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吉日の午
通りすがった冬に挨拶 一年ぶりだね 変わらずに
紅と黄色の枯れ葉がさざめく騒々しい奴だった
霜月の頭は快晴 いつになく上機嫌だな
心地いい暖かかさの 風がうなじを撫ぜた
かわいた落ち葉はカラカラと まるで僕をからかうような
軽快にアスファルトを削る 竹ぼうきの音がひびく
掃き寄せた道端には 木の葉の小山がいくつも並んだ
ちりとりで集めた袋の嵩は抱えるほど
うららかな陽気に背を向けると すぐにまた
いたずらな旋風は 勝手気ままな絨毯を敷いた
からんころんと得意げに 木下駄を鳴らす女の子が向こうから
赤の着物とかんざし揺らし 両親の手を引き歩いてくる
僕はため息 気の利いた北風に 仕方ないなと肩を落として
恨みがまし気に見上げた空 枯れ葉交じりに落ちてこない茜を見つける
七歳の祝いや 頭のうえに 翅の光をふりまいて
アキアカネは乱れ飛ぶ 曲技飛行の遊覧の末
ヒトもヒカリもどこへ征く 千歳目指すか
吉日の午