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GIRLS FLEET ~竜を狩る公女(プリンセス)戦記~   作者: 九重七六八
2巻 パンティオン・ジャッジ メイフィア王国編 2
123/201

第20話 VS第1魔法艦隊 ~サンビンセンテ空中戦(4)

最近クオリティが低い。読んでくれる人が少ないからかな?

評価、感想お待ちしてます。

「第5魔法艦隊、こちらに向かってきます。全艦隊23隻を確認」


 索敵担当からそう連絡を受けるとマリーは、護衛に残した巡洋艦ナイトメア、駆逐艦のレイス、ファントム、Fの無人艦を提督の席のパネルで動かし、陣形を作り始めた。あと2隻の有人駆逐艦は、偵察に出してある。


「第一試験はパスね。ここで2つに分けてきたら興ざめしてしまうところでしたが、やはり、2個艦隊を僅かな戦力で撃破してきただけのことはあります」


「でも、マリー様。敵は戦列艦4隻を含む23隻の艦隊です。いくらこの船(コーデリアⅢ世)が強いとはいっても、さすがに厳しいのではないでしょうか?」


 そう副官のシャルロッテが懸念を示した。いくら防御力に定評があるといっても、戦列艦の集中砲火を浴びれば、押し切られないとも限らない。ましてや、相手にはデストリガーがある。いきなりぶっぱなされたら、それこそジ・エンドである。


「そうね。時間との戦いでしょうね。いくらわたくしでも、戦いが始まって何時間も耐えることは難しいでしょうね。ただ、デストリガーについては、いきなりぶっぱなすなんてことはしないでしょうね。ローザならともかく」


(もちろん、使ったとしても対抗策は考えていますわ。どう出るのでしょうね? 異世界のへいしろうは……。第2試験、第3試験を見事パスして欲しいですわ)


「マリー様、、あと30分程で、敵艦隊の前衛部隊と砲撃戦を交えます」


「よろしいですわ。全艦隊に第1種戦闘配備。総員に告げます。パンティオン・ジャッジ決勝戦としてふさわしい戦いになるように各員の健闘を期待します。これは今後続く、世界を守る崇高な戦いの第一歩に過ぎませんが、大切な一歩です。このサンビンセンテの地にマリー・ノインバステンと共に戦ったということが、すなわち英雄であると後世の人々が称える戦いにしましょう」


「マリー様! 万歳!」


 マリーの演説に第1魔法艦隊の兵士は感極まって万歳を叫んだ。みんなこの高貴な王女に絶対の忠誠を誓っている。士気は非常に高かった。


「敵艦見ゆ……。中央、旗艦コーデリアⅢ世、左に巡洋艦ナイトメア、駆逐艦レイス、右に駆逐艦ファントム、F」


 レーダー担当のプリムちゃんの報告と同時に、艦橋スクリーンに映し出される巨艦。第1魔法艦隊旗艦コーデリアⅢ世。通常の戦列艦は全長が200m~300mであるが、コーデア3世は、500mと一回り大きく、さらに主砲は通常の戦列艦は前面に3門(上2門、下1門)、後面に2門(上下1門ずつ)が普通だが、前面に6門(上下3門)後面4門(上下2門)ずつの計10門を装備している、これだけで戦列艦2隻分の火力であるが、特筆すべきなのはその防御力。射程距離ギリギリの砲撃では、その魔法シールドの前に傷一つ付けることができない言われる。戦う相手は、より近くに踏み込むしかなく。それは、コーデリアⅢ世の砲撃の前に事度如く撃ち落とされてしまう。


「あれが、コーデリアⅢ世……。艦隊の陣形も見事だ」


 平四郎は旗艦を中心に三角径を描いている敵の戦闘隊形の確かさに、マリーの操艦技術のすばらしさを見てとった。おそらく、無人艦でマリーが動かしているに違いない。


(トラ吉の報告だとあと2隻足りないな……)


 駆逐艦2隻が見当たらないが、どこかに移動しているのだろう。


「トラ吉さんのガンシップ、戻りましたですうう」

「レーヴァテインの防御シールド、レベル10キープでおじゃる」


「フィンちゃん、レーヴァテインがコーデリア3世の射程距離に入る少し前に、全艦隊を左に旋回させて、敵の巡洋艦から集中砲火で倒していくでいい?」


「了解したです。艦列はそのまま、敵の射程外から、左回りに距離を徐々につめて、敵を殲滅するです。第1目標は敵の巡洋艦。全艦、わたしに続け!」


 第5魔法艦隊のフィンの命令の元、レーヴァテインを先頭に一列で突入する。突入する艦は、レーヴァテイン、戦列艦の4隻、巡洋艦5隻である。第5魔法艦隊の主力すべてをつぎ込んだ。駆逐艦13隻はリメルダに指揮させるために待機させている。


「マリー様、第5魔法艦隊、旗艦レーヴァテインを先頭に突撃してきます。左に回りながら、射程距離に入ってきます」


 艦長のシャルルが、第5魔法艦隊の予測航路をスクリーンに映し出す。


「なるほど……左回りに旋回しながら距離を詰め、包囲殲滅するつもりだわ。なかなかの作戦ね。このまま、躊躇して何もしなかったら、袋叩きにされるわ」


「どうしますか? マリー様」

 副官のシャルロッテがそうマリーに尋ねた。ドラゴン相手には経験を積んだが、空中武装艦同士の戦いは初めてだ。


「敵の艦列の詳細は?」

 マリーの問に策定担当の士官が答える。

「レーヴァテイン、戦列艦オーバーロード、カシナート、巡洋艦ドライアド、ブラウニーズ、戦列艦ハースニール、フレイア、巡洋艦ユグドラシル、アトラス」


「敵の左旋回開始地点に、巡洋艦ドライアド、ブラウニーズが差し掛かったら、全艦前進させて、これを撃破。そこの穴から包囲陣を破り、そのまま、左に旋回、右の敵を順次、撃破していきます」


「それだと、敵の我が右翼に位置するナイトメアとレイスが集中攻撃されますが…」

 シャルルはマリーの命令の意図は一瞬で理解した。それでも、敢えて尋ねた。現時点では第1魔法艦隊は相手よりも戦力が下だ。それが分かっているだけに誰もが不安なのだ。その不安をマリーの口から否定してもらおうと考えたのだ。

 マリーはそんなシャルルの配慮を理解し、この戦場に残っている兵士たちを励ますように力強く応えた。


「構いません。この作戦に出られた以上、2隻の損失はやむを得ません。しかし、こちらはそれ以上の戦果を上げます」


「分かりました、マリー様。コーデリアⅢ世、まもなく前進。敵の旋回ポイントで一斉射撃に移る。準備開始せよ!」



「射程距離内に敵巡洋艦、駆逐艦、入るでおじゃる。シールド全開!」


 パリムちゃんの叫びとともに、平四郎とフィンが同時に叫んだ!


「撃て!」


 平四郎はレーヴァテイン、フィンは指揮下の艦艇への命令だ。この時に左に旋回して、射程距離に入ったのは、レーヴァテインと戦列艦オーバーロード、カシナートであった。旋回中で全砲門が撃てる状態であったので、全門から魔法弾が発射される。炎系のファイヤーボールレベル10だ。この集中攻撃に巡洋艦ナイトメアは、魔法シールドが削り取られ、2擊目の一斉砲撃の前に大爆発を起こした。さらに3擊目で装甲の弱い駆逐艦レイスも爆発炎上する。


「巡洋艦ナイトメア、撃沈! 駆逐艦レイス、爆発炎上! 2隻完全に撃破ですうううう!」

 プリムちゃんの報告は予想以上だったが、敵の動きも予想以上であった。


「コーデリアⅢ世、前進していきます。こちらの巡洋艦ブラウニーズが射程距離に入ります!」


 副官のミート少尉が叫ぶと同時に、平四郎の目に映ったのはコーデリアⅢ世の集中砲撃の前に火に包まれ、さらに体当りされて真っ二つにされる巡洋艦ブラウニーズの姿であった。巡洋艦の主砲では、コーデリアⅢ世の魔法シールドを破ることはできない。すべて跳ね返され、ブラウニーズの魔法シールドはアイスクリームにスプーンですくい取るが如く削られ、容赦なく、船体にダメージを与える。


 魔法シールド壁は数値のあるバリアみたいなものだ。仮にコーデリアⅢ世の魔法シールドが100万とすると巡洋艦ブラウニーズの攻撃が500。それで魔法シールドに500ダメージを与え、99万9千5百に下げたけど、ブラウニーズの魔法シールドは2000。コーデアリアⅢ世の攻撃が2500で一撃でシールドが吹き飛び、次の射撃で破壊されたといえば、分かりやすいだろう。


 巡洋艦を撃破し、その隙間から包囲網を突破したマリーは、続いて時計回りに移動を命ずる。左回りに艦列を組む第5魔法艦隊のさらに外側に出て同じ方向に進行する。こうなると、第5魔法艦隊の前4隻は完全に射程外になってしまい、列の後半の戦列艦ハースニールとフレイアがコーデリアⅢ世と激しい砲撃戦になった。


「撃て、撃て、撃て!」


 ハースニールの艦長は命令し、主砲、副砲を撃って撃って撃ちまくった。


「マリー様の船をこの手で沈めて、歴史に名を残せるぞ!各員、ここが勝負だ!」


 有効射撃距離よりかなり接近した攻撃なので、お互いの魔法シールドを削りまくる。だが、ここでもコーデリアⅢ世の攻撃力と高レベルな魔法シールドがハースニールを圧倒する。


「ダメです! 魔法シールド破られます。直撃が来ます!」


ドカドカドカ……ドカーン。


 3度爆発音が鳴り、その都度、衝撃が伝わる。ハースニールはコーデリアⅢ世の主砲が8発当たり、火災が発生し、艦列から外れていく。



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