ペンギン三兄弟 〜 3話 そうだ、かるたやろう! の巻
ペンギン三兄弟、チャン、ドン、ゴン。
今日も仲良く暮らしています。
しずかな居間では、時おり、
ピ、ピ、ピ、ピリリリーン、と
三方から電子音がひびいています。
3羽は、さっきからそれぞれに電子ゲームに夢中になっていました。
チャン「そろそろゲームも飽きてきたな」
チャンがつぶやきましたが、ドンもゴンも
無言のままゲームの手を止めません。
チャン「ちょっと、きみたち、聞こえてる?」
ドン「聞こえてなーい」
ゴン「なんにも聞こえなーい」
チャン「なんかみんなで別のことしようよ」
ドン「いいよ、何する?」
ゴン「しりとり?」
ドン「りんご!」
ゴン「ゴリラ!」
チャン「...」
チャンは、2羽の変わり身の早さにびっくりして、ことばが出ませんでした。
ドン「ほら、チャンの番だよ」
ゴン「ラだよ、ラ」
チャン「ら....らっきょう」
ドン「うし!」
ゴン「しか!」
チャン「...」
ゴン「カだよー」
チャン「カ...カン」
ドン「はい、チャンの負けー」
ゴン「チャンはヘッタクソだなあ、もう終わっちゃったじゃん」
チャン「テンポが速すぎるんだよー」
ドン「じゃあ何する?」
ゴン「古今東西ゲーム!」
チャン「だからそのテンポやめてー」
ドン「古今東西、おいしいたべものー」
パン、パン、
ゴン「ステーキ!」
パン、パン、
ドン「おすし!」
パン、パン、
チャン「パンダ!」
ドン「ブッブー、パンダは食べないでしょう」
チャン「パンダパンとかさ、パンダ焼きとかさ...」
ゴン「チャンはリズム感ないからなー」
ドン「続かないからつまんないよ」
チャン「そうだ、かるたやろう」
ゴン「何、その、『そうだ京都行こう』みたいなのり」
ドン「かるたなんてあるの?」
チャン「たしか、この辺に...」
チャンは、戸棚の引き出しをゴソゴソとさぐりました。
チャン「あったー、何年か前に景品でもらったやつ」
ゴン「まったく、物持ちがいいねえ」
チャンは、かるたを並べました。
ドン「じゃあ、ぼくが読むよ」
『セールのひ オキアミやすいよ おかいどく』
ゴン「はい!」
ゴンがとりました。
ドン「じゃあ次」
『さんどのごはん オキアミたべて げんきいっぱい』
チャン「はい!」
チャンがとりました。
ドン「続いていくよー」
『しらすもいいが さいごはやっぱり オキアミどん』
ゴン「はい!」
ゴンがとりました。
ドン「調子いいねえ」
『オキアミの しょうたいびっくり プランクトン』
チャン「はい!」
チャンがとりました。
ドン「ん?」
『にてるけど エビじゃないよ オキアミよ』
ゴン「このかるた、なんか内容がかたよってない?」
チャン「『オキアミかるた』って書いてある」
ドン「なんだかオキアミが食べたくなっちゃったよー」
ゴン「おれもー」
3羽は、それから、仲良くオキアミ丼を作って、お腹いっぱい食べました。
『くちばしに オキアミついてる チャン、ドン、ゴン』
おあとがよろしいようで。