表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔女と使い魔のバタバタな日々  作者: 時雨瑠奈
魔女は仲間を見つける
28/35

魔女は決意する

 スピカ=ルーンは走っていた。

腕には奇妙な動物を抱いている。

 何かに追われているようだった。

頬を紅潮させ、足をもつれさせ

ながらも、スピカは必死で逃げ

まとう。

 兎の似た動物は、怯えたように

ただ鳴くばかりだった。

「待て、スピカ=ルーン!!

 大人しく掴まれ!!」

「待てと言われて、大人しく待つ

馬鹿がどこにいる!?」

 後ろから追いかけてくる男に、

スピカはツッコミを入れながら

走っていた。それはそうだろう。

 待てと言われて待つのは、飼い犬か、

よっぽどの馬鹿である。

 古今東西繰り返されて来たかけあいを

しつつも、スピカは焦っていた。

 リリアという名の動物をしっかりと抱き

抱えながら彼女は必死で男との距離を開け

ようとしている。

 と――。

リリアが急にスピカの腕の中で暴れ始めた。

 驚くスピカの前で、ぴょいんと跳ねて

抜けだしたリリアは、そのまま男の方に

向かって行った。

「リリア、危ないっ!! やめなさい!!」

 スピカが慌ててリリアを追いかけた。

リリアはぐるぐると男の周りを回っている。

 星のようなきらめきが周囲に飛び散り、

男の顔が穏やかな顔になっていく。

「あれ……? 俺、何やってたんだ?」

「え……?」

 スピカは驚いたように目を見開いていた。

男はさっきとは様子が違く、スピカを見る

目にも侮蔑やその他の悪い感情がうかがえ

なかった。

 再び、リリアがぴょいんと跳ねつつ

スピカの腕に収まる。

 と、声が聞こえて来た。

〝スピカよ、わらわの声が聞こえるか?〝

「師匠!? どこにいるのですか!!」

〝落ち着くのじゃ。わらわは、そちの

近くにはおらん。リリアは役にたった

みたいじゃな〝

「この子、師匠が……」

 スピカは紅い瞳に涙を浮かべた。

温かい気持ちが胸に広がっていく。

〝シュイアが動き始めた。リリアを連れ、使い

魔達のもとへ急ぐのじゃ〝

「シュイアが? でも、師匠!! 私は、彼らを

巻き込みたくはありません」

〝もう巻き込まれておるのじゃ。メリッサ達は、

シュイアの目的をすでに知っておる。彼らと

会うのじゃ〝

「待って!! 師匠!! 師匠!!」

 声はとぎれて聞こえなくなった。スピカは青ざめた

顔で座り込んでいる。アルト達を巻き込ませたくないと

姿を消した。

 だけど、結局は巻き込んでしまったのだ。

私が、彼らに会ったから。彼らを好きになったから。

 もう会っちゃいけない。そう思うのに、スピカの心の

奥で会いたいと深く思う気持ちが膨れ上がってきた。

 エトワールに、メリッサに、リイラに、レティに、

そして、なにより、アルトに――。

 会いたい。また会って話がしたい。一人はもう

嫌だった。

 そんな彼女の心を見透かしたように、ぐいぐいと

リリアが口で彼女の服の袖を引いていた。

 行こう、と。彼らに会いに行こう、と。

スピカは涙を袖でぬぐうと、リリアをしっかりと抱き

しめて歩き出した――。

 もうすぐ事件が解決します。

その後は、しばらくほのぼの

なやり取りとか多めに書くかも

です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ