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魔女と使い魔のバタバタな日々  作者: 時雨瑠奈
魔女は仲間を見つける
34/35

魔女は親友と使い魔への仕返しを考える

 アルトに仕返ししたいの。

そう打ち明けられたリイラ=コルラッジは、ぽかんとしてスピカ=

ルーンを見つめていた。

 当のスピカは真剣な顔である。

「何かあったの?」

 リイラが聞いてもスピカは答えなかった。

恨みがましげににらんでくるだけだ。

「アルトったらいつもひどいのよ!!」

「どうひどいの?」

「いつも、いつも私にいじわるばかりするのよ!! キスだってじら

すし嫌だって言ってもするし」

「悪いけどのろけは一人で言っててくれない」

 リイラの目が細まった。彼女はつい最近以前付き合っていた恋人と

別れたばかりだったのだ。

 リイラは見かけとは裏腹に冷静な部分があるからか、男性と付き合

っても長続きしないことが多い。

「ひどいリイラ!! 親友として話聞いてよ!!」

「アルトの件以外なら聞いてあげるけど、今の私にそんな話する!? 

 どこが親友よ!!」

 リイラが軽くスピカを突き放したことが発端ほったんになり、二人は取っ組

み合いの喧嘩ケンカになっていた。

 ドタンバタンとはげしい音がその場に響き渡り、オリオンとリリアが

どこか不安そうに二人を見つめている。

 勝ったのはもちもんリイラだった。

家にいて在宅ワークばかりしているスピカが、外でいろいろな仕事を

しているリイラに勝てるわけがない。

 スピカは最終的にリイラに組み敷かれてしまいくやしそうだった。

「……はあ、はあ……、くや、しい……!!」

「……はあ、はあ……まいったか、この……!!」

 二人はしばらく睨みあっていたのだが、少しずつ頭が冷えて来て大人

しくなった。

 リリアとオリオンを連れ、アルトが作ってくれたお弁当を食べながら

仲直りする事にする。

 レモネードを飲みながらお弁当を開ける頃には、二人はいつもの仲の

いい親友に戻っていた。

「いいわよね、スピカはいい使い魔がいて」

「使い魔ってだけじゃないもの」

 サンドイッチにかぶりつきながらスピカはムッとなって呟いた。

リイラは意に介さず自分もサンドイッチに口をつける。

「あっ!! 私のチョコレートサンド!!」

「食べたいなら先に言っておきなさいよ。私どれがどれだか分からないん

だから」

「リイラの……馬鹿バカ――――――――!!」

 大好物を食べられたスピカの怒りは頂点に達した。

せっかく仲直りをしたというのに、またこの調子である。

 リイラは悪気がなかったのに馬鹿と叫ばれてムッとした。

ちなみに、アルトが作ったのはチョコバナナサンドやハムチーズサンドや

きゅうりのサンドなどいろいろあった。

「なんですって!? このわがまま甘党ちびっこ魔女!!」

「頭でっかちの乱暴女に言われたくない!!」

 最近二人は喧嘩をしていなかったのだが、それぞれの生活でストレスが

たまっていたスピカ達は再びとっくみあいになってしまっていた。

 今度はスピカも負けじと魔力まで使ってリイラに組み敷かれないように

している。

「ちょっとずるいわよ!! 魔力使うなんて!!」

「力で無理やり押さえつけるリイラには言われたくない!!」

 オリオンとリリアは二人の喧嘩になれてしまったのか、二匹で仲良く一

つのサンドイッチをつついていた。

 こんがりと焼いたチキンとレタスのサンドイッチである。と――。

「うるさああああい!!」

 大声が聞こえたかと思うや、木の上から少女が一人飛び降りてきた。

 ぎょっとなって二人が動作を停止する。

なんと、飛び降りてきたのはあの時の暗殺者だったのである。

「あんたたち、人の森でぎゃあぎゃあ騒ぐんじゃないわよ!! ろくに昼寝

も出来ないじゃな……ってあああああっ!!」

 ディオナ=コーラルは二人を怒鳴りつけてから相手がスピカであると気づ

いたようだ。

 キッとスピカを睨みつけ、ナイフを抜き放ってスピカに突撃する。

スピカは慌てて彼女のナイフを回避した。

「あの使い魔はいないのね、好都合だわ。覚悟しなさい、スピカ=ルーン

!!」

「スピカ!!」

 ディオナが次から次へとナイフを投げつける。

通常ならよけられたハズだったが、直前までリイラをじゃれあっていて体力

が落ちているスピカはよけきる事が出来なかった。

 腕や足をナイフが傷つけ、痛みに顔をゆがめる。

「今度こそ、今度こそ!! 終りね!! スピカ=ルーン!!」

 ディオナはその頬を濡らす涙に気付いているのだろうか、いないのだろうか。

狂気を秘めた目で殺意を込めて彼女はスピカにナイフを振り下そうとする。

 オリオンとリリアが止めようとぶつかったが、ディオナとの体格差ですぐに

弾き飛ばされてしまった。

 リイラが手で顔を多い、スピカが目を閉じた矢先の事だった。

「……あ、な、何……あぅ!!」

 耳が痛くなるほどの超音波がその場に流れ始めていた。

リイラ達も顔をしかめている。

 魔力を無効化するハズのリリアは、気絶していて役に立ちそうになかった。

「な、何なのこの音!!」

「魔力の匂いを感じる!! ディオナ逃げて!!」

「今更……!! 諦めきれるか!!」

 ディオナは超音波を振りきるようにナイフを振りあげたが、耳と頭の痛みで

それ以上動けなくなっていた。

 やがて、ビジビシと地面が割れる音が響き渡る。

ディオナの足元で、だ。強い力に引かれるようにディオナの体がかしいだ。

 どんどん広がっていく亀裂きれつに飲み込まれそうになった彼女が息を飲んで青ざ

める。

「ディオナ!! 手を伸ばして!!」

「あんた死にたいの!?」

 スピカとリイラが必死にディオナに手を伸ばす。

ディオナは迷うように視線しせんを泳がせた。

「ディオナ!!」

「……ぅ!!」

 ディオナはスピカに怒鳴られてようやく手を伸ばした。

だが、全ては遅すぎた。スピカの伸ばした手が空を切る。

「ディオナ!! ディオナ!!」

「……あ」

 ディオナはなにか言おうとした。

しかし、その言葉が聞こえるよりも先に彼女の体は下へ下へと落下していき、

やがて彼女の全身が穴へと消えて見えなくなった。

「ディオナ、ディオナ――――――――!!」

 魔女の悲痛ひつうな声だけがその場に響き渡った――。

 最初はほのぼの、続いてシリアスな感じの

お話になっちゃいました。

 久々に暗殺者の少女も登場ですよ~。

なかなか更新出来なくなって来ましたがこれ

から心機一転頑張ります!

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