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GIRLS FLEET ~竜を狩る公女(プリンセス)戦記~   作者: 九重七六八
1巻 パンティオン・ジャッジ メイフィア王国編 1
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第3話 第5魔法艦隊はボンビーです(1)

 バルト商会はパークレーンという名の地方都市にある。ここは人口1万人ばかりの小さな街だ。町の中心は大小のパーツショップが引き締め合い、それを目当てのドラゴンハンターが集う街で賑わっていた。空中武装艦を係留する港が整備されていて修理ドックも完備されているのだが、首都より少しだけ離れているだけで、港の使用料も安いということで近年、注目されている街なのだ。

 

 そんな繁華街から少し離れた静かな場所に司令部はあった。といっても、そこは小さな規模の旅館である。木造の3階建ての建物で3階部分のフロアが第5魔法艦隊司令部になっているのだ。ちなみに2階以下は一般のお客が泊まっている。中心部のホテルではないので一泊の宿賃が安い。一部屋1日で銀貨3枚らしい。それが日本円の価値からしてどのくらいか平四郎には正確には分からなかったが、感覚的に2、3千円てところかと感じていた。

 司令部と称する3階部分はみんなが集う20畳ほどのリビングとフィンの部屋。あと、司令部付きの人員の部屋があるが、ベットが置かれているだけの3畳ほどの部屋があるだけで、とても狭いのだ。平四郎の部屋もその一角にあった。これならバルドのところに泊まっていた方がいい。


「ここが司令部?」

 平四郎がミート少尉にそう聞いた。一応、確認してみたのだ。何かの冗談ではないか。ミート少尉もそうだが、特にフィンは第5公女殿下と呼ばれているのだ。他のものより広い部屋をあてがわれているといっても、そんな高貴なお姫様が泊まる部屋じゃないだろう。いくらなんでも……。


「ああ。みんなに紹介するよ」

 

 そう言ってドアを叩いた。リビングに通される。そこには3人の人物が待っていた。二人は女の子で一人は男である。女の子たちは自分よりもずいぶん年下な感じで二人共同じ顔をしている。男は見た感じ、平四郎と同年齢に見えた。


「こっちの女子。顔は同じだけど髪に結んだリボンの色で分かるだろ。赤がプリムちゃんで白色がパリムちゃん。年齢は15歳。プリムちゃんがレーヴァテインの通信を担当。パリムちゃんが防御担当だ」


「プリムですううう~っ。よろしくですううう」

「パリムでおじゃる。よろしくでおじゃる」

「まあ、わかると思うけど彼女らは双子だ。性格が違うのは分かるよな」


 髪型もツインテールで同じだがミート少尉が言うようにリボンで見分けを付けられる。性格もプリムちゃんがのんびり屋でパリムちゃんが不思議ちゃんであることは話し方で想像できた。言葉で見分けはつくだろう。


「こっちの男は……」


 ミート少尉がそう紹介しようとしたが、その男はそれを制してキザったらしくかけている銀縁眼鏡をクイッと指で上げた。金髪の無造作な感じがワイルドでカッコイイと言えなくもない。顔はアラブ系の濃い感じだ。


「俺はナセル・エンデンバーク。年齢は君と同じ21歳。攻撃担当士官だよ。階級は少尉。ちなみにミート少尉は僕の彼女だから手出し無用~」


「だ~れ~が彼女だ~っ!」


 ミート少尉の強烈なパンチがナセルの腹にめり込む。


「うううっ……」


 うずくまるナセル。これだけでコイツがイイ奴だと平四郎は思った。女性に殴られるが暴力を振るわない奴に悪い奴はいない。


「大丈夫か?」

「大丈夫だ。同志よ」

「同志?」


「ああ。レーヴァテインの乗組員は、俺たち以外は女だらけだからな。まあ、公女艦隊は女だらけが普通なんだけど」


「女だらけ?」


「何だ。何にも知らないんだな。俺はそれが目的でこの第5魔法艦隊に入隊したけどね。やっぱ、お前はフィン公女一筋か? あの美少女が恋焦がれる相手なのか? くーっ。やるねえ。異世界の勇者」


「はあ?」


「ナセル、それ以上無駄口を叩くとレーヴァテインの艦首に縛り付けるよ。パンツ一丁で」


「ああ……。それやってもらいたい。俺のでかいからパンツの横からはみ出るかも」


「馬鹿! セクハラするな!」

 

 ドカッと今度は蹴りがナセルの足にヒットする。たまらず転げまわるナセル。


 ミート少尉ではないが、バカはほっとくに限るだろう。

 

 キーッっとドアが開いて、今度はメイド姿の女性が入ってきた。フィン付きのメイドでアマンダさんという女性だ。赤い長い髪が大人の雰囲気を醸し出している。二十代半ばって感じの物静かなお姉さんという感じの女性だ。その後ろにフィンがいる。相変わらず、今度はアマンダさんの背中からそっと顔を出し、平四郎の視線を感じるとパッと引っ込む。どう見てもメンドくさい感じだが、当の平四郎はその姿が可愛くて可愛くてクギ付けになってしまう。


(何だ~っ。この可愛い小動物は~)


「さ、先程はご、ごめんなちゃ、い。痛っ」

(フィンちゃん、噛んだ~)


 きゅ~っとしてフィンちゃんはまたしてもアマンダさんの背中に隠れてしまう。


「かーっ! フィン、いい加減にして。あんたが逃げ出すからさっきの店でひともんちゃくあったんだから。おかげで一人、人員が増えたよ。まあ、給料出さなくていいから助かるけど」

 ミート少尉が割って入る。この二人(フィン&平四郎)に任せていては時間がもったいないというものだ。


「ここにいるのが私たち第5魔法艦隊の旗艦レーヴァテインの乗組員全て」

 

 豊満な胸をバインバインさせて、ミート少尉がそう平四郎に告げた。


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