剣と交換してき
たのだ!(自慢げに)見よ!当家に伝わる
伝説の聖剣を!」
アベルが堂々と抜くが、普通の剣。
アリス「それってただの鋼じゃない?」
アベル「・・・はがね?」
○ 王様の部屋(夜)
王様が大量の借用書を見て、ため息を
ついている。
大臣「王様!大変でございますぞ!」
王様「また・・・取立てか?・・わしは体調
がすぐれぬから、お前会ってくれぬか?」
大臣「そんな事ではござりませぬ!アルゴニ
アの宝!聖剣オリバーが鋼の剣に!」
王様「ああ・・・それね。借金のかたに・・
ベルア連合のベルア三世に貸してるんだよ
ね・・だからその間、鋼の剣を代わりに」
大臣「王様!爺は嘆かわしいですぞ・・我が
国の宝を借金のかたに・・」
王様「だって・・」
王様と大臣が言い合っている。
○ メンダルの森前(夜)
アベルが鋼の剣を抜いたまま固まって
いる。
アベル「・・・一見普通の鋼の剣に見えるだ
ろう・・それこそが名剣と言われるゆえん
なのだ・・・」
アリスがアベルの剣をよく見ている。
アリス「・・でも、めちゃくちゃ普通の鋼っ
ぽいね・・」
アベル「これには聖なる力が宿っている!ど
んな魔物も悪霊も怯える聖なる力が!」
森から魔物の叫び声。
アベル「(びびりながら)ほら・・魔物も恐
れておる・・」
アリス「怯えてるというより、敵意向き出し
のほえ方だけど・・」
顔を見合わせる二人。
アベル「そこまで・・お主が疲れているなら
、今日はここで休もう・・そして明日の朝
森を抜けよう・・」
アリス「(呆れている)・・」
○ メンダルの森の中(夜)
魔物たちが寝ているアリスとアベルを
見ている。
○ メンダルの森前(夜)
アベルが急に起きる。寝ぼけた様子で
どんどん森の奥へ入っていく。
アベルが立ションをしている。
アベル「(寝ぼけた状態)おい。爺!暖炉に
火を・・(目が覚める)
アベルが混乱し辺りを見回してる。
たくさんの目がアベルを見ている。
アベル「ひやっ~~~~」
○ メンダルの森前(夜)
焚き火の音がする以外に静か。
アリスがふと目を覚まし、アベルがい
ないことに気づく。
アリス「アベル・・」
アリスが森を睨む。
○ メンダルの森の中(夜)
アベルがゴブリンたち魔物に囲まれて
怯えている。
アベル「わ・私は・・アルゴニア王国の王子
・・いや世界一のトレジャーハンターアベ
ルだぞ!近づくものは聖剣オリバーで斬る
ぞ!!」
ゴブリン達が近づいてくる。
アベル「・・えっと、ちょっと言い過ぎた事
もあるけど・・待って・・わあ!」
アベルがゴブリンに襲われる。
アベル「うわ!!」
アリスが現れる。アリスの手がムチに
変化してゴブリンたちを倒す。
アリス「大丈夫?アベル」
アリスの手を見て、アベルが驚く。
アベル「アリス。なんだ?その手は?」
アリスの手がムチに変化している。
○ メンダルの森の中(夜)
アリスが聖水を振りまいている。
アリス「これで・・朝までは持つね。どうし
たの?」
アベル「さっき・・手。ムチみたいに・・」
アリス「あれは夢幻のムチってお宝」
アベル「ああ。お宝を持っていたんだな・・
なるほど。ちょっと見せてくれないか?」
アリス「はい(アリスの手がムチになる)」
アベル「うわ!!なんだ。手が!!」
アリス「うん。私の手だから」
アベル「私の手?」
アリス「うん!私って人間じゃなくて人形な
んだ!魂のコインってお宝で生まれたの」
アベル「人形・・」
アリス「そう・・トレジャーハンターのマル
スが私を作ったの。マルスは私を作るとき
に7つのお宝を埋め込んだの。その一つが
この夢幻のムチ!」
アベル「それってすごい事言ってない?」
アリス「そうかな?よく驚かれるけど・・た
だ人間か人形かの違いでしょ?」
アベル「うん・まあ。そうかもしれないが」
アリス「まあ、全然気にしないで」
アベル「気にしないでって・・っていうか・
・ちょっと待て!マルスってまさか・・あ
の伝説のトレジャーハンターの?」
アリス「うん」
アベル「・・氷の宝石やブルンダ遺跡発掘や
シードラゴンを封印した!っていうか。教
科書にものっている?あのマルスか」
アリス「うん」
アベル「・・世界最高のお宝「月の涙」を探
しに旅立った?!」
アリス「そう!私の父でもあり師匠!」
アベル「そっか・・お前って実は以外にすご
い奴なんだな?」
アリス「へっへっ!そう?」
アベル「ああ・・話を聞かせてくれよ!」
アリスとアベルが話をしている。
○ メンダルの森
アリスとアベルが森をかきわけながら
歩いている。
沼にはまるアベルを助けるアリス。
魔物の咆哮に怯えるアベル。
魔物を撃退するアリス。
○ メンダルの森の外
アリス「もう少しで森を抜けれるよ!ほら!
がんばって!」
森を抜けると一面に砂漠が広がってい
る。
アベル「・・まだまだ?」
アリス「うん!半分ぐらいかな?」
アベルが地面に座り込む。
○ 砂漠
アベルが疲れきっている。
○ オアシス
アベルが必死に水を飲んでる。
アリス「大丈夫?」
アベル「・・大丈夫だ」
アリス「でも・・なんでアルゴニアの王子が
トレジャーハンターに?」
アベル「・・王の仕事は性に合わんし、自由
に生きたいのだ!」
アリス「だから?トレジャーハンター?」
アベル「ああ・・自由だろ~」
アリス「・・別にトレジャーハンターじゃな
くても自由になれる気がするけど・・」
アベル「それは・・宿命を背負ったものにし
か・・分からないのさ・・」
アリス「ふ~ん」
アベル「ところで、まだ・・先なのか?」
アリス「もう少しだね・・」
アベルがアリスの見ている先を見ると
鉱山が見える。
○ パルメザン鉱山洞窟入り口
大きな鉱山と洞窟。
アベル「やっと・・ついたか」
アリス「世界最高の金が埋蔵されているのに
ゴールドドラゴンのおかげで誰も掘り出せ
ないか・・」
アベル「・・」
アリス「行こう」
○ パルメザン鉱山洞窟
アリス達がたいまつを点し歩いてる。
コウモリに驚くアベル。
○ パルメザン鉱山洞窟
チーズとパンを食べているアリス達。
アベル「・・しかし、地図もないのにドラゴ
ンが何処にいるか分かるのか?」
アリス「においがするじゃん?」
アベル「(驚きながら)そうだな!そうだ。
トレジャーハンターは五感を大切にする・
・基本だな!はっはっ!」
アベルが匂いを嗅ぐが、全然分からな
い。
○パルメザン鉱山洞窟最下層
アリスとアベルが息を殺しながら進ん
でいる。
ゴオッーと地響き。
アベル「なんだ。これは?」
アリス「いびき。ゴールドドラゴンの」
アベル「これが・・いびき・・」
アリス「ラッキー。寝てるね」
アリスが目薬とビンを取り出す。
アリス「この目薬をさして。あとこれを身に
振りまいて」
アベル「(目薬をさす)・・これは?」
アリス「こうするの」
アリスがたいまつの火を消す。
アベル「おい!たいまつを消したら・・何も
見えなく・・ない」
アリス「闇色の目薬っていってね。どんな闇
夜でも目が効くようになるの・・一時間だ
けどね」
アベル「なるほど・・」
アリス「それと、それを」
アベルが小瓶のにおいをかぐ。
アベル「くさっ!(大きな声で)なんだこれ
は?」
地響きの勢いが増す。
アリス「しっ!彼らの耳は鋭いんだからね」
アベル「・・」
アリス「それはゴールドドラゴンの糞」
アベル「ふ~んって。糞!!」
アリス「そう。匂いを消さないと」
アベル「・・(躊躇している)」
アリス「もう・・早くして!(アリスがそれ
を取り上げてアベルに振りまく)」
アベルが全部浴びる。
アリス「あっ・・・かけすぎちゃった」
アベル「おまえ!!」
地響きがとまる。
アリス「しっーーー!起きちゃうでしょ」
また地響きが始まり、安心する二人。
アベル「これ、毒とかはないんだろうな?」
アリス「一ヶ月ぐらい、匂いが取れないぐら
いだから・・安心!」
アベル「どこが安心だ!!」
アリスが静かにと合図をしてる。
アリスが先に進む。
アベル「一ヶ月・・一ヶ月・・・一ヶ月も」
二人が慎重に先に進む。
○ パルメザン鉱山洞窟最下層
洞窟のスペースが広くなり、ドラゴン
のいびきも大きくなっている。
アリス「(小声で)これからは・・しゃべり
なしね?全部サインね。トレジャーサイン
は知ってるよね?」
アベル「えっと・・(たどたどしく手話をす
る)もちろん。世界一だからな」
アリス「(しゃべるなとOKサインと進むの
合図を出す)」
二人が先に進む。
○ パルメザン鉱山洞窟最下層ドラゴン住処
洞窟全体が全て金で出来ている。その
真ん中で50メートルはあるゴールド
ドラゴンが寝ている。
アベル「(驚愕している)すごっ」
アリスがアベルの口をふさぐ。
アリス「(静かにのサイン)」
金色のゴールドドラゴンが優雅に寝て
いる。
アリスが慎重に近づき、アベルもびび
りながらも連いていく。
アリス達が顔の前に行く。アベルが思
わず触れようとするがそれをやめさせ
るアリス。
ドラゴンが起きそうになり、驚いてい
る二人。しかしドラゴンはまた寝る。
安心した表情で顔を見合わせる二人。
アリスがドラゴンの牙でできたナイフ
を取り出し、ゴールドドラゴンの髭を
切り落としている。
アベルが退屈そうに見ていたが、飽き
て周りを探索している。大量の金を見
てそれを掴もうとしたとき、剣が金に
当たりそうになるが、間一髪でアリス
がそれを防ぐ。
アリス「(うれしそうにGETの合図)」
アベル「(大声で)おお!さすが我が一番弟
子!」
アリス「(大声はダメの合図)
アベルが腰を抜かす。
アベル「ドラゴン・・ドラゴンの目が・・」
アリスが振り向くと、ゴールドドラゴ
ンがアリスたちを睨んでいる。
アリス「逃げるよ!」
アリスが逃げ出すが、アベルは腰を抜
かして動けない。
アリス「もう!」
アリスがアベルを背負って逃げる。
怒りの咆哮をあげるドラゴン。
アリスが狭い洞窟の通路に逃げるが、
洞窟を破壊しながら、アリスたちを追
いかけるドラゴン。その衝撃で洞窟が
壊れていく。
アリス達が逃げるが、ドラゴンに追い
詰められる。
アリスがアベルを見ると気を失ってい
る。
アリス「はあ・・(深いため息)」
洞窟が崩れていくうちに、洞窟に穴が
開き、光が差し込む。
アリス「光・・・空!」
はるか上に穴が開いている。
アリスたちに近づくドラゴン。
アリスが古い懐中時計を見る。
アリス「・・10分」
アリスがアベルの剣をドラゴンの方へ
投げる。ドラゴンが一瞬、剣に隙を取
られたうちに、アリスが変身をする。
アリスの背中から翼が生える。
アリス「(時計を見て)10分で十分!!」
アリスがアベルを背負い、気をとられ
たドラゴンの股を飛んで逃げて、地上
への穴に飛んでいく。
我に返ったドラゴンがアリス達を追い
かける。
アリスが地上に出てくる。
○ パルメザン渓谷
パルメザン鉱山が見える渓谷。
アリス達が穴から飛び出て、逃げる。
ドラゴンが大きな穴を開けて、飛び出
し怒り狂った様子でアリスたちを追い
かける。
アベル目を覚ます。
アベル「・・なんだ・・まだ夢か・・」
アリス「ばか!起きなさいよ!」
アベル「・・(ドラゴンに追われている事を
思い出し)ドラゴン!!」
アベルが暴れて、アリスの飛び方が乱
れ、崖にぶつかりそうになる。
アベル「ぶつかる!!危ないじゃないか!」
アリス「暴れないでよ!」
アベル「お前・・空も飛べるのか?」
アリス「10分ならね・・」
アリスが時計を見ると、あと8分。
アベル「で・・どうするんだ?」
アリス「ゴールドドラゴンは昔、神の使いだ
った・・でも神様を振り落としてしまい、
罰を受けたうえに、地上に降とされたの」
アベル「そのおとぎ話がどうした?」
アリス「それ以来、ゴールドドラゴンはその
時の神様の悲鳴を聞くと罰を思い出して、
逃げ出す!」
アベル「・・つまり?」
アリス「・・だから・・私が神の悲鳴を起こ
す・・」
アベル「神の悲鳴を起こせるのか?」
アリス「たぶん・・私の翼とこの渓谷の共鳴
を利用すれば・・」
アベル「なら、早く起こせ!」
アリス「私が翼を使える時間はあと6分ちょ
っと・・準備に最低3分必要・・それもド
ラゴンに邪魔されない3分間が!」
アベル「つまり・・囮になれってことか?」
アリス「うん!3分間」
怒りの形相で追ってくるドラゴン。
アベル「無理だ!!無理に決まってるだろ」
アリス「やらないと!二人とも助からないの
よ!!」
アベル「・・」
アリス「世界一のトレジャーハンターなんで
しょ!」
アベル「・・無理だ。あんなの相手に」
アリス「・・もう・・村?」
渓谷の先に小さな村が見える。
アベル「・・」
ドラゴンが腹いせのように村に襲い掛
かろうとする、
アリス「しまった!!」
逃げ惑う住民達。
アベル「・・」
アベルがアリスから降りる。
アリス「アベル?!」
アベル「(ドラゴンに向かって)おい!クソ
ドラゴン!!弱き民を傷つけると許さんぞ
!俺が相手だ!!かかってこい。貴様なん
か・・この私が聖剣・・」
ドラゴンがアベルに気づき、アベルに
襲い掛かってくる。
アベルが剣を抜こうとするが剣がない。
アベル「・・聖剣・・ない・・ないぞ!」
アリス「さっきの剣投げ捨てたよ!」
アベル「お前!何を・・」
ゴールドドラゴンがアベルに襲い掛か
る。
アベル「うわ!!」
アベルが逃げ出す。追いかけるドラゴ
ン。
アリス「それじゃ~3分間頼んだよ」
アベル「3分!だと!!ふざけるな!!」
アベルが逃げている。
アリスが辺りを見回している。
アリス「あの・・場所なら」
アリスが渓谷の切り立った場所に降り
立つ。
アリス「マルス・・」
○ 砂漠(夜)(回想)
マルスとアリスが寝袋で寝ている。
アリス「ねえねえ!マルス。そんなにすごい
のゴールドドラゴンって?!」
マルス「ああ、あれは魔物の中の王の王だ」
アリス「へえ・・でも倒したんでしょ」
マルス「倒せないよ。ただ撃退はした」
アリス「どうやって?」
マルス「(口笛をふく)それはね・・」
マルスとアリスが星を見ている。
○ パルメザン渓谷(回想終わり)
アリスが翼で風を作っている。
アベルがドラゴンに追い詰められ絶対
絶命。
アベル「(腰を抜かしてる)もう終わりだ」
アリスの翼の音が響くと、ドラゴンが
急に恐れをなして、逃げ出す。
アベル「(逃げていくドラゴンを見て呆気に
とられている)・・なんだ?」
アリス「面白かったね!」
アベル「面白くない!死ぬとこだった!」
アリス「冒険は困難があった方が面白いんだ
よ!」
楽しそうなアリスに何もいえなくなる
アベル。
アベル「でも・・アリス?何をしたんだ?」
アリス「神の悲鳴。聞こえなかった?」
アベル「そんなの聞こえなかったぞ・・風の
音しか?」
アリス「神の悲鳴ってのは・・風の音に・・
(マルスの口笛をならす)神の口笛をプラ
スするの」
アベル「神の口笛?」
アリス「神様がゴールドドラゴンの背中に乗
っていたときにいつも吹いていた口笛の音
にドラゴンの翼の音をある割合で共鳴させ
るの。それが神の悲鳴。人間の耳には聞こ
えないぐらいの小さな音だから無理もない
けどね・・」
アベル「・・」
アリス「神様もゴールドドラゴンに乗って空
を飛んでた時は口笛を吹いてたんだね」
○ アルゴニア王国外れの小さな村
普通のドラゴンが近づくが、すぐに怯
えて飛んで逃げていく。
村の門には、ゴールドドラゴンの髭の
一部が祭られている。
○ アルゴニア都市アリスの店前
アリスの店の看板に「アルゴニア王認
可」が新しく書いてある。
○アルゴニア都市アリスの店内
怪しいお宝がいろいろ置いてある。
ドアが開く音。
アリス「(ドアを見ないで)アベル?」
アベル「なぜ?分かった?」
アリス「糞の匂いがしたからね」
アベル「なっ何(自分の匂いを嗅いでる)」
アリス「で?何?」
アベル「なぜ・・父上の前でうそをついた」
アリス「・・」
アベル「ドラゴンの髭をゲットしたのも。撃
退したのも・・本当はそなたの手柄・・」
アリス「うそなんかついてないよ・・ドラゴ
ンに立ち向かったのはアベルじゃん!」
アベル「・・」
アリス「勇気が冒険を成功させたんだよ」
アベル「・・」
アリス「それに面白かったし!十分!!」
アベル「・・それでは、気がすまん!」
アベルが外に出て看板を書きかえる。
アリス「ああ!何してのよ!」
看板に「世界一のトレジャーハンター
アベルが認める唯一のライバルアリス
の店」と書いている。
アベル「・・これが唯一私にできることだ」
アリス「何してるのよ!こんなの恥ずかしい
じゃん!消してよ!!」
アベル「何だと!はずかしいだと!光栄に思
え!」
アリス「光栄どころか!店がつぶれる!!」
アベル「なに!!」
けんかしている二人。
天気の良い青い空が広がっている。