表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

再会~そして旅の始まり

窓の外の大阪を見ながら、つい、うとうとしてしまい、危うく乗り過ごしそうになったものの、何とか無事に京都駅に到着することができた。


到着時にはすでに日が差し、外は明るくなっていた。

長々とバスの中で縮こまっていたせいかやけに体が傷み、ぐーんと背を伸ばす。バキバキと骨の鳴る音を聞きながら息を吐くと、心なしか体が軽くなったような気がした。


ふっと時計を見ると、時刻はは8時ちょっと過ぎ。集合は9時半なのでまだ時間はある。

朝食を摂ろうか?それとも駅内の売店でも見て回ろうか?

そんなことを考えていると、電話が鳴った。


「もしもーし!」

電話の相手は忍だった。

「はいはーい!」

軽快に答える。

「美月もう着いた?実は私、もうすぐ着くんだよねー。」

びっくりした私は時計を再度確認する。

「集合9時半って言ってなかったっけ。まだ8時15分だよ。」とつい笑ってしまう。

でも私はわかっている。

私が8時着だと伝えたから、それに合わせて来てくれたんだということを。

たぶん、麻未も・・・。

予想通り、忍の電話を切った直後に麻未からの着信があった。

「今どこにいるのよ」

まったく友達思いの2人だ。

嬉しい気持ちを抑え、いましがた忍からも連絡があったこと、八条口近くの時計広場にいることを伝えた。

「いい?絶対そこを動いちゃだめよ!あんた絶対迷子になるに決まってるんだから!」

どうも麻未はここまで迎えに来てくれるらしい。

私は一人で2人を待つことにした。


が、しばらくして忍から電話が入った。

「麻未と合流したけど、時計広場が分からない」とのことだった。

方向音痴の汚名挽回とばかりに「私がそっちに行くわ!」と意気揚々と駅の構内に入り込む。電話の向こうから忍の「動くな‼」という怒鳴り声が聞こえたような気がしたが、聞こえなかったふりをで電話を切った。

しかし、これが間違いだったと気づくのに、そう時間はかからなかった。そう、相手の返事も聞かず移動したのはいいが、途中でどこにいるのか全く分からなくなったのである。

友人たちの懸念通り、迷子になったのである。


どうしようとおろおろしていると、また着信があった。今度は麻未からである。

「あんた!動くなって言ったのに移動したわね!時計広場に着いたけど、どうせ戻って来れないでしょ!今いるところを教えて」

そういわれても、自分がどこにいるのか全く分からないので、目に留まったカフェの名前を告げる。

「あ、そこなら3人で朝ご飯食べようと思ってたところよ。ちょうどよかった。動かないで待っててね。」


じっと待っていると2人がやってくるのが見えた。

「麻未!忍!」

無事(?)再会できたことを喜び、忍と抱き合う。

麻未はすっと避けた。

「麻未~」

恨みがましい目で麻未を見つめるが、麻未はというとどこ吹く風、さっさとカフェに入ろうと私たちを促す。

「麻未~、心配してくれてないの~?」と恨みがましく睨み付けると、「迷ったあんたを探すのはいつものことでしょ。あんたたち二人を心配してたら私の心臓が持たないわ。」と言い捨てカフェに入っていった。

残された私と忍は「あんたたち二人って言われた」「私たちが無鉄砲だからかな」と抱き合ったまま、一瞬顔を見合せ、そして吹き出した。

そのやりとりで、PCの画面ではなく、実際にそこに忍がいるのだと実感でき、不思議な安堵感を感じ、忍を見つめた。


忍も同じだったようで、微笑むような表情でこちらを見つめ返す。


「久しぶり」「うん。久しぶり」たったそれだけの言葉だったが、私たちにはそれで十分だった。


抱き合っていた手を離し、二人連れだってカフェに入る。


さあ、私たちの旅の始まりだ!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ