表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

脱出(志真サイド)

作者: 神童サーガ


 信じたくない。私の幼馴染みが、私を庇って撃たれた。

 あれから数日たったのに、目を覚ます気配は無い。

 私は、事件の日を思い出してた。








 二つの銃声がした途端に、ドサッと私に何かが乗っかってきた。

 重いなぁと場違いな事を考えていたけど、すぐに消えた。



「・・・うそ」



 今見た物を忘れさせて・・・。



「和馬!!」



 真綾も私と同じくしてる。まさか、空陽も撃たれたの?

 なんで、そんな酷い事出来るの?



「カズマ・・・」


「ハヅキ・・・泣かないでください」



 泣いてないよ。これは、ほらっ心の汗だよ!!しょっぱいもん!!



「ばーか・・・目から・・・出るんですか?・・・」



 喋るな・・・。傷が酷くなる。



「・・・あっちも・・・言ってますよね?」



 なにを・・・?

 真綾の方を見ると、空陽が真綾の頬を触ってる。



「・・・ハァ・・・ハァ・・・・聞け・・・」



 いつもの敬語じゃない。余裕が無いんだ。

 私は、頷くしか出来なかった。



「僕は・・・・葉月・・・が・・・・好きだ」



 え?・・・嘘だ。あんなに苛めて。分った、またからかってるんでしょ?



「葉月・・・」



 和馬が何か言おうとしたら、真綾が動いた。

 銃を持ってんだよ!?危ないよ!!

 真綾の目は、朦朧としていた。

 まばたきをした途端に、真綾は消えた。

 そして、気がついた時には、男は倒れていた。

 真綾は倒れた。私は、心配で行こうとしたけど、先に電話しなくてはと思い、小屋を出た。







「あ・・・」


「君も捕まってたの?」



 女の子がいた。私達と同じく捕まってたらしい。



「携帯ある?私の落としちゃって」


「う、うん」



 私は、携帯を借りて警察と救急車を呼んだ。

 数分後に来た。私は案内した。

 空陽と和馬は、救急車に運ばれた。

 その様子を見ていた真綾は呆然としてた。



「タクシーも呼んだから病院行こう?」



 私の言葉に、返事すらしなかった。

 たぶん、耳に入ってないんだろう。

 真綾の肩を支えてタクシーに乗り込んだ。

 真綾に、話を聞かれた。あの男を倒した出来事を・・・。

 正直、あの時は私も焦ってたし、速過ぎて見えなかった。

 あの屋敷にいたのは数名だったらしいって言ったら・・・。



「あの・・・嘘つきめ」


「うん・・・誰も怪我が無くて良かったね」



 本当に怪我人が、二人だけで良かった。救急隊員に聞いたら、大丈夫って言ってくれたから良かった。



「あの男ね・・・精神異常者だったんだって・・・自分は神だ・・・この世界を救うのは自分だって・・・」


「そんな言葉で片付けられてもね」



 うん。なにが神よ・・・。心に負った怪我は癒されない。

 許せない。和馬に怪我を負わせた事に・・・。



 いつの間にか病院に着いた。

 私達は降りて、病室を聞いて行った。

 空陽の病室は、隣らしい。

 私は、ソッと部屋に入った。

 左腕にある銃の後が、生々しくない、心が苦しい。

 何を言ってやれば良いのかな・・・。



「っ・・・和馬・・・私ね・・・・・・・・・・小さい頃から守って貰ったよね・・・・高い木に登って降りれなくなった時も・・・犬に追いかけられた時も・・・・・・・・・・そして、今も・・・・」



 涙が止まらない。ポタポタと和馬の手に落ちた。



「いつも・・・・この手で・・・・救ってくれた・・・・ドジな私も・・・」



 和馬の手を私の頬に触れさせる。

 ゾクッとするほど冷たい手に、涙が零れた。



「好きよ・・・和馬・・・・・意地っ張りな・・・貴方も・・・・頑固なところも・・・・いじわるなとこも・・・・大好きです」



 私の言葉に和馬の手が、優しく耳に触れた気がした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ