表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女と使い魔のバタバタな日々  作者: 時雨瑠奈
魔女は仲間を見つける
32/35

魔女と使い魔は日常を満喫する

 スピカ=ルーンは目覚めた時、一瞬どこにいるのかが分か

らなかった。

 覗き込んでくるのは、使い魔のアルト=ハルメリアの青い

目だった。びっくりして飛び起きる。

 ガッ、と頭が彼の顎を捕えたため、悲鳴を上げたアルトが

ごろごろとその場に転がってのたうち回っていた。

「……うううううっ!!」

「ご、ごめんアルト大丈夫!?」

 アルトはすぐに笑顔になったが、その目には涙がたまった

ままだった。かなり痛かったようだ。

 スピカはひらりとベッドから飛び降りると、魔法を使って

塗り薬を召喚した。

 久しぶりに魔法を使ったので、ある種の解放感に彼女は

ホッとする。

「動かないでね」

「いたっ!! いたたたいたいっ!!」

「騒がないの。男の子でしょう?」

「……それ、元凶のあなたに言われたくないんだけど」

 そう言われたスピカはアルトに目を合わさずにスルーし

た。

 アルトが半泣きになるがその事には触れなかったいう。

手当てが終わると、アルトは湿布を当てられた位置をさす

りながらスピカに食事を出してくれた。

 今日のメニューは、野菜がたっぷりと入ったスープ、焼

き立てふわふわのパンがたくさん、カリカリに焼いたベー

コン、舌触りのいいスクランブルエッグ、ポテトサラダに

蜂蜜まであった。

 デザートには、もちろん『占い喫茶・カッサンドラ』の

ケーキ全品がずらずらと並んでいた。

 昨日メリッサ=ウォーカーがサービスだと言って置いて

行ったのである。

 アルトのおかげで大食漢ではないものの、それなりに食

べられるようになっていたスピカは黙々と食べ始めた。

 砂糖を入れたミルクをテーブルに置きながら、アルトは

喜んで食べている彼女を微笑ましそうに見ている。

「いつか、メリッサに勝てるかな……」

「アルト、何か言った?」

「えっ!? う、ううん何でもないよ」

 一瞬悲しげな顔をしたのをめざとくスピカに見つけられ

たアルトは、誤魔化ごまかすためにスピカにミルクを差し出

した。

 いぶかしそうな目で見てくるけれど、アルトは食堂を出

て行った。

 洗濯や掃除はまだしなくてもいいので、そう言って逃げ

る事も出来なかったのである。

 仕方なく、アルトはリリアとオリオンに食事を出す事に

した。自分の食事は後だ。

 子供っぽい嫉妬を彼女に知られたくなかったのだった。

彼女はそれを聞いたら赤くなって、それから笑うだろう。

 でも、朝から笑われているのにこれ以上笑われたくなか

った。

 ともかくも、アルトはようやく戻って来た日常に喜びを

感じていた。

 今日からはスピカ達と一緒にまた過ごせるのだ。

騒がしくも楽しい毎日が待っているのだ。

 その時だった――。



『おっはようううううっ!!』

「うわあっ!!」

 昨日別れたばかりだというのに、仲間達が集結していた。

レティかエトワールに連れてこられたらしい人物がそっぽ

向いていたけれど。

(ちょっとは遠慮して欲しいんだけど……)

 アルトは思わずそう思ってしまったが、口には出さなか

った。言っても無駄だからである。

 彼らが今更従うとも思えなかった。

「……すみませでしたね。彼らが無理に押しかけて」

 イリアスがため息交じりに言った。気を使っているのは

彼だけのようだ。

 エトワールは気づいていても気を使わなそうだが。

「皆、いらっしゃい」

 スピカが走り出てきたので、アルトは彼らに帰ってもら

う事が出来なかったという。

 今日もスピカはリイラにもらった星の髪飾りをつけてい

る。いつか、彼女に自分も髪飾りをプレゼントしたらつけ

てくれるかな、とアルトは思った。

 騒がしい事この上ないけれど、今はそれでもいいかと思

う。スピカも、リイラも、エトワールも、メリッサも。

 イリアスさえもいるこの空間が、騒がしい日常がようや

く帰って来たのだから――。

 今回はほのぼの回としました~。

なかなか二人っきりにはなれない

お二人です(笑)。

 元々リリアとオリオンがいるのに、

人が集まってくるという……。

 まあ、スピカもアルトもこういうの

嫌いじゃないんですけどね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ