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GIRLS FLEET ~竜を狩る公女(プリンセス)戦記~   作者: 九重七六八
2巻 パンティオン・ジャッジ メイフィア王国編 2
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第14話 先代の眠れるパーツをゲットせよ!(2)

朝公開と思いましたが……。この話、朝から読む話題じゃないw

「ミート少尉、間もなく遺跡上空です」

 

 ナアムがそう告げる。彼女が砲艦を操縦し、トラ吉が攻撃を受け持つ。5人とジルド教授は降下体制に入る。降下方法は透明のゴムボールの中に3人が入り、上空から目的地点に落とすのだ。ボールは着地すると粘着部分が地面に密着し、瞬時に割れて中から外に出られる仕組みだ。


「それでは行くよ。フィンちゃん、リメルダ」

「は、はい」

「わかっています」


 落下させるボールは2つ。それぞれ3人ずつ入っている。平四郎とフィン、リメルダ。もう一つはミート少尉にナセル、ジルド教授だ。


 2つのボールは見事に遺跡の正面ゲート付近に落ちた。音を聞いてファイアリザードがゆっくりと近づいてくる。平四郎の視界に入っただけでも10匹は下らない。平四郎は銃を構える。リメルダも構える。フィンはもち慣れていないらしく、プルプルと銃口が小刻みに震えている。女でも持てるように軽量に開発されたアサルトライフルであるが、それでもフィンには重いのであろう。


 だが、状況はそんなことは行ってられなかった。扉を背中にして銃を構える5人の前にとんでもない数のファイアリザードが向かってくるのだ。


「う、撃て!」


 誰からでもなく恐怖から引き金を引く。その合図で一斉に冷凍弾をばらまく。冷凍弾はファイアリザードに効果が高い弾丸だ。当たれば、変温動物である彼らは動きが鈍くなり、やがて動けなくなるのだ。殺さなくても一種の麻酔効果を期待できた。


 それでも数が多すぎる。いくら効果があっても数で押されればどうしようもない。このピンチにフィンとリメルダの胸から赤い光がもつれ、絡まり、平四郎のものと結びついた。


 ピンチになると発動する平四郎を無敵にする「コネクト」である。平四郎の瞳が赤くなり、口調が変わった。


「さあ、お嬢さんたち。激アツ行っとこうか!」


 強大な冷凍弾が打ち出される。それは発射されるとバーストし、八つに分裂してリザードに命中する。のたうち回るファイアリザード。平四郎の猛攻撃にリメルダとフィンも夢中で引き金を引く。ものすごい数のファイアリザードがどんどん駆逐されていく。だが、ここは彼らの巣の真っ只中である。やられてもやられても諦めない。仲間の屍を乗り越えて攻撃してくる。


「平四郎のコネクトが発動したわ。しばらくは大丈夫。今のうちに教授、扉を……」


 ミート少尉がジルド教授を急かす。ジルドは端末装置を扉に接続し、文献にあったパスワードを使いロックの解除を試みた。だが、扉はピクリともしない。


「な、なぜだ! おかしいぞ。確かにこのパスワードでよいはずだ」

(そ、そんな。第2ポイントで失敗だなんて)


 扉が開かなければ作戦は失敗である。ミート少尉は焦った。いくら平四郎が無双でも、アサルトライフルによるチート攻撃では全てのファイアリザードを倒すまでにはいかない。無限の魔力も触媒であるアサルトライフルが弱いために、全滅させるほどの強力な攻撃はできないからだ。


「ミート、あそこ開いたみたいだぞ」


 ナセルが指差した。ちょっと高い位置。およそ、3mほどの壁に正方形の穴が開いた。さっきまではなかったから、ジルド教授のパスワードで開いたのだろう。


「あそこは換気ダクトだ」


 ジルド教授が文献を見てそう言った。それは中につながっているのだ。


「ナセル、予定とは違うけどいくよ」

「了解」


「あんた、土台になりなさい!」

「へ?」


「当たり前じゃない。あんな高いところにどうやっていくつもりよ。あんたが私を肩車して、その後、肩に立ち上がって私が中に入る」


「ミート、お前だけじゃ危ない。俺も行くよ」

「じゃあ、ロープを貸して。どこかに縛るからそれで登ってきて」


 ナセルの肩にミートが乗る。むっちりプリプリの感触が伝わる。にへら~っと顔が緩むがそこは男。立ち上がると壁に手をつく。ミート少尉がナセルの頭に手を置いて肩に足を乗せた。長身のナセルが立つと十分にダクトにミート少尉の上半身を潜り込ませることができた。


 中は狭い。一人が両手足をついて移動できる程度だ。ミート少尉はロープを下へ垂らす。縛り付けるところが見当たらないで、自分が端をもち、両腕と両足を広げて、自らが支え棒になった。ナセルはロープを両手で持つと体重をかけて、壁に足をかけた。ミート少尉に引っ張る力が加わり、ズルズルっと体が引きずられそうになる。


 それも一瞬でナセルは足で壁を蹴り、思いっきり伸ばした片手がダクトの端にかかった。そこから体を引き上げて中に侵入する。


「教授はそこで待ってて」


 ナセルはそう言ってダクトを進む。先に入ったミート少尉が目に入る。


「ナセル、遅いわよ。早く進むよ」

「あ、ああ。あのミート。順番変わらなくていいかな」


「はあ? 何言ってるのよ。こんな狭いダクトの中でどうやって体を入れ替えるのよ」


「そ、そうだけど」

「このまま、私が先に行きますから」


「いや、それはちょっとヤバいんじゃ……」


「何がヤバイんです? わたしの方が魔力が上で、魔法探知の力が優れているわ。もし、トラップがあっても分かりますから!」


「いや、そういう意味では……」

「どういう意味よ!」


「いや、なんでもないです」


 ナセルは黙った。(一応、止めたから、これ以上は自己責任だよな!ラッキー)

心の中でガッツポーズをするナセル。


 なぜって? これから侵入するエリアは、細いパイプ状のダクトを通って行くのだ。ちょうど、人が四つん這いで進むしかないスペース。


(だから、俺は止めたんだけど……。いやはや、これは目の保養を通り越して……天国じゃあ~)


 ナセルは両手足を動かして進みながら、前方に展開するパラダイスに釘づけになる。もう、お分かりだろう。スカート姿のミートちゃんが前方をハイハイしているのだ。パ○ツが見える見える……しかも……


(食い込んだ○○○がたまんね~んですけど! さらに、むっちり太もも、ごちそうさま!)


「しかし、たまんねえな、このケツ」


 思わず心で思ったことを口に出してしまい、ナセルは慌てて口を抑えた。


「はあ? なにか言った?」


 ふと止まって、ミート少尉が振り返った。まだ、気づいていないようだ。いや、気づいてもこの状況を解消するのは、無理だけど……。


「いや、なんでもないです。水玉なんて別に、あいや、暑いから汗が水玉みたいだなあなんてね。ははは……」


 ナセルは背中に冷たいものが走った。水玉なんてどうして言ってしまったのだ?そりゃ、目の前に広がるふくよかな水玉ワールドに洗脳されてしまったとしてもだ。


「馬鹿ね。いくら暑くてもそんな水玉みたいな汗が出るわけ……あっ、まさか!?」


 ミートちゃんは進むのを止めた。右手で後ろのスカートを抑える。急に止まったのでナセルの顔面に水玉ワールドが押し付けられる。


(ふんわか~。やわらかーい……!)


「いや、バカ、この変態」


 慌ててスカートをさらに抑えようとするが、ここは狭い排気ダクトの中。ミートちゃんが暴れるとナセルと自然と絡まってしまい、何故かナセルはミートちゃんのもっともふくよかな胸に顔を埋めるという超ラッキー状態に!


(あああ~。俺にもラッキースケベの神が降りてきた~。幸せ~)


 かああああああっ……とミート少尉は羞恥心で顔が赤くなるが、この状態はいくらナセルがスケベだからといっても不可抗力の方が大きいと頭では理解していた。だが、それでも恥ずかしすぎる!


「と、とにかく、少しずつ足と手を動かして、この状態をなんとか解消するの! 分かっている? ナセル」


「わ、分かっているさって、はあ~。いい匂い!」


「バカ、匂いを嗅いじゃダメ!い、息が当たる、息を吹きかけないで!」

「いや、俺は呼吸しているからで……」


「だあめええ……。くわえちゃだめえええ……」

「口を開けたら、お前のち、ちく○……が…モゴモゴ……」


「ば、バカ、息するな! 手、手も動かすな! 私のお尻触ってる!」


 しばらく、ラッキースケベモード発動中のナセルくんは置いておいて、外では平四郎がコネクト状態でファイアリザードを蹴散らしている。もう、このまま、平四郎が無双すればいいじゃないかと思うのだが、ミート少尉とナセルはダクトから遺跡の内部に降り立った。


 そこは500年前の軍事基地。今とあまり変わらない仕様。変わっていたのは、そこに二体のガーディアンが設置され、しかも2人を感知すると動き出した。待機モードから起動し、ゆっくりと外部侵入者を排除しようと攻撃態勢に入ったのだ。


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