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GIRLS FLEET ~竜を狩る公女(プリンセス)戦記~   作者: 九重七六八
2巻 パンティオン・ジャッジ メイフィア王国編 2
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第10話 リメルダ艦隊の危機(5)

う~ん。フィンの話し言葉が安定しないw マリーとローザの話し言葉が一緒だ。

登場人物が多数だと区別が……。で、少しずつ改善してきます。まずは、ローザか。

「第2魔法艦隊が全滅したって?」


 平四郎は通信担当のプリムちゃんが傍受したという通信の内容を聞いて詳細を確認した。旗艦ブルーピクシーはフォレストの森の何処かへ不時着したらしいが、かなりの損傷で身動きができないらしい。ブルーピクシーに乗船している乗組員のデータも見る。


(リメルダ・アンドリュー公爵令嬢。あのパーティで誘ってきた黒髪の女の子。パークレーンでは、手作り朝食にコーティング剤をプレゼントしてくれた。結果的に彼女のリフレクトコーティングがなければ、第4魔法艦隊にとどめはさせなかった。つり目でキツイ感じのスレンダー美少女。助けに行くべきか?)


 第5魔法艦隊は戦いを終えて帰投途中であった。旗艦レーヴァテインは燃料切れ間近でであり、急いで近くの港に帰って補給が必要であった。自分たちが向かわなくても国軍が救出するだろうとは思うが、平四郎の心は何だか引かかった。


 平四郎の傍らにいたトラ吉が話しかけてくる。


「旦那!お願いがありますにゃ。従者たるオイラがこんなことを頼むのは厚かましいと思うけど、頼みますにゃ」


 いつものトラ吉ではない。何だか、必死な感じだ。


「何だい? トラ吉の頼みって?」

「第2魔法艦隊旗艦の捜索、してくれませんかにゃ?」


「それは僕も考えていたけど、どうして君が頼むんだい?」


「実は……旗艦の艦長がオイラの知り合いにゃ……」


「へえーっ。ブルーピクシーの艦長はあのナアムという妖精族けっと・しーって聞いたけど、トラ吉の知り合いだったのか」


 平四郎はちょっと気になってはいた。あのパークレーンでリメルダとナアムを遠くに見て、トラ吉は(用を思い出したにゃ)とか言ってわざとらしく姿を隠した。何だか変に思ったが、どうやらあのメスのケット・シーとは浅からぬ縁があるようだ。そんなことを考えている平四郎の表情を読み取ったのか、トラ吉は慌てて言い訳をする。


「ちょっとした腐れ縁だにゃ。ブルーピクシーが落ちたレジェンドフォレストは無法者が占拠している無法地帯なんだにゃ。第2公女が遭難したとなったら、奴らが動き出すことは確実にゃ。とても危険なんだにゃ。なあ、頼むにゃ。一刻も早く救出に向かってくれにゃ」


「分かったよ。リメルダにはコーティング剤をもらった借りもあるし」


 そう平四郎は言うとフィンに頼んでみた。


「う~ん。私は反対。レーヴァテインは燃料切れ間近だし、損害も受けているから全力航行ができない。それに今から向かっても意味がない。きっと、国軍のパトロール艦隊が救援に向かっていると思うし」


 そうミート少尉が進言する。もっともな意見だ。


「だがなあ……あの辺、一帯は治安最悪だぜ。今頃、あの美人の公女ちゃん、ひどい目に合ってたりして…」


 とナセル。フィンはしばらく黙っていたが、彼女の答えを平四郎は分かっていた。


「救いに行きましょう」


 そうフィンは言った。


「ありがとうございますにゃ。フィン様」


 トラ吉がそう礼を言った。だが、救いに行くにも船がない。第5魔法艦隊の駆逐艦は全て失ってしまったし、第4魔法艦隊の残存戦力も曳航しているくらいだから使えるものがない。探すとなるとそれなりの武装も必要だ。だが、その問題はすぐに解決した。


「あーあー。レーヴァテイン聞こえる。こちらルキア。第4魔法艦隊に勝ったと聞いて迎えに来ちゃった。平にい、怪我はない?」


「ルキアさんからの通信ですううう……。ハンター用の砲艦からですううう……」


 戦場から工作船で一旦帰ったルキアであったが、パークレーンで戦勝の報を聞いて砲艦に乗り換えてやっていたのだ。砲艦はバルド商会の売り物であった。


「タイミングいいわね。あの船で探索したら? 砲艦ならある程度の武装はあるだろうし」


 ミート少尉がそう言った。第5魔法艦隊はこのまま、近くのマグナカルタへ行き、平四郎たちだけ向かわせるのだ。ミート少尉もリメルダを見殺しにするのは気が引けた。


「了解! ルキア、その砲艦貸してくれ」


「え? 何言ってるの」

「緊急事態なんだ。その船、武装はどれくらいなんだ」


 平四郎は通信担当のプリムちゃんから、通信機を借りてルキアと連絡を取る。幸い、引き渡す途中の試験航海も兼ねていたから、12インチバスター砲1基とミサイルポッド1基(ミサイル実装6発)に25mmマジックミサイル砲を2基積んでいた。全長30m程度の小型の砲艦だが武装は充実していた。


「トラ吉と平四郎だけじゃ、人員足りないよね。ナセル、あんたも行きなさい」


 ミート少尉がそうナセルに命令する。足を机に上げて事の成り行きを聞いていたナセルは態勢を崩して地面に背中から落ちた。


「い、痛ててて。 ちょっと待ってよ! 俺? そりゃないよ!」


「あなたは攻撃担当でしょ。はっきり言って帰投する間、あなたは暇でしょ。美人の公女様を助けに行くといいわ!」


「いや、あの公女様は美人だけど、俺好みじゃないんだよな」


「どの辺が?」


「そりゃ、主に胸の付近が……俺はひんぬーよりも爆ぬーな方が」

「やっぱり、乳か~」


 ガシガシとナセルを蹴るミート少尉。


「痛い、痛い……やめてくれ」


「ふん。いつもいつも飽きずにセクハラばかり。フィン、これでいいよね。あなたは、この艦隊の提督。傷ついた艦隊を帰投させるのが役目よ」


 ミート少尉は一応フィンにクギを指した。この天然公女が(わたしもついていくです~)と言い出さないようにだ。そう言われたフィンは明らかに落胆していた。


 でも、フィンがいなくなったら、レーヴェテインは航行ができないからこればっかりはどうしようもない。


「う……うん。わかっています。平四郎くん、命令します。あの砲艦に乗って、リメルダさんを救出してあげて」


「了解!」


 こうして、平四郎たちは第2魔法艦隊捜索の任務につくことになった。ルキアが乗ってきた砲艦、レオニダス号は充実した武装に加えて、地上に徘徊する小さなドラゴン族を狩るために地上探索用センサーを装備していたことが幸いであった。


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