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『コンビニ無双』─コンビニの重課金者になって無双する─  作者: 時雲仁
第一章 色々あってコンビニを始めます
39/92

39話 半分正解ですね!?

 ファスとの電話を終えると、『待ちきれないよ!』といった様子で、こちらに視線を送って来るヒトミに苦笑した。


「どうしたんだ?」

「いえ、今日はコンビニの予定地の交渉に行ったんですよね?」


 そう言って、ソワソワと手遊びをしながら近づいて来た。どうやら、何処でコンビニを始めるのかが気になっていたみたいだ。


「ああ、そうだな」

「!!」


 正巳の言葉を聞いたヒトミが飛び跳ねているがその横で、にゃん太がヒトミをじっと見て、その後小さく跳ぼうとして失敗していた。


 興奮して『何処ですか?! 何処にしたんですか!』と言うヒトミを落ち着かせつつ、にゃん太を抱き上げた。


「まぁ、あれだ……何処にでも建てられるぞ?」


 そう言って、『何処に建てたい? 俺としてはこの前に言った通り、この家の近くに建てたいんだが……』と続けた。


 しかし、ヒトミは正巳の言った言葉が良く分からなかったらしい。


「えっと、何処にでもっていうのは、きっと"俺の事に詳しいお前は、きっと俺が建てたいと思ってる場所が分かる筈だ"っていう一種の試験のようなモノだと思うから、ここは間違えない様に……」


 考え込んでいたと思ったら、シュバっと頭を上げて言った。


「……分かりました! ズバリ、車屋さんの隣です! 何故なら、車を見てる時の正巳さんは、楽しそうな顔をしてましたから!」


 名推理とでも言いたげな様子のヒトミを見て(やはり少し残念な娘だな……)と思ったが、ヒトミのテンションに合わせてにゃん太も手足を伸ばして可愛いので、良い事にしておいた。


「確かに、車屋……あ、車直しに行かないとな」


 そう言った正巳に、胸を張っていたヒトミが『あ、正巳さん照れてますね~?』と言ったので、一応否定しておいた。


「確かに、車屋の隣にも建てられるが、取り敢えずこの家の近くに建てようと思ってるんだ。もし、どうしても車屋の近くが良いって事なら考えるが――」


 車屋の周囲の、土地が綺麗に区画されていた事を思い出しながら言うと、ヒトミは不思議そうにして『でも、その場合はまた土地を買わないといけないんですよね?』と言っていた。


 そんなヒトミに、まさか『ここ等辺一体の土地を買ったんだ』という訳にも行かず、取り敢えず笑って誤魔化しておく事にした。


「ははは、そうだな、はははは……」


 ……我ながら酷い誤魔化し方だった。


「ちょっと、ふざけないで下さいよ! 無駄遣いはいけないんですよ!」


 ぷりぷりと怒っているヒトミを見ながら、心の中で呟いた。


『まさか、既に数十億円使ったなんて言えないな……』


 その後『それじゃあ、今日は何処に建てるか散策するか!』と言った正巳の言葉で、周囲を散歩する事になった。


 散策とは言っても、かなり広い範囲を歩く事になるので、車で向かう事にした。


 散策をした正巳達は、途中で車屋に寄った。

 車屋の店主は、正巳と話をして驚いていた。


 どうやら、音声システムはかなり古いモノだったらしく『あれに気が付くとはやりますね! 勿体ないから付けてましたけど、外しますか? ちょっと時間はかかりますけど、最新の状態に組み直す事も出来ますけど』と言われたので、お金を出して最新のものにアップデートして貰う事にした。


 他にも、安全システムや細かい点で気になった事を伝えると、『あぁそうか、ぶつかる寸前で自動ブレーキがそんな事に……盲点だったなー安全システムをマックスで設定するとそうなるのかぁ。それじゃあ、オンオフが出来るように変えときます!』と言っていた。


 改造には時間が掛かるらしいので、代車を出して貰った。


 ……驚いた事に、代車として出して来た車は一台の乗用車だった。以前来た時は普通の(・・・)乗用車など無かったのだが、話を聞いてみると『振り込まれたお金で、最低限の部分の借金は返済し、後のお金で弄る用の車を買ったんス』という事だった。


 何となく、この調子ではいつまでも借金が無くなる気がしなかったが、本人が楽しそうだったので良いのかなとも思った。


 その後、代車に慣れるためにも周辺をドライブした。


 ヒトミは楽しそうに外を見て『ここ等辺は土地が広くて良いですね~』と言っていた。ただ、街灯が無い事を伝えると『夜暗いのは少し怖いです』と言っていた。最悪、一帯に街灯を立てるのも考えてはいるが、それは追々必要になってからで良いだろう。


 一通りドライブしてから、自宅まで戻って来た。


 途中のスーパーで買った(ブラックカードが普通の店でも使えるか試す目的があったが、普通に使えた)土鍋と鍋の素、それに野菜とお肉を降ろしながら、ヒトミに言った。


「ほら、家の途中に小さな公民館があっただろ? あそこにコンビニを建てようと思ってるんだ。元が公共施設の土地と言うだけあって、駐車場もあるし色々と良いよ思うんだよ」


 すると、正巳の言葉を聞いたヒトミが不思議そうに言った。


「つまり、今回買ったのはその公民館の跡地(・・)と言う訳ですか?」

「ん? ……ああ、まぁそう言う事だな」


 ヒトミが言っている意味が一瞬分からなかったが、どうやら未だに何処か一か所(・・・)だけ土地を買ったと思っているという事らしい。


 確かに、広範囲に渡って土地を購入した等とは普通思いもしないだろうが……まあ、公民館の跡地()買った事に間違いは無いので、今回はそういう事にしておけば良いだろう。


 正巳の言葉を聞いたヒトミは『私も良いな~と思ってたんです。という事で、半分正解ですね!』と言っていた。正解不正解に"半分"とか有るのか?とは思ったが、楽しそうな様子を見て、余計な事を言う事も無いなと口を閉じている事にした。


 家に入った正巳は、にゃん太が指を舐め始めたのを見て、早めのご飯にする事にした。


 鍋は、途中でヒトミが色々とやらかした(塩でなく砂糖を入れたり、水の量が少なくて鍋なのに焦げそうになったりした)が、何だかんだと楽しかった。


 その日の夜、ヒトミに両親の写真を立てる写真立てをプレゼントした。途中のお店で"ワゴンセール"していた中のモノだったが、嬉しそうな様子を見て、買って良かったと思った。


 夜はいつも通り、みんな一緒の部屋で寝た。


 ……『一緒の部屋』とは言っても当然、布団は別だ。そもそもなぜ同じ部屋に寝ているかという事だが、それは『私達は家族――仲間ですよね? 仲間であれば、同じ部屋に寝る筈です! 絶対にその筈なんですっ!』と謎理論で押し切られた結果なのだ。


 もし、今後ファスも家に住むと言う事になったら、どうなるか分からないが、その時はその時で如何にかなるのだろう。


 少しだけ、家の造りが不便だなと思った正巳だったが、直ぐに来た眠気に抗う事など出来ず、沈むように夢の世界へと入って行った。


 夢の中では、巨大化したにゃん太に乗り、正巳とヒトミで旅をしていた。

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