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GIRLS FLEET ~竜を狩る公女(プリンセス)戦記~   作者: 九重七六八
2巻 パンティオン・ジャッジ メイフィア王国編 2
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第11話 リメルダさんピンチです!(3)

 平四郎はトラ吉と共に盗賊団のアジトに降下して攻撃を仕掛けた。ナセルとルキアに砲艦による砲撃の後、下に降りた方がよいと言われたのだが、それではリメルダを巻き込むかもしれない。それに平四郎はリメルダとあの赤い糸がつながる(コネクト)の感覚を感じていた。


 現在、平四郎の瞳は赤くなり、魔力がMAX状態である。それでルキアたちが止めるのも聞かずにトラ吉と降下したのだ。通常なら自殺行為と思われるこの行為も、平四郎がハンドガンの引き金を引くと、凄まじい光線が発せられると着弾した場所が大爆発を起こしていく。当たらなくても盗賊どもをまとめて吹き飛ばしていく。


「これって、ちょっとチート過ぎないか?」


 そうトラ吉に聞く。トラ吉は首をすくめて、


「そもそも旦那の魔力は魔法艦隊専用ですにゃ、こんな地上戦はアリと象の戦いと同じですにゃ。億級の魔力でハンドガンを撃つということは、大砲と同じ効果にゃ。見た限り、ファイアボールレベル3並の攻撃だにゃ」


「せめて、さっきのスリープボムとかにできないのか?」


「そりゃ、無理にゃ。戦艦なら旦那の魔力を変換してスリープの魔法にできますが、ハンドガンじゃ素直に魔力弾飛ばすだけですにゃ」


「でも、これじゃあ、虐殺マシーンだよ。まるでターミネーターになった気分だよ。敵の弾も当たんないし」


「それは身に付けている防弾ジャケットのせいです。旦那の魔力に反応して、空中戦艦なみの防御シールドですにゃ。これでは、やつらの攻撃すべてチャラ」


「ますます……チートだな」

「奴らは付近の街を襲っている残虐な連中だにゃ。これは正義の鉄槌だにゃ」

「僕は神か?」

「神様級の魔力だにゃ。これで第2公女ちゃんを救出できるにゃ」


「……しょうがない。今から激アツ行っとこうか?」


「オイラは敵の弾が当たれば死んじゃうから、旦那、先に突入してくださいにゃ」


「はいはい……」


 平四郎はある程度の射撃で盗賊団の兵士を吹き飛ばすと崩れたアジトの地下に向かう。コネクト状態である平四郎には、赤い糸をたどっていけば彼女の居所など一発で分かる。


 リメルダはすぐに見つかった。上半身スッポンポンで、下半身はかろうじてパンツ1枚で天井からの鎖につながれて泣いている。平四郎は足で鉄の牢を軽く蹴倒す。中に入ると天井の鎖をまるで飴細工をちぎるように断ち切る。パリパリと鉄がクズになっていく。目をまんまるくしているリメルダに平四郎はそっと自分の上着を脱いで羽織らせた。


「へ、平四郎?」


 リメルダは表情が落ち着いて、改めて自分を助けに来た男の顔を見て小さくつぶやいた。


「リメルダ、脱出しますよ。僕におぶさって」


 そういうと平四郎は後ろを向いてしゃがんだ。リメルダは裸足なので、がれきだらけの場所は早く移動できないと判断したのだ。


「お、男におぶさるなんて……。公爵令嬢の体面が……」

 

 リメルダはちょっと躊躇した。小さい時ならともかく、18歳の今、若いの男におんぶされるのは恥ずかしい。


「お、調子でてきたじゃないか。でも、今はそんなこと言ってる場合じゃない。早く!」


 平四郎は語気を荒げる。地上の敵はあらかた撃破したとはいっても、まだ、盗賊団は抵抗している。抵抗されれば、それを排除しなくてはいけない。自分のチート能力でそれを行うのはちょっと気分が悪かった。

 それにリメルダさえ、救出すればあとは国軍に任せておけば十分だ。面倒なことをしたくないと平四郎は思った。


「は、はい」


 素直にリメルダは平四郎に体を預ける。ひょいとおんぶすると、左手でリメルダのお尻を持ち上げ、右手のハンドガンをぶっぱなして、地上へと脱出した。地上に出ると破壊されたアジトから無数の煙が上がり、大半の盗賊どもは倒れているか、逃げ散ったかであった。300人規模の盗賊団が崩壊状態である。


「旦那、コネクト状態の旦那はドラゴン並みに強さだにゃ。ホントすごいにゃ」


 トラ吉が手にしたアサルトライフルを構えてみたものの、反撃してくる様子はなさそうであった。


(この公女様ともコネクトできるとは……。旦那、ハーレム路線一直線だにゃ)


 そう思いながらトラ吉は手を振った。上空の砲艦に対してだ。ナセルとルキアが見つけて回収してくれるだろう。それで任務終了だ。


 だが、キュルキュルという不気味な音が近づいてくるのを3人は聞いた。振動も地面を通じて伝わってくる。


「お、おろしてください」


 そうリメルダが懇願するので、平四郎はひょいと彼女を下ろした。そして前方を見ると巨大な乗り物が移動してくるのが分かった。砲塔を持つそれはまさに戦車である。平四郎はハンドガンをそれに向かって撃つ。だが、着弾して爆発しても戦車にはダメージを与えられない。


「おい、トラ吉、この武器じゃ、役に立たないぞ」


「あちゃ~。魔法戦車があるとはにゃ。さすがの旦那でもハンドガンじゃ撃破はできませんにゃ。ありゃ、レべル3程度は魔法障壁で防ぐにゃ」


「どうしたらいいんだ?」


 戦車はこちらに砲身を向けて射撃体制に入った。これはヤバイ状況だ。


「こうするのよ!」


 平四郎の軍服の上着を着たリメルダが、武器を構えた。肩に乗せたそれは対戦車魔法ランチャー。先程、倒れていた盗賊が持っていたものを拝借したのだ。


 迷わず引き金を引くと、発射された魔法弾は渦を巻き、リメルダの魔力と重なった。戦車着弾したとたん、大爆発して一瞬で粉々にしてしまった。コネクトは公女にも無限の魔力を流入させとんでもない攻撃をすることができる。ハンドガンより高い攻撃力を持つロケットランチャーならば、駆逐艦の主砲並みの攻撃力は可能であった。



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