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A.D.2222  作者: 日渡正太
第2話 第1次アーレン会戦
17/32

Episode 17

 車載テレビの画面が、美人の文化人類学者のいるスタジオから、かつてのジューンとメビウスの文明遭遇を体験したという、御年147歳の古老の自宅に変わった。


『お爺ちゃーん、メビウス人と初めて出会ったときは、どう思いましたかー?』

『ふがふがふがふが……』


 若いレポーターの質問に、車椅子に座った古老が言葉にならない声で答える。


『いやー、爺さんは当時ジューン宇宙軍の将校だったそうで、たいそうたまげたと、いつも言ってるんですよー』

 古老の玄孫だという夫婦が、代わって答える。


 そこでセリカがテレビのスイッチを切った。

 見ていてもあまり参考にならないからだと思うが、もしかして、美人の人類学者が映らなくなったせいかな、と、クオレはつい習慣で余計な勘繰りをしてしまう。


 基地のゲートが近くなってきた。

 運転席に座っているのはセリカだが、自動運転なので、ハンドルから手を離してシートにもたれかかっている。


 基地ゲートの衛兵に身分証を見せて通過し、通勤車用の駐車スペースに向かう。

 背の低い基地庁舎のすぐ向こう側は海であり、そこに、巨大建築物のような「ブルーウィル」の船体が見えていた。




「親父さん、すんません、助かりました」

 すでに第33機動部隊から出港準備命令の来ている「ブルーウィル」の艦橋に入るなり、セリカは作業の指揮を執ってくれていたレッド副長に礼を言った。


「お休みのところ、すみませんね艦長、燃料の積み込みは8割方ってとこです。食料と水の手配は終わってますが、航空団のほうで、ちょっと問題があるようで……」

「何か足りないんすか?」


「ミサイルが、頼んだのと違うのが来たとか……詳しくは司令に聞いてください」

「わかった、後でカムイに聞いてみる……それでさ、親父さん……」

 セリカが内緒話をするように、レッド副長の耳元に囁いた。


「俺達、今度、結婚するんで」

 既に操舵席に着いているクオレをくいっと親指で示す。

「ほう、それは!」

 レッド副長が破顔した。


「おめでとうございます、いやー長かったですなあ、正直どうなることかと気を揉んでましたが、これで安心しました」

「心配かけてすんません」


 セリカが謝って、艦内電話に手を伸ばした。

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