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A.D.2222  作者: 日渡正太
第3話 未知なる敵
26/32

Episode 26

 駆逐艦は、艦が小さい分、大型艦に比べて乗組員の結束が強い。


 しょせん、対艦ミサイルの1発も喰らえば轟沈する程度の防御力しかないから、クルーは全員一蓮托生、チームワークが何より大切だ。


 小型であるため、戦艦、空母みたいな大型艦とは違い、快適な居住性なども望むべくもない。


 そのため、どうしても乗組員達の生活スタイルは大型艦に比べてラフになり、駆逐艦特有の荒くれ気質みたいなものがあった。


 港にいれば、服装や敬礼の動作などで、比較的きちんとしていて上品なのが戦艦、空母、巡洋艦、ぞんざいでいい加減なのが駆逐艦と、乗組員の見た目で、乗っている艦種の見分けがつくと言われていた。


「……本当だと思うかい?」

 ライアはつい聞いてしまった。


 ゴステロ砲雷長はライアより10も年上だ。

 同じ艦で長く寝起きを共にしていれば、つい兄に頼るような感覚が出てくる。


「うちの通信士はそう言ってます、何でも『ブルーウィル』に新しく来たローラとかいう通信士が、そう言ってたそうで……」


「あんたらは、いったい、何の通信をしてるんだい!?」


 司令部にでも聞かれたら「規律の乱れにあたる交信」として、何か言われかねない。


「す、すんません! まあ、楽しみの少ない艦内生活ですから、ウワサ話ぐらいは勘弁してやってくださいよ」


「あたし自身がウワサの種になってるってのが、シャクだねえ」


「みんな、姐さんのことを心配してるんでさあ……どうです、ひとつ、ご自分でウワサの真偽を確かめられてみては?」


「いや、でも……」

 突然、何だか少女のように、頬を染めてもじもじするライア。


「このままじゃ、心配で夜も眠れないでしょう、お体にも障ります、艦の指揮に影響でも出たらことですぜ」


「あ、あたしは、別に、あんな奴のこと、どうでもいいし……」


「ツンデレ女子高生みたいなこと言わないでください! いつまでもモヤモヤを抱えたままでいるよりは、もう、ここらでスパッと決着をつけたらどうですか?」


「悪かったね、女子高生じゃなくて!」


 ライアは、キャプテン・シートの脇にあるコンソールを、ドンと叩いて立ち上がった。


「……ちょっと、部屋にいる。ここは任せる」


「アイ・アイ・サー! ゴステロ、操艦指揮任務引き継ぎます!」


 ライアは敬礼するゴステロを艦橋に残し、エレベーターで艦橋下右舷にある艦長室に向かった。

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