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第一話 貧乳

「――あ、あの、大丈夫ですか?」


 そう、頭の中で声が響く。


「ど、どうしよう。ヒールも効かない……」


 どうやら、焦っているようだ。どうしたのだろう。

 声を聞く限り女の子だろうが……というか、体が動かない。なぜだ……確か俺は……そうだ!

 あ、あの、


「クソ天使っ!!!」


「きゃっ!!」


「わ、わりぃ……って……」


 だ、誰だ……この……貧乳は……っ!?

 美少女……? とは言い難い、髪は綺麗な銀色の長髪で――だが……胸が無さすぎる!! 俺の見立てではAAAだろう。完膚なきまでの貧乳。やはり、美少女の基準は胸だろう。とにかく胸だな。


 そうやって胸をじっと見ていると、


「な、なんですか……起きたと思ったら! 失礼な方ですね!」


 おっと、口に出ていたようだ。


「ち、違うんだ。起きたらこんなところにいて、動揺しちまった……ここはどこだ?」


「き、記憶喪失ですか……? 自分の名前とか分かります?」


 胸を隠しながら疑いの目を俺に向けてくる。


「あぁ、神崎隼人だ。」


 俺はそういうと、辺りを見渡す。草原? 周りには特に何もなく……人も、この少女1人しか見当たらない。


 やはり異世界? じゃあ、この少女はこの世界の住人か? しかし、他の世界から来たなんて言わない……方がいいよな。


「だけど、なんでここにいるのかは分からないんだ……」


 とりあえず適当な噓でもついておくか。


「えっと、じゃあ持ち物は……?」


 俺はそう言われて、ポッケなどを探ってみると……一つ麻袋のようなものが入っていた。俺はこんなの入れた記憶なんてないが。


「これだけだ。中には何も入ってない……と思う」


 そう言って少女に渡すと、驚いたような表情を見せる。


「も、もしかして、これってマジックストレージでは?」


「マジックストレージ?」


「は、はい。私は初めて見たんですが、確か無限にアイテムを保存できるという優れもの……ですね。プロの冒険者ならば誰でも持っているらしいですが……」


 そ、それは便利だな。確かに異世界っぽいぞ?


「ちょっと開けてみましょうか。そしたら何か思い出せるかも!」


「それもそうだな。うん。あけてみよーそしたら俺の記憶が戻ることがあるかもしれないからなー」


 我ながらに完璧な演技だ。


「で、どうやって開けるんだ?」


「えっと、確か暗号を唱えて……覚えてます?」


「あ、暗号? 覚えてないな」


 というか知らない。あの天使が勝手に決めたのだろうか。


「あ! 空いてました! まだ使われてないんでしょうか……中身は……紙? なんか書いてありますが私は知らない文字です。」


 そう言って渡してきたのは一枚の紙? もしかして……


「ちょ、ちょっといいか?」


 俺は少女から紙を奪い取る……


『隼人様へ

 いろいろごめんなさい(笑)せめてものお詫びとして、その世界で使える、言わば無限倉庫と呼ばれるアイテムとその中に、少ないけどそっちで使える通貨入れといたから、大体相場は日本と同じ……だった気がする。じゃ、頑張ってねー

 ps マジックストレージを開ける暗号は四文字! 最初はいらなかったけど、次から開けるときは必要になるから、自分で決めてね! じゃ~』


「……おりゃぁぁっ!!」


「えぇ!? や、破ってよかったんですか?」


 無性にムカついて破ってしまった、まぁいいだろう。しかし、(笑)ってバカにしてんのか

 。はぁ、今度会ったらぶん殴ってやりたい……


「あぁ、なんかよくわからんがN〇Kの集金がなんとかって書いてあっただけだ。気にするな」


「〇HK?というのが何かわかりませんが……あなたがいいならそれでいいです……あ、お金も入ってますね」

 そう言ってごそごそと袋を漁っていく。


「いくら入ってた?」


「30万キャル……ですね。盗みました?」


「盗んでねぇよ!」


 30万キャル……? あの天使は確か、日本円と価値が同じって言ってたから30万!? す、すごいな。100連以上できるじゃねぇか!


「こんないいアイテムに、見たことがない文字……もしかしたら、テレポートに失敗したのかもですね」


「――テレポート?」


「はい。テレポート魔法は失敗すると、どこに飛ぶかわからず、運が悪いと……記憶が消えてしまうので」


 ま、魔法!? やはりあるのか! でも失敗って怖いなっ。だが、都合がいい。


「もしかしたらーそうなのかもーしれないなぁ~」


「やはりそうですか……災難でしたね……テレポートで行方不明になった方は諦めることがほとんどです。この世界は広すぎるので、探すとなると十年以上はかかるので――これから、どうされますか?」


 そう深刻そうに俺の目を見て言ってくる。


 でも、テレポートってやべぇな、まぁいいか。

 んで、どうするって言われてもなぁ……俺が思惑顔を浮かべていると、意を決した様に少女が口を開く。


「あ、あのっ! もし、よければ……私とパーティ組みませんか!? じ、実は私!こうみえて冒険者なんです! なりたてなんですけど……もし、冒険者として世界をめぐっていたら、ご家族にも会えるかもしれないですし! 有名になれば見つけてもらうことも!」


 パーティか。冒険者ってのもいいかもな。でもめんどくせぇな……ま、どうせ行くあても無いし……


「あぁ、いいぞ」


「え!? そんなにあっさり!?」


「だって、行くあてもないし。別に俺は構わんぞ」


「あ、ありがとうございます!!」


「おう、気にすんな。そう言えば、まだお前の名前を聞いてなかったな」


「そうでしたね! 私の名前はミルア=クリィアスト。気軽にミルアと呼んでください! よろしくお願いします! 隼人さん!!」


 そう笑顔で告げられる

 ――あ、あぶねぇ。危うくロリコンになるところだったわ。


「あぁ、よろしくな!」


 そうして、俺と貧乳の物語が幕を開けるのだった……!!


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