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GIRLS FLEET ~竜を狩る公女(プリンセス)戦記~   作者: 九重七六八
1巻 パンティオン・ジャッジ メイフィア王国編 1
55/201

第9話 VS第4魔法艦隊 エアズロック空中戦(7)

2月中旬から連載し始めたこの作品。14万字超えました。リバイバル作品とはいえ、全面改訂なので結構書くのは大変なんです…って。修正メンテナンスもいくらやっても追いつかないw

「敵艦、デストリガー発動しましたですううう! 逃げ切れませんんん!」

 プリムちゃんが悲鳴を上げる。

「そ、そんな……警告なしで!」

 ミート少尉が立ち上がる。目の前に強烈な光を放つ雷撃弾がスパイラル螺旋を描いて向かってくる。その強大さに誰もが立ち尽くすしかない。


 再び、平四郎とフィンの胸から伸びた赤い糸が絡み合う。それがより太くなり、光を放つ。平四郎の赤くなった瞳が金色になり、別人のように落ち着いた表情になる。

「さあ、今から激アツ行こうか!」

「はいです」

 フィンはうなずいて目の前の光球を両手で覆う。光が赤からオレンジ、黄色へと変わる。


「いくよ、フィンちゃん! カウンター魔法、リフレクト発動!」


 平四郎の命令と同時にパリムちゃんが、魔力を変換し、魔法に変えるレバーを思いっきり引いた。雷撃弾に艦が押し包まれようとした瞬間、七色のクリスタルがレーヴァテインを包み込んだ。そして、雷撃弾は当たった瞬間反発し、方向を変えたではないか。


 そう。魔法攻撃をそっくり跳ね返す魔法。

「リフレクト」の発動である。これはリメルダがプレゼントしてくれた「リフレクト・コーティング」の効果である。これを塗布する作業は難しく、しかも時間がかかるのだが平四郎はこれをやりとげたのだ。少しでもコーティングしていない箇所があれば、魔法は成立せず、攻撃をまとも受けてしまう。


 だが、平四郎はコーーティン剤を薄めて洗浄用のカプセルドックにそれを満たしてレーヴァテインをそれに浸すという大胆な方法でコーティングをしたのだ。薄まった分の効力は「コネクト」による魔力で補うので問題はなかった。


 無論、このリフレクト・コーティングにより発動する「リフレクト」の魔法は使いどころの難しいもので、このパンティオン・ジャッジでもドラゴン退治の戦いでも過去に使われたことはなかった。まず、タイミングが難しい。警戒されては使えないので、その戦いで使えるのは一度きりである。だから、敵の最大の攻撃に使わないと効果が薄い。


 そして、発動中はすべての動きが停止する。はね返せるのは1艦の攻撃だけであるから、艦隊戦の乱戦で使えば、他艦からの攻撃に無防備になる。さらに魔力の供給が不十分なら、はね返すどころか、シールドにもならずに直撃される。


 だが、平四郎とフィンの魔力供給はチートであった。何しろ、魔力は999万の数字を示している。これは計測不能の最大値である。これによってリバースの魔法を使えるものにした。そしてドンピシャのタイミングと敵艦の最大の攻撃デストリガーに対する発動だ。これほど、効果的な場面があろうか……。


 ラピスは、取材記者としてこのレーヴァテインに座乗した自分の感のよさとアドバイスをしてくれたハウザー教授に感謝した。あのエロおやじにパンツをくれてやったことは無駄ではなかった。最大攻撃のファイナルアリアを自ら浴びたフォルテシモは爆発炎上して地上へと落ちていく。艦橋の脱出カプセルが、絶対魔法防御の発動で守られフォルテシモから離脱していくのが見えた。


 リリム提督の命こそは助かったが、第4魔法艦隊の被害は甚大で破壊された艦艇はおそらく90%以上であろう。


(パンティオン・ジャッジ始まって以来の大敗北だわ)


 ラピスはすぐさま、会社宛に魔法メールを送信する。




 第5魔法艦隊の奇跡の勝利


本日、午前九時より開始された第5魔法艦隊VS第4魔法艦隊の決戦。エアズロック空戦(仮名)は、午後3時過ぎに第5魔法艦隊の劇的勝利で終わった。


第4魔法艦隊の被害は、

撃沈 戦列艦2 巡洋艦4 駆逐艦6 

大破 戦列艦1 巡洋艦1 

小破 駆逐艦2 


なお、旗艦フォルテシモは撃沈、四散。

リリム提督以下の幕僚は脱出したものの、被害は甚大である。


速報 メイフィアタイムス ラピス・ラズリ



「よし!勝った」

(旦那、すげえ。作戦通り)


 トラ吉からそう言われて、コネクト状態から元に戻った平四郎はちょっとだけ得意になったが、フィンの顔がうれしそうでないので、顔を引き締めた。勝ったものの、相手の第4魔法艦隊の被害が絶大で、これほど相手を叩きのめした例がなかったからだ。第4魔法艦隊は有人艦が多く、多くは脱出したものの、さすがに戦死者0とは言えない戦闘だった。おそらく多くの戦死者が出たことだろう。パンティオン・ジャッジの必然とは言え、心優しいフィンが喜べるようなものではない。


 しかし、戦力差が相当あったので、第5魔法艦隊としても手加減をすることはできず、徹底的に破壊してしまったことはやむを得ないところではあった。


「第4魔法艦隊旗艦の脱出艇より入電。我、救出を乞う」


 プリムちゃんが通信文を読み上げる。


「すぐ、収容してくださいです」


 そうフィンが命じた。



(面白くなってきたわ!)


 レーヴァテインに乗って取材をしていたラピスは自分の判断に満足した。取材を進めていく途中で不安になったものの、結果的には先見の明があった。体験レポートを社に送るとともに、今日の夜の報道特集に出演することも決まった。周辺で戦いの取材をしていたテレビ局の取材艇がレーヴァテインに横付けした。それに乗って急ぎ、首都に帰って国民に戦いの詳細を知らせるのだ。


 

 第5魔法艦隊の勝利は、魔法王国メイフィア中を震撼させた。誰がどう考えてもありえない勝利であるからだ。メイフィアタイムスの第一報が告げられると、その詳細に全国民の関心が集まった。



エアズロック空戦の詳細


 浮遊石地帯「エアズロック」に立てこもった第5魔法艦隊に業を煮やした第4魔法艦隊は、分艦隊を編成。エアズロックに侵入させる。同時に上空に本隊を展開させ、追い出されてくる第5魔法艦隊を上空から撃滅する作戦に出るはずであった。


 しかし、第5魔法艦隊は少数であることを生かし、分艦隊を機雷源で身動きさせなくすると同時に攻撃を仕掛けた。改造された旗艦レーヴァテインの火力によって分艦隊はエアズロック内で撃破される。


 第4魔法艦隊もリリム提督の特殊能力によって、第5魔法艦隊の駆逐艦を3隻撃破するものの、浮遊石を使った攻撃で上空の第4魔法艦隊は巻き込まれてその戦力を奪われた。


 メイフィアタイムス  ラピス・ラズリ


 世間の評価は2分した。まずは、第5魔法艦隊への批判。これはリリムのファンが中心になって巻き起こした。


堂々と戦いわないなんて汚い。

穴ぐらにこもるなんて卑怯だ。

こんな戦い方がドラゴンに通用するのか?

リリムちゃんが可愛そうだ。

異世界から来た男は礼儀がない。

貧乏貴族の娘らしいずるい作戦だな。

第5公女って、あの根暗の?

美人だけど、華がないというか。

美人でもやっていい事と悪いことがある。

リリムたんに勝つとは許せない!


リリムたんは、第5魔法艦隊に負けたわけではない。

そう、浮遊石に負けたのだ。リリムたんは悪くない。

自然の力に負けたんだ。リリムたんは被害者だ。


あれ?

そう言えば、負けた公女の運命は勝った方が握るんだよな?

第5魔法艦隊の提督パートナーは男だぞ!

リリムたんが、異世界の男に……。

殺す~異世界の男、殺す~。


 肯定派は次々に入ってくる第5魔法艦隊の戦いぶりの情報に感心し、これこそ、世界を救うのにふさわしいパンティオン・ジャッジならではの出来事だと賞賛した。浮遊石地帯を戦場に選び、艦艇の数と火力の不利を補ったこと。分艦隊を圧倒した旗艦の改造をした平四郎のマイスターとしての腕を褒める論調も多くあった。そして、戦列艦との一騎打ちに際して、欠陥品と言われた「リフレクトコーティング」を使ったリフレクトに魔法発動したことなどが取り上げられた。


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