表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
GIRLS FLEET ~竜を狩る公女(プリンセス)戦記~   作者: 九重七六八
2巻 パンティオン・ジャッジ メイフィア王国編 2
86/201

第15話 VS第3魔法艦隊 ~ゴティバ平原上空戦(4)

高得点の評価ありがとうございます。

焦って投稿するので、間違いが見つかりますが急いで修正してます。

これ? 変じゃね? とかあったらご指摘ください。

「第3波が来ます!」


 レーダーに第3波の1万発が近づいてくる。だが、第3魔法艦隊はそれに対して防御体制を完了していた。防御力の高い戦列艦を右側に並べ、物理攻撃を防ぐシールドを展開。防御力の弱い巡洋艦や駆逐艦はそれを盾にした。リンツ中佐の指示は的確であり、高速の鉄球は虚しく戦列艦のシールドに阻まれた。


 だが、物理攻撃に備えてシールドを張り替えたせいで、正面の第5魔法艦隊の魔法弾攻撃に対応ができない。レーヴァテインが放つ「ファイアーボール」とハーピーⅡが撃ってきた魔法魚雷の攻撃で巡洋艦がまた1隻失われた。


(これで終わりか……? 終わりなら我が艦隊の勝ちだが)


 リンツ中佐は正面の第5魔法艦隊を見る。まだ、旗艦レーヴァテインと援軍で加わったリメルダの駆逐艦ハーピーⅡを含む4隻が抵抗を続けている。思いがけない攻撃で被害を被ったとは言え、圧倒的優位が失われたわけではないのだ。だが、リンツ中佐は嫌な予感がした。長年、軍人として培われた独特の感じである。

 

 ローザを見ると取り巻きのイケメンに命じて、時間を確認させていた。リンツ中佐は心の中で舌打ちした。この何不自由ない奔放なお嬢様が、次に命令してくる無理難題がおおよそ予測できたからだ。


「すごいわね。あの不良品のレールガンをあんなふうに使うなんて」


 ミート少尉がそう感心した。この奇襲で第3魔法艦隊は混乱して、少なからず被害を出した。こちらもレーヴァテインを先頭に激しい砲撃戦を展開してこれまでは互角以上の戦いをしている。


 カレラ中尉の巧みな操船とフィンの「マルチ」能力による魔法攻撃。平四郎とフィンの「コネクト」による無限魔力による攻撃。リメルダも駆逐艦の乗っていい働きをしている。巧みに交わしては攻撃する様子は、蝶のように舞い、ハチのように刺すという形容がぴったりだ。


「ああ、今のところ順調だけど、敵もこれだけじゃ潰せない……」


 平四郎が言うとおり、第3魔法艦隊は総数20隻を超す大艦隊だ。数隻沈めたところで戦況には影響ない。敵の旗艦を撃破しない限り、第5魔法艦隊の勝利はない。その敵旗艦は絶対防御で守られている。


「フィンちゃん」


 平四郎は提督席のフィンを見る。フィンも目を合わせた。


「平四郎くん、げ、激あちゅ……」


 ちょっと噛んだ。めんどくさいけど噛んだ。慌てて言い直すフィン。


激熱げきあつ行くです」


 平四郎はその可愛い言い草に心臓が締め付けられそうになる。ますます、コネクトの力が増す。さらに隣を航行するリメルダにも呼びかける。


「リメルダ、行くよ」

「了解、平四郎。ローザが防御を解除した時が狙いね」

「一撃で仕留める」 



「すごいです! 突然、無数の鉄球が現れ、第3魔法艦隊を直撃しました。あんな攻撃ができるんですね。どうですか、ハウザー教授」


 安全なところから、テレビ中継をしているメイフィアテレビのアンヌソフィーが目の前で繰り広げられる戦いに興奮しながらも、専門家であるハウザー教授に話を振った。


「なるほど。あれはタウルン製の武器ですね。レールガンというものです。ただ、タウルンではあれは接近戦用の武器ですが、魔力を乗せて長距離攻撃に使うとは驚きですね。ただ……」


「ただ? なんでしょう、ハウザー教授」


「これだけでは、あの鉄壁の防御を誇るクイーン・エメラルドは撃沈できないですけどね」


「と申しますと……?」


「奇襲としては上出来です。ただ、正体が分かれば第3魔法艦隊に防ぐ手立てはある」


 ハウザーがそう言った時には、レールガンの第3派が第3魔法艦隊に襲いかかったが、それは完全に防いだ。ハウザーが話した途端に現実になったので、アンヌソフィーは目を丸くした。この変態教授の力は底知れない。


「第5魔法艦隊に次の手はあるのでしょうか?」


 予想に反して第5魔法艦隊が善戦している。それはテレビ的には盛り上がりがあって、うれしい状況ではあるが、あまりにも戦力差が違う。素人のアンヌソフィーでも次のターンは第3魔法艦隊だろうと思う。そして、そのターンでエンドになることも。


「ふむ。どうでしょうね……」


 ハウザーはそう言って、ほんの3秒ほど沈黙した。そして手を叩いた。


「なるほど! そういうことか!」

「そういうことって? ハウザー教授、何か分かったのですか?」


「時間ですよ。あの猫くんと第3公女のテレビ討論。このための仕掛けだったんですよ」


「し、仕掛け……ですか?」

「そう。アンヌキャスター。開戦から何分経ちました?」


「は、はい。お、およそ25分です」


 ハウザーはカメラ目線になった。そして右手を突き出し人差し指を突き出した。


「テレビの前の皆さん。あと5分でものすごい結末が見られますよ。チャンネルはそのまま。席は立たないで」


 視聴率99%を記録する衝撃の瞬間がやってくる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ