第二話 魔物
「いっでぇぇぇっっ!!」
「だ、だから言ったじゃないですか! その魔物は攻撃すると針が飛んでくるんです!」
「い、いや、だってよ。こいつ動かないから絶好の獲物だと思う……だろ? 普通」
俺は今、魔物と戦っている。街の近くの俺が倒れていた草原でレベル上げをしてるのだが……これがなかなかうまくいかない……
「そうですよね、そうですよねっっ! 普通そう思うから先に言ったんです! なのに、隼人は…もうっ!」
パーティを組んだ後、駆け出しの街、『マナテル』という街に行きギルド? というところで冒険者登録をした。ステータスがどーたらこうたらと言っていたがよく聞いてなかった……俺のステータスを見たとたん、職員は驚きを隠せない様子だった。
確か、見るには対象の中を強く意識して見る……っと
〈ステータス〉
クラス:初級剣士
Lv.3
力 3
防 1
速 5
運 1
知 0
出た。ステータスは下の下の下ってところらしい。こりゃ驚くな。
俺は力が(ほかのステータスより)高いので、剣士がおすすめらしく、そうなったが……できれば魔法とか使いたかった。
そう言うと、職員が残念そうに「知力が0の方には魔法が使えません」と苦笑交じりに言われた。言われた……
しかも、ギルドを出るとき、掃除のおばはんに「ふっ」って鼻で笑われた……くそっ。
「聞いてますか?」
俺が1人でぶつぶつと言っているとミルアが俺を杖で小突いてくる。
「あぁ、聞いてるよ」
ついでにミルアのも見てみるか。ステータスは……
〈ステータス〉
クラス: 中級魔法使い
Lv. 15
力 2
防 24
速 18
運 35
知 89
《スキル》
〔基礎魔法〕〔魔法威力Lv.3〕〔魔物索敵〕
力が……低いな! はっはっはっ……はぁ……
確か、このスキルってのがレベルを上げるともらえる、ポイントを使って習得できるらしい。剣士は剣士のスキル、魔法使いは魔法使いのスキルと決まってるらしい。
しかし、『基本スキル』は誰でも覚えられるスキルで、ミルアが覚えている〔魔物索敵〕という、魔物の位置がわかるスキルなんかがそうらしい。
「なにをじっと見てるんですか? また……変態なこと考えてるんでしょう……?」
「ち、ちげぇよ! ステータス見てるだけだよ!」
「ほんとですかー? 」
「ほんとだよ! ほら、早くレベル上げの続きやるんだろ?」
「そうですよ! 今だって、私の話を聞かずに隼人が『こいつ弱そうだな! 俺が一撃で仕留めてやるー』と言って、勝手に飛び出したんでしょう!?」
「あーはいはい」
俺らはレベル上げを初めて今日で3日目だが……
ほぼ引きこもりのような生活の俺に運動神経があるわけもなく……かといって戦闘センスがあるわけもない。なので、敵を倒すことすら叶わない……
なので、とにかく弱そうなのを必死に狩りまくっている。
さっき、戦って反撃を受けたのは『ヘッジキャタピラ』という、丸く、饅頭のようなやつだ。
「悪かったって、早くヒールを頼む」
俺がそう言うと、ミルアは飽きれ顔で俺に両手を突き出し……
「もう勝手に行かないでくださいね……『ヒール』」
そう唱えると、緑の淡い光が俺を包み込み、みるみる内に傷が癒えていく。
こういうところを見ると、魔法使いっぽいが、杖とかローブとかなかったらただの小学生にしか見えんだろう。身長140cm? ぐらいしかないし……
「サンキュ、ミルア。 お、あんなところに定番のスライムが」
俺は早速弱そうなスライムを見つけ、ミルアの制止を無視して、スライムに斬り込む。
「ま、待ってください! あのスライムはど……」
「おりゃっ!!」