あるおっさんとは?
コンビニの深夜勤務に従事するおっさんが、来店する様々なお客に癒される、日常のお話。
この世の中にはおやじ、おっさんなんてのは星の数ほどいる。
とは言っても、おやじやおっさんになっちまう過程で充実していた奴もいれば、気付いたら親父になってたなんてのもいる。まあ、自分の場合、間違えなく後者なんだけど・・・
ごく普通の家庭に生まれて、ごく普通に小学校・中学校そして公立高校を出たとこまでは良かったんだが、大学に入るとこで躓いちまった。二浪した挙句、親戚一同への難しい関係もあって三浪は出来ないって事で入れたのは通信教育の大学だった。もっとも、学校名だけは有名ではあったけれど。
一応、それなりの成績でいたはずなんだが、生涯教育との事で在学年数に制限が無かったのが良かったのか悪かったのか、はたまた性格のゆるさなのか手を抜きまくって簡単に二年を棒に振り、お気楽に遊びまくって気がつけば「昭和」が終わって「平成」になってた。
親の脛ばかり齧っているのも申し訳ないので、せめて学費ぐらいはと、高校卒業と同時に始めたコンビニでのバイトの他に今は無いとある大手求人広告代理店にアルバイトとして入ったのだが、時が悪かった。世はバブル最盛期、空前絶後の売り手市場。働き手より仕事が多いという売り手市場のまっただ中。正社員よりバイトの方が月給がいいなんて、おかしな時代だった。
でも、そんな夢の様な日常にだって、必ず終わりは来るんだよ。(久々の売り手市場だとかで浮き足立っている若者たち、気をつけなよ。落とし穴は見えないもんだ。)-あ~我ながらおやじくせぇなー
確か当時の大蔵大臣(今の財務大臣)の宮沢何某が大きくなり過ぎたバブル問題を何とかしようとして、総量規制なんて実行したからたまらない。バブルは一気に弾けて日本経済は停滞することになったんだ。もっとゆっくり萎ませたら不幸になった人も、自殺しちゃった人も少なかったかも知れないというのはあくまで自分の感想。誰かが何とかしなけりゃあのまま暴走しまくってたんだろうね。
その後の日々をかっこつけた奴らは、いろいろ絡めて「失われた10年」とか「失われた20年」なんて呼んでるけどね。詳しいことは、教科書に載ってるらしいね?よく知らないけど。
話が脱線しちまったが、そんな訳で求人広告代理店も半ば強制的に退職し、しがないコンビニバイトに戻っちまったけど、バブル崩壊直後にひょんな事から知り合った女の子とデートのたびに生エッチしてたら案の定出来ちゃいまして、当時流行の出来ちゃった結婚しちゃったよ。それと同時に折りよく(?)欠員となったバイト先のコンビニで社員にしてもらえちゃったり。
その後も、たらいまわし的に店長なんかになっちまったり、「自分とこの社員が家の一つも持てないなんて、格好がつかない」なんていう自己中な雇い主と持ち家育ちの我が奥様の思惑とで、中古ながらも持ち家を持ったりなんか出来たんだけど、そんな幸運にもやっぱり終わりが来たよ。海外に行ってた雇い主の息子さんが帰って来たんだ。
まあ、どんな人だって自分の子供に後を継がせたいとかあるよね。特に個人商店の場合は。結局、どうやって息子さんに実権を委譲しようかなんて考えてたらある日雇い主に呼ばれてね、なんか色々言われた様だが結局その場に同席していた息子さんや他の社員にもホントの理由ってなに?みたいな空気の中、店長解任、ついでに社員じゃなくてバイトでってことになっちまった。(ホント、落とし穴って見えないな)
でもそんな環境で少しして気付いたんだ。店長なんてやってるよりも(こんな言い方しちゃいけないんだけど)責任の無いバイトの方が、気楽に働けるって事に。そりゃぁ家族のことを考えたら住宅ローンや学費なんかの不安もあるけど、変な風に身構えずに買い物に来てくれるお客さん達と話せるって。