表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女と使い魔のバタバタな日々  作者: 時雨瑠奈
魔女は仲間を見つける
30/35

魔女と使い魔は二人で会話する

 スピカ=ルーンは、不安な面持ちで

歩いていた。

 隣には、使い魔のアルト=ハルメリアが

いる。

 彼は再開を喜んでいるのか、それとも

勝手にいなくなった事を怒っているのか、

悲しんでいるのか、全く見えない表情を

していた。

 スピカは彼といるのが気まずくて

仕方ない。

 彼の幸せのために手を離した。

彼だけは幸せになって欲しくて。

 だけど、スピカは簡単に戻って来て

しまった。

 いや、実際には悩んで悩んで決めた

事だけれど。

「……スピカ」

 アルトが立ち止り、名前を呼ばれたスピカは

びくっとなった。慌てて立ち止り、彼の瞳を

見つめる。

 紅い目と青い目がかちあった。

スピカの体が小刻みに震える。

 何を言っていいのか、また何をやっていいの

かがまったく分からなかった。ためらう彼女に、

アルトは音もなく近づいて優しく抱きしめた。

 スピカの頬が薄桃色へと染まる。

「どうして、黙っていなくなったりしたの?」

 アルトの腕に力が籠った。

スピカが痛くないと感じる程度の力だったが、

それでもスピカは彼の怒りを感じ取っていた。

「あなたを、危険に巻き込みたくなかったの。

あなたにはこれは関係のないことだったから。

危険な目に遭うのは、私だけでいい」

「僕はあなたの使い魔だよ!? どうして、

関係ないだなんて言うの!?」

「……っ!!」

 アルトの手にさらに力が込められた。

今度は悲鳴をあげそうになるぐらいの力

だった。

 スピカはあえて声をあげなかった。

彼の心の痛みを感じた気がしたから。

「僕の幸せは、僕が決めます。あなたが

そばにいないと、僕の幸せはないん

です!!」

「アルト……」

「あなたがいない未来も、何もかもいらない。

一生逃げる生活だっていい、あなたとならば

どこへだって逃げて見せる」

 スピカは気づくと泣いていた。

赤い目からとめどなく涙があふれ出す。

 目をこすっても、こすってもどんどんあふれ

出して止まらなかった。

「二度と、僕のそばから離れないで、スピカ」

 アルトの目からも涙が零れ落ちていた。

彼らの涙はまるで星のようにきらめきながら、

地面にしたたりおちていた。

 アルトは手の力を弱め、スピカはようやく

安心したように息を吐いていた。

「スピカ、好きだよ」

「私も、アルト」

 二人の唇が重なった。

甘い口づけがスピカの白い頬を紅潮させていく。

 はあっ、とどちかからともなく熱い吐息が

二人の口から漏れ出ていた。

 長い長い口づけだった。

しばらくして、スピカは恥ずかしそうに彼から

身を離そうとしたけれど、アルトはそれを許さず

彼女を解放しようとしなかった。

「アルト、離して」

「駄目。しばらく会っていないんだもん、これ

くらいは許してよね?」

「もう、充分、したのに……」

「僕はまだ充分じゃないから」

 アルトはなおも彼女の唇にキスを重ね、彼女の

顔はまるでトマトのように耳まで赤くなっていた。

 スピカは抵抗しようとしたが使い魔になる際に

かなり握力が強くなっているアルトに、同じ年の

少女にも劣る力のスピカが敵う訳もない。

 無理やり力で押さえ込まれてしまい、アルトが

唇だけでなく耳や頬や額にまでキスをするのを

こらえるしかなかったのだった。

 珍しく楽しげな笑みを浮かべたアルトは、彼女が

泣き出してしまうまでキスを続け、スピカは二度と

彼を置いていなくなったりしないと心に誓ったの

だった――。

 今回は微妙に甘くなりました。

アルト、なんだか初期より性格

変わっているような……。

 まあ成長した、という事で!

エトワールも初期よりかなり

成長してますしね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ