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はじまり。
ジリリリリーッ
「うっ、うるせぇ……」
布団の中から手を伸ばして、バシッと目覚まし時計を叩いて音を止める。
ぐわんぐわん脳髄に響き続けている音に耐えるように、左手で髪をかきあげた。
携帯のアラームじゃ目の覚めない寝起きの悪い俺の朝は、昔ながらの音のでかい目覚まし時計から始まる。
それにしても今日の音は激しかったな、と右手で時計を布団の中に引きこんだ。
スヌーズ機能を止めようとしたそんな俺の目に映った、時刻。
「やべっ」
ベッドから飛び起きる。
放り投げた時計の表示は、七時。
それは起きる時間ではなく、バイトに行く時間だった。