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GIRLS FLEET ~竜を狩る公女(プリンセス)戦記~   作者: 九重七六八
2巻 パンティオン・ジャッジ メイフィア王国編 2
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第15話 VS第3魔法艦隊 ~ゴティバ平原上空戦(3)

レールガンだにゃ!

明日は昼、夜2回公開。頑張るにゃ。

 敵の猛砲撃を機動力で交わしながら、レーヴァテインは応戦している。このままでは、多勢に無勢。敵の圧倒的な戦力の前に一艦、また一艦と沈められるだけであるが、平四郎は余裕であった。


「何か近づいてきます!」


 艦橋で戦況を見ていたローザの取り巻きのイケメンの一人が、近づいてくる無数の何かに気がついた。それは黒々とした細かい粒。例えるなら昆虫の大群のようなものだろうか。

 

 だが、近づいてくるスピードはとんでもない。ある一定の条件下で1秒間に340m進むのを音速というが、この物体の速さは1秒間に1500m。およそマッハ5。

 30km離れた場所にいるトラ吉の浮遊石砲台とリリムの巡洋艦から発射されたものだからだ。


「レーダー長、何が近づいてくるのだ!」


 リンツ中佐が叫ぶと同時に右、左、後ろ、上の艦船に次々と「何か」が着弾する。着弾すると無数の穴があき、そこから爆発が始まる。「何か」とは鉄の粒である。ゴルフボール大の鉄の球だ。空中武装艦からすれば、小さな鉄粒に過ぎない。


 だが、その数が半端ない。放たれた鉄の粒は1万発である。しかも魔力が乗った超スピードの鉄の粒である。死の雨といっていい。メイフィアの空中武装艦は魔法弾に備えて、シールドを張る。だから、物理攻撃を想定していない。よって不意を突かれたこの攻撃に右側に展開していた巡洋艦1隻と駆逐艦2隻が大ダメージを受けてしまった。


「あら、不思議ねえ。いったいどこから撃ったのでしょう?。右舷に敵艦の姿などありませんわ。リンツ中佐、射程外からの攻撃なんてできるのですか?」


 爆発して燃え上がり、煙を出しながら浮遊力を失って下降していく駆逐艦を見ながら、ローザがリンツに尋ねる。ローザが乗る旗艦クイーンエメラルドは絶対防御「深淵の楯」を装備している。この高価なパーツによって発生する魔法シールドによって、高速の鉄の粒は包み込まれて、そのまま勢いを失いバラバラと地上に落ちていく。


 自分の船には被害がないのでローザは全く慌てた様子はない。差し出したワイングラスにワインを注がせ、それを一口飲みながら、破壊された自分の艦隊の駆逐艦を鑑賞しているのだ。


(度し難い小娘が! 自分の艦隊が被害を受けているのにこの態度は何だ!)


 リンツ中佐は怒りで胸がいっぱいになり、思わず怒鳴りそうになったが拳をグッと握って言葉を変えた。


「ローザ様。メイフィアの武器にそんな長距離攻撃できるものなどありません」


「あら、そうなの。攻撃してきた方向にきっとあの芸能人のチビがいるんでしょう。さっき、テレビに出ていましたわ。まあ、少しは面白くしてくれないとローたんは退屈だったからちょうどいいわ」


「……今の攻撃で、駆逐艦2が撃沈。巡洋艦も1隻戦闘不能状態になりました。戦列艦も若干の被害を受けています。敵の攻撃、威力は小さいですが、数が尋常ではありません」


「第2波、来ます!レーダー捉えました」


 リンツ中佐がレーダー長の席で確認すると、第2波の1万発がまさに直撃するところであった。


ドカーン、ドカーンと近くですさまじい爆発が起き、千発以上の着弾を受けて、駆逐艦ナイトゴールドとシルバーエースが降下していくのが見えた。その他の巡洋艦も駆逐艦も被害を受ける。


「敵の攻撃ポイントがわかりました。細かい鉄球を猛スピードで撃ちだしています。攻撃地点は30キロ地点。巡洋艦1隻と浮遊石砲台が確認できます」


「30キロ先だと?」


 30キロ先だと高速の駆逐艦を派遣しても20分はかかる。たった1隻ではあるが、公女の乗る巡洋艦なら、それなりの迎撃艦隊を派遣しないといけないだろう。


 正面の第5魔法艦隊は少数ではあるが強力な魔法で攻撃してきている。攻勢は長くは続かないと思われるが、戦列艦を派遣するのは戦力の分散化につながる。案外、それを狙っての作戦かもしれない。


「右側に戦列艦2隻を移動して、物理攻撃シールド、アイアンウォールを展開。駆逐艦と巡洋艦はその影に隠れるのだ」


 リンツ中佐はベテラン軍人らしく、そう命令した。リリムは無視して正面のレーヴァテインを破壊すればそれで勝利が確定する。


「ふふふ……。今頃、敵さんは驚いているにゃ」

「ささっと、仕事済ましてリリムは帰るううう。リリムちゃん的にはどちらが勝っても関係ないし」


「おい、腹黒アイドル。ちゃんと魔力載せて撃てにゃ。旦那の命令どおりやらないとダメにゃ」


「ふん。猫がリリムに命令するな!」


「カメラがないと本性が出るにゃ。歌う天使、希望のアイドルが聞いて呆れるにゃ」


「お前はホント馬鹿猫ねえ。普段までぶりっ子してたら疲れるだけ。あと一回だけだよね。さっさと済ませるから」


「ホイホイ。あと1分後にもう一撃発射にゃ。開戦が始まってもう20分経つにゃ。あと10分でこちらの勝利にゃ」


 トラ吉が平四郎に命じられた時間に、レールガンによる攻撃を行う。3発で弾切れであり、これ以上は撃てないが、この攻撃は陽動に過ぎない。おそらく、第3魔法艦隊は対策をとるので効果はないであろうから。


(平四郎の旦那。第2幕が始まるにゃ)


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