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第五話 出会い

三千字書くのって大変なんだなと改めて思います。

五百字も足りない……。


「あの……これからどこに連れてかれるんですか?」


 戸惑いながらの蓮夜の質問に、先を行くミカヅチは振り返り、


「博士も言ってたろ? 俺達オルフェと研究者の連中じゃ住んでるところが違うんだって。俺達が行くのは併設されてるオルフェ用の居住施設だよ。まぁ戸惑ってると思うが、お前さんも住む場所が無いと困るだろ?」


 と言いながらミカヅチは廊下を迷わず進む。

 やがて辿り着いた白い重厚な扉を片手で開き、蓮夜の方を再度振り返ると、


「さて、ここから先が俺達オルフェの居住施設。……通称”墓場(はかば)”だぜ。ようこそ。歓迎するぜ新人」


 皮肉交じりにそう言って、ミカヅチはニカリと笑った。





 蓮夜が案内されたのは、食堂の様な場所だった。

 恐らくは学園か何かの施設を元にしたであろう食堂は、思った以上に意外と広かった。

 そこには既に三十人を超える十代前半~三十代中盤の男女達が席についていた。

 その容姿は様々で、日本人らしい黒髪黒眼から、金髪や茶髪、赤や青、緑などのライトノベルの登場人物の様な、人工的な色の髪や眼の色を持つ者もいた。

 まるでコスプレ会場の如きである。

 だが、その誰もが蓮夜と同じく首輪がついていた。

 つまり、彼等はクロガネやミカヅチと同様オルフェなのだ。

 ミカヅチは慣れた様子で手を叩くと、彼彼女等の視線が、一斉にミカヅチと蓮夜の方を向いた。


「おっし手前等! 新人の御到着だぜ!」


 おー、という微妙な返答が返ってくる。

 人数からして、特に珍しい事でもないのだろう。


「ほれ、お前さん。自己紹介しな」


 ミカヅチに肩を叩かれ、促される。

 ここで拒絶しても、ただ空気が悪くなるだけだと理解した蓮夜は、「一峰蓮夜です」という端的な自己紹介をしようとしたが、実際には「いちみ……」というところでミカヅチに止められた。


「おいおい、お前さん。そりゃ生前の名前だろうが。オルフェとしての名前があるだろ?」


「……オルフェとしての……名前?」


 そう言われても、蓮夜は三条博士や十条博士からはそんな事は教えて貰っていない。

 ただ自分が死んでオルフェになった事、そのオルフェの成り立ちを大雑把に話されただけだ。

 これからどうすれば良いのか、どうなるのか。

 詳しい話は、一切話してはくれなかった。

 それを理解したのだろう。

 ミカヅチは頭をガシガシと掻きながら、教えてくれた。


「やれやれ、博士達はそれも説明しなかったのか? ったく、困った連中だ。……俺達オルフェってのは死人だろ? だから、生前の名前は使わねぇのさ。……あれだ。SFとかにある”コードネーム”ってやつだ。ほれ、首輪の横んところに名前が書かれてるぜ。……”クロガネ”。そう書かれてるぜ」


 ――クロガネ。

 蓮夜は何度も心の中で唱えるが、違和感しか感じなかった。

 産まれてから十八年間もの間、”一峰蓮夜”だったのだ。

 急にクロガネという名前を与えられても、それが自分の事だとは余り思えなかった。


「ま、直ぐに慣れるさ。そら、今度こそ挨拶しな」


 とミカヅチは肩を叩く。

 蓮夜は少し躊躇ってから、


「……えっとクロガネ? ……です。……宜しくお願いします」


 と少しだけ頭を下げた。

 すると、オルフェの集団から一人の人物が抜け出し、駆け寄りながら言った。


「クロガネっ!! ――君の中に眠る固い意志が見えてくる素晴らしい名前じゃないか!!!!」


 蓮夜の目の前に駆け寄って来た人物の大声に、思わず蓮夜は驚いてしまう。

 駆け寄ってきたのは三十代も半ば位の、日に焼けた浅黒い肌に、黒い髪の男性だった。


「……えっと」


 その人物は爽やかに笑いながら、蓮夜が戸惑っている事にも気付かず、


「初めましてっ!! 俺の名前はショウゾウッ!! 君と同じ、オルフェの一人だッ!!」


 そう言って思わず顔を顰めてしまう程の剛力で蓮夜の手をガシッと握ってブンブンと上下に振って握手をする。

 蓮夜――クロガネの頭に浮かんだショウゾウの第一印象は”暑苦しい”だった。

 最早ウザいの一歩手前程に熱血である。

 ……というか、誰かに似ている気がするのだが、それは言ってはいけない。

 周囲の人間に眼を向けると、良くある事なのか、それぞれ苦笑したり、無視したり、様々な対応だった。

 そしてそれを目の前のショウゾウと名乗った男も気にしていない。

 隣に立つミカヅチが、やれやれと肩を竦める。


「一応こんなでも、ここにいるオルフェ達の中でもトップクラスの経験者でな。幾つかあるチームの隊長でもある。ま、覚えておいてやれ。――で、だ。お前さんは俺の指揮下に入って貰うんだが……エリナ! こっち来い!」


「――はい」


 ミカヅチの呼ぶ声に返答しながら現れたのはウェーブ掛かった金髪に、赤く輝く眼が印象的な少女だった。

 恐らく年齢はクロガネと同じか一つ上程。

 所作の一つ一つが綺麗で女性らしさを醸し出しており、どこかの物語から飛び出して来た様な、そんな現実離れした印象を受ける。


「クロガネにはお前の班に入って貰う事になった。今まで即席チームで動いてもらってたが、これから暫くは此奴を含め三人のチームで動いてもらう事になる。ま、少ししたら他支部からの編入が来るらしいけどな。……此奴は博士達のいつもの説明不足で色々と知らねぇことも多いから、リーダーのお前が此奴の面倒を見てやんな」


「わかりました」


 エリナはミカヅチに対しコクリと頷くと、クロガネの方を向き、自身の胸に手を当て、


「――初めましてクロガネ君。私はエリナ。貴方が所属する班のリーダーをやる事になっているの。勿論、”エリナ”はオルフェとしての名前よ。これから一緒に頑張って生き残りましょう」


 そう言うと手を差し出した。

 クロガネもそれに応じ、握手に応じる。


「……あ、あぁ。……宜しく」


 其々自己紹介を行っていると、タイミング良く、


「ほーら皆~、夕飯だよ~」


 間延びした穏やかな女性の声に、他のオルフェ達は「待ってました!」と喜びの声を上げる。

 それを確認して、


「ま、なんにせよ先ずは腹ごしらえだ。取ったもん勝ちだから行こうぜ」


 ミカヅチはクロガネとエリカの肩を掴み、食べ物に群がるオルフェ達の方に向かっていった。




説明会が続きます。

速く進めてという方には申しわけないです。


……え? この話で出てきたキャラが某人に似ている?

ハハハ……気にしないでください。


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