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A.D.2222  作者: 日渡正太
第3話 未知なる敵
27/32

Episode 27

 あまり広くもない艦長室に入り、扉を閉めると、ライアは船舶電話の受話器を取った。


 宇宙では個人の携帯電話が使えないので、いったん「ブルーウィル」の通信担当を経由しなければならないのが、面倒だ。


『はい、こちら《ブルーウィル》です!』

 若い女の通信士が出た。

 こいつが、ゴステロの言っていたローラとかいう新入りだろうか?


「あー、『スターベル』艦長のライアだ。そちらの艦長さんはいるかい?」

『少々お待ちください』


 いったん通信は途切れ、受話器から保留中のメロディが鳴り出す。

 しばらくして、再び同じ通信士が出た。


『すみません、あいにくセリカ艦長はお忙しいようで、またにしてくれと……』

「あの野郎! 電話にも出ないつもりかい!?」


『は?』

「緊急だと言ってくれ! 今すぐに出ないと、どうなっても知らんぞ、と!」


『わ、わかりました……』


 再び保留音が奏でられ、ややあって、セリカが電話に出た。


『あー、久しぶりだな、ライア……』

「本当に久しぶりだねえ! 母港に停泊中も、一度もお呼びがかからないとは、どういうわけだい?」


『忙しかったんだって! こないだの演習で、艦にいろいろ不具合が出てさ……』

「まあ、そこら辺はおいおい追求するよ……ところで、ちょっと小耳に挟んだんだけどさ……」


『何を?』

「あんた、あのクオレとかいう女と婚約したってのは本当かい?」


『…………』

「何で黙るんだい! ゴルァ!!」


『あ、悪い、何か、電話遠くね? よく聞こえない……』

「ああああんた! この歳で捨てられたら、あたしゃ、どうすればいいんだい!? ちったあ男の責任てもんを……!」


『ごめん、ライア、今マジで忙しくてさ、また後で電話するから』

「切るな!! 電話切ったらぶっころ……!」


 ガチャ、ツー、ツー、ツー……。


「あたしを選ぶって言ったじゃないか!! あのスットコドッコイが!」

 受話器を壁に叩きつけるライア。


 ――畜生! このままで済ましてたまるか! とにかく誰かに相談を……。


 ライアは信頼できそうな人間の顔を何人か思い浮かべてみる。

 とりあえず、この艦内で一番頼りになるのは、副長格のゴステロだろう。


「そこにゴステロはいるかい!?」

 ライアは、電話を内線に切り替えると、自分のフネの艦橋を呼び出し、金切り声で怒鳴った。

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